Un Concert de Piano Excentrique : 2002
〜第3回 こだわりのあるピアノ弾きとその仲間達による大演奏会〜

= 曲目解説・演奏者メッセージ =



14. チャイコフスキー=プレトニョフ/組曲「くるみ割り人形」より「行進曲」 松林伸生 
グリンカ/セパレーション(夜想曲)
ラフマニノフ/前奏曲 Op.32-13
<プロフィール>
情報通信系企業に勤務し、インターネットサービスの企画、開発をやっています。学生時代は慶応ピアノクラブに所属。
<曲目紹介>
三十路に入って多少境遇が変わったのか、この一年はいつにも増してロシア音楽に心酔した。その想いを吐露すべく、今回の演奏会にロシア作品をかけることは随分前から決めていたのだが、はてどの曲を弾こうか?もっとも多く聴いたのはラフマニノフの協奏曲3番とチャイコフスキーの「悲愴」交響曲だったように思うが、さすがに独奏でこれを演じるわけにもいかない(協奏曲はソロパートをつまみ弾くとか、「悲愴」は岡城千歳のようにニーマンの編曲を弾くとか、策はないわけではないが)・・・さんざん迷った挙げ句に選ばれたのがこの硬軟取り混ぜた珠玉の3曲である。プレトニョフ編の「くるみ割り人形」は、有名なバレー音楽のうちの7曲をプレトニョフが鮮やかなタッチでアレンジした演奏会用組曲である。今回弾くのは「行進曲」1曲であり、非常に刹那的ではあるがbrilliantな雰囲気を楽しみたいと思う。引き続いてはグリンカ。「ルスランとリュドミューラ」をはじめとしてオペラや歌曲で有名な作曲家だが素朴なピアノ曲も数多く作曲している。この夜想曲「セパレーション」もしかり、淡々と切ないメロディーが歌われる。簡単な曲なのだが弾き方によってかくも美しい歌になるのかということを若手のヴォロドス(下記参照)が教えてくれた。さて、今回のメインはラフマニノフの前奏曲Op.32-13である。彼の書いた前奏曲全24曲の最後を飾る曲であり、荘厳な鐘の音と暗鬱なまでのロマンティシズムが交錯しつつ起承転結をもって展開する堂々たる曲だと思うが、どうも世間からは冷めた扱いを受けていると感じるのは私だけだろうか? 少なくともこの曲を収録した音盤に関して、前奏曲全集以外のものを巷では見たことがない(※)。ラフマニノフの前奏曲は日の当たる曲とそうでない曲の落差が激しく、全集でなければ決して弾かれることのない曲が数多く存在する。確かに実際、その中には曲と曲(調と調)の「つなぎ役」程度にしかなっていないものもいくつかあるのは事実なのだが、この曲はそうではない。今日の私の演奏がそのことを証明できるものであるかどうかは甚だ疑問だが、ワイセンベルクの名演(下記参照)なら間違いないと思うのでぜひご一聴頂きたいと思う。
※これを書いてから、ごく最近、某コンクールと某音楽祭のライヴでこの曲が収録されているオムニバスを見つけた。
<音源情報>
・「くるみわり人形」
プレトニョフの自演(フィリップス/「20世紀のピアニスト」シリーズにも所収)が圧倒的名演。あと、彼の影響力によりモスクワ音楽院に学ぶ最近の若手はこの曲を取り扱う傾向が強いようだ。例えばトカレフ(MUSIKLEBEN/1997)なども録音している。蛇足だがヴォロージンのライヴ(2001/録音無し)は良かった。
・「セパレーション」
切なく歌うヴォロドスのライヴ(Classicotakuレーベル)は最高。
http://www4.osk.3web.ne.jp/~cziffra/より発注可能。某サイトで山脇一宏が数年前にライヴ演奏している記録を見つけたときは驚愕した。
・ラフマニノフ/前奏曲
4分2秒で一気に轟かすワイセンベルク(RCA/1970)の演奏はやはりこの曲のバイブル。前奏曲集全体としても統一感が聞こえるのでお勧めの1枚。この曲だけに関して言えばアレクセーエフ(Virgin/1989)が誠実なアプローチをしている。(なお、アシュケナージ盤はたどたどしい演奏なのでお勧め出来ません)


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