Un Concert de Piano Excentrique : 2000
〜第2回 こだわりのあるピアノ弾きとその仲間達による大演奏会〜

= 曲目解説・演奏者メッセージ =


リアルオーディオ演奏 リアルオーディオ演奏付き

21.スクリャービン/幻想曲 Op.28 リアルオーディオ演奏 木下 淳
<曲目解説&曲目へのこだわり>
スクリャービン(1872−1915)はラフマニノフと同世代のロシアの作曲家ですが、知名度はイマイチです。しかし旋律の美しさ、ロシア的憂愁やスケールの大きさなどから見て、彼の作品はラフマニノフと肩をならべると言ってよく、実際この20年くらいでかなり頻繁に演奏されるようになってきました。
この幻想曲は、ちょうど100年前に作曲された「ミレニアム作品」です。彼の音楽の魅力、つまり香りさえ感じられる個性的な和音、甘い旋律(特に第二主題)などがあらゆる意味でうまく結実した作品のように思えます。私は彼の作品の中でこれが一番好きなのですが、譜読みの面倒臭さもあって長年練習しないままでした。しかしこれからそう沢山の曲が弾けるわけではないので、「弾かなかったことを後悔しそうな作品」を厳選して弾くしかない、と今春楽譜棚を眺めていて目にとまったのがこの作品でした。
振り返るとピアノを弾き始めて30年余り。大学入学以降はもっぱらレコード、CDを師とし、自己流でピアノを弾いてきました。CD棚には3000枚近くの音盤があり、それを聴くことが趣味でもあるわけですが、聴くのは弾くよりラクなのでついついそちらに傾きがちで、それではイカン、とピアノを弾くことに意識的に時間を割いている今日この頃です。
<音源情報>
さてこの幻想曲の録音ですが、手元にある佐藤泰一氏とFarhan Malik氏の共著 "Alexander Scriabin Discography" (The Scriabin Society of America 1997年発行)によると20人24種の録音が掲載されています。その後の3年間にも「最長演奏時間記録」であろうザラフィアンツ(Zarafiantz)の演奏をはじめ、数種の録音が登場していますから、合計30種弱というところでしょうか。録音年の記述はありませんが、SPとしてはカスタニェッタ(Castagnetta)というピアニストの録音1種しかなく、これがもっとも古い録音となりましょう。
私はこの中では6種ほどしか手元に持っておりませんが、その中ではアルカンをリバイバルさせたピアニスト、レーヴェンタール(Lewenthal)による演奏が最も気に入っています。衒いなく、深くて自然な呼吸で弾かれた演奏は、この曲の良さをもっとも伸びやかに引き出しているように思えます。これはスクリャービンアルバムとして50年代末に録音されたもので、24の前奏曲作品11の曲順を彼自身が変更して弾いているなど、当時としては非常に斬新なLPでしたが、あいにく未CD化。WestminsterがCD化することを期待しましょう。その他で印象に残っているのはスクリャービンの女婿、ソフロニツキー(Sofronitsky)の録音。フレージングの自在さは、さすが長年弾き込んだ彼ならでは。録音が新しいところでは、そのソフロニツキーのスクリャービン演奏には感心しないとのたまうアムラン(Hamelin)大明神。ただし私は彼の演奏、前半の10ページ程度はすごく好きなのですが、最後の4ページほどはサラサラすぎて不満。もっとゆっくり弾いてくれれば良かったのに……それにしても不思議なのは、いくつかの演奏(上記3つにあらず)でメロディーラインの譜読みを間違えて演奏していながら、それがそのままCDとして発売されていることです。曲に慣れているとギョっとしますよ。


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