Un Concert de Piano Excentrique : 2002
〜第3回 こだわりのあるピアノ弾きとその仲間達による大演奏会〜

= 曲目解説・演奏者メッセージ =



15. ヴィラ=ロボス/セレナード弾きの印象(シクロ・ブラジレイロ/ブラジル風連作より) 廣瀬清隆
モンポウ/「テーマ、第一変奏、第三変奏」(ショパンの主題による変奏曲より)
モンポウ/「こどもの情景」(全曲)
2000年の夏、毎年参加しているInternational Master Classes (ウィーン国際音楽ゼミナール)で、A.Braginsky教授の推薦で講習会の最後に開催される「終了演奏会」で演奏させてもらいました。これまで海外で演奏した経験はありませんでしたが、プログラムには迷わずモンポウ「こどもの情景」を選びました。この作品は日本はもちろんウィーンでも演奏される機会が少ないように思いますが、モンポウのピアノの枠を超えた表現、オーケストラの響きを念頭に作曲されている点などが、ウィーンでどのように評価されるか試してみたいと思いました。聴衆の暖かい雰囲気に包まれて、落ち着いて演奏することができました。珍しい作品を演奏したこともあってか、声楽のHildaDe Groote教授は親指を使った「ゼア・グッド」サインを演奏直後に送ってくれたり、クラリネットのKurt Schmid教授からは「君は実にムジカリッシュだ」、Braginsky教授からも「きみには(今日のコンサートでの)第一位をあげよう」などと暖かい言葉をかけてもらいました。その後休憩時間になったときに、70歳くらいのひときわ恰幅の良い紳士が足早に近づいてきて「君のピアノは実にカラフルだ。色々な音が含まれていた。非常に音楽的な演奏だった」と英語で誉めてくれました。そのときは講習会の事務局かなにかを担当している人だろうと思ったのですが、あとで講習会のパンフレットを見たところWalterBerryという声楽の教授だということがわかりました。帰国後に恩師(本荘玲子先生)にそのことを報告すると「それはヘルマン・プライと同じくらい有名な人だ。Walter Berryに誉められたなんて、大変なことだ」といわれ、慌ててしらべたところKarl Bohmの指揮でMozart/Die Zauberfloteなどの名盤も残している往年の名バリトンだったことがわかりました。そのわずか数ヵ月後、新聞でBerry先生がウィーンの自宅で心臓発作で亡くなったことを知りました。翌年も講習会に参加する予定にしてため、Berry先生に会ったときはもっと色々な話を聞きたいと思っていたのに残念でした。その年の年末音楽家地区に埋葬されたBerry先生の墓参りをしにウィーン中央墓地に行きましたが、墓守に聞いても正確な場所が判らず、とうとう墓碑を見つけることができないまま帰国しました。そのとき以来、モンポウ「子供の情景」を弾くとかならずBerry先生のやさしさに満ちた人柄と暖かい雰囲気を思い出します。


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