Un Concert de Piano Excentrique : 2002
〜第3回 こだわりのあるピアノ弾きとその仲間達による大演奏会〜

= 曲目解説・演奏者メッセージ =


リアルオーディオ演奏 リアルオーディオ演奏付き

17. フォーレ/主題と変奏 Op.73 リアルオーディオ演奏 堀田晶子
<曲目紹介>
作曲は1994年から1995年、円熟期の傑作が多数生まれた時期である。この頃、フォーレが友人の文学者デクタルに送った手紙の中に、「・・・・・私は目下ピアノ変奏曲の最後の『変奏曲=コーダ』の部分に没頭しています。この曲が優れたものかどうかはわかりませんが、非常に難しいということで貴方を驚かせるとは思いません。」という一節がある。この変奏曲は、それまでの歴代の作曲家?バッハ、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、シューマンなどの変奏曲の延長線上にある。とりわけシューマンの「交響的練習曲」作品13との関連が示唆されているが、フォーレ本人が「交響的練習曲」を意識して作曲したとの証拠はどこにもない。当時フォーレは、宗教声楽曲・合唱曲の作曲に集中していた。「主題と変奏」の作風にも、そのような状況が反映されていると思われる。 1910年以後、パリ音楽院の卒業試験の課題曲として取り上げられており、プルミエ・プリを得たピアニストの中に、20世紀前半に活躍したピアニスト、クララ・ハスキルの名前が見られる。また、20世紀前半の偉大なフランスのピアニスト、アルフレッド・コルトーは「主題と変奏」について、このように述べている。「この作品の音楽的な豊かさ、表現の深さ、器楽的な内容の質の高さは、あらゆる時代のピアノ音楽のうち、最も稀有で最も高貴な記念碑の一つであることは、全く疑う余地がない。この作品は、必要とあらば、この曲一つだけで、当今のフランス音楽を、軽佻浮薄ないし、無味乾燥でうわべだけの優雅さしかないとする批判の数々から防衛するに足りるものである。」
・ 主題:嬰ハ短調で、ABA'BA'の構成。明快で荘厳なA部分と、静かなB部分からなる。
・ 第1変奏:主題がバスに現れ、ソプラノは穏やかに対旋律を奏でる。
・ 第2変奏:軽やかなスタッカートのA部分と流れに乗ったB部分との対比が鮮やか。
・ 第3変奏:3拍子に変化し、リズムが特徴的である。
・ 第4変奏:内声から始まる主題を上下を動くきらびやかな分散和音が彩り、ダイナミックな曲。
・ 第5変奏:第4変奏とは対照的に、流れるようなソプラノをハーモニーが彩る。
・ 第6変奏:再び4拍子に戻る。旋律はまずバス、次いでソプラノと交代して現れ、瞑想の中に深い 感動が感じられる。
・ 第7変奏:ソプラノとテノールとの対話が静かに浮かび上がる。
・ 第8変奏:夜の静寂の中に、4声合唱かオルガンのような美しいポリフォニーの進行。
・ 第9変奏:さらに深遠な夜想曲。中間部には感情の昂ぶりも垣間見られ、待ち受けるドラマへのプロローグとなっている。
・ 第10変奏:3拍子での8分音符の音階が全体を支配し、その上にソプラノの旋律はシンコペーションで和声とともに乗る。ppで始まり、緊張感をはらみつつ、主題は型どおりABA'BA'で終了すると、右手と左手とで役目を交代しながら徐々にクレッシェンド、曲は一定のテンポ、リズムの抑制の中、嬰ハがバスに現れるところに向かっていく。嬰ハはffのまま曲の終盤を支配し、次の第11変奏への橋渡しとなる。
・ 第11変奏:冒頭でフォーレ自身が『コーダ』と述べたことに言及したが、「変奏」より「コーダ」として捉えるとよりわかりやすいと思われる。かといって、この終曲が全曲の中で最も高度かつ 高邁な曲であることにかわりはない。それまでの嬰ハ短調が、嬰ハ長調に転調、宗教曲の影響が感じられる。ポリフォニーの中に主題はバスに織り込まれ原型をとどめず、その単純かつ高貴な響きは、既に後期のフォーレの様相を呈している。最後は天上から神が舞い降りるかのような、感動的な主題とともに幕を閉じる。
参考:「フォーレ全集」美山良夫・藤井一興(編集・校訂) 春秋社
ガブリエル・フォーレ」ジャン=ミシェル・ネクトゥー著 大谷千正訳 新評論
<音源情報>
Nimbus:ヴラド・ペルルミュテルのフォーレ曲集、
Mandala(おそらくHarmodia Mundiのでしょう):ドミニク・メルレのフォーレ曲集がおすすめです。


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