2013年8月のエントリー 一覧

アルフレッド・コルトー、言わずと知れた大ピアニストですがバッハの曲も幾つか編曲しています。最も有名なのは、協奏曲 BWV1056の第2楽章を「アリオーソ」として編曲したもの。これは多くの録音があります。また、有名なトッカータとフーガ ニ短調 BWV 565も編曲しており、これもいくつか録音が残っています。それ以外にはオルガン協奏曲 ニ短調 BWV 596があり、コルトー本人の録音が残されていますが、今のところ楽譜の存在が確認できていません。
さらに、協奏曲 BWV 1052と協奏曲 BWV1056の二台ピアノ用の編曲(リダクション)も残しています(確認できていないだけで、他にもあるかもしれません)。

さて、今回は最近リリースされたものも含め、コルトー編曲のバッハが収録されたCDを紹介します。

まずは中国のピアニスト、ユエ・へ の演奏で『アルフレッド・コルトーによるピアノ独奏編曲集』。バッハのアリオーソトッカータとフーガの他、フォーレ、フランク、シューベルト、ショパンなどの名曲の編曲が含まれています。コルトーのピアノソロ用編曲だけを並べたCDというのは今まで他に無く、極めて意欲的な取り組みといえるでしょう。

次に、去年ハイペリオンから出たスティーブン・ハフの 『Stephen Hough's French Album』 。こちらもアリオーソトッカータとフーガですが、トッカータとフーガはさらにハフが華やかにアレンジしています。

最後にもう一つ、コルトー本人の演奏によるブランデンブルク協奏曲集のCD。ブランデンブルク協奏曲はコルトー指揮(第5番は弾き振り)でオケ付きですが、余白にピアノソロ編曲であるアリオーソオルガン協奏曲 ニ短調 BWV 596が収録されています。これは必聴です。

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A Bach Book for Harriet Cohen

A Bach Book for Harriet Cohen
1932年に、Oxford University Pressから出版された「A Bach Book for Harriet Cohen」というバッハ編曲集が、この春に再版されました。3年前に hyperion からもhyperionバッハ編曲集 第9弾として音源がリリースされましたし、これで容易に楽譜と音源にアクセスできるようになったということになります。
この曲集には以下の12名の英国音楽家による12編曲が収録されています。どれも比較的取り組みやすい、穏やかで美しい小品ばかりであり、バッハのピアノ編曲の入門にも良いでしょう。

私の独断で数曲ピックアップするならば、美しい叙情的な編曲は、ハウエルズの「おお人よ、汝の大いなる罪に泣け」グーセンスの「アンダンテ(ブランデンブルク協奏曲第2番)」が挙げられます。演奏会向けの華やかな編曲は、バーナーズの「甘き喜びのうちに」や、バックスの「幻想曲」などが挙げられるでしょう。

<収録曲>
※初版と収録順が異なりますが、再版では以下の順番に収録されています。

ARTHUR BLISS (1891-1975)
 - Chorale Prelude 'Das alte Jahr vergangen ist' BWV614
GRANVILLE BANTOCK (1868-1946)
 - Chorale Prelude 'Wachet auf, ruft uns die Stimme' BWV140
ARNOLD BAX (1883-1953)
- Fantasia, BWV572
FRANK BRIDGE (1879-1941)
- Aria 'Komm, süsser Tod' BWV478
JOHN IRELAND (1879-1962)
- Chorale Prelude 'Meine Seele erhebt den Herren' BWV648
LORD BERNERS (1883-1950)
- In dulci jubilo, BWV729
HERBERT HOWELLS (1892-1983)
- Chorale Prelude 'O Mensch, bewein dein Sünde groß' BWV622
CONSTANT LAMBERT (1905-1951)
- Chorale Prelude 'Der Tag, der ist so freudenreich' BWV605
EUGENE GOOSSENS (1893-1962)
- Brandenburg Concerto No. 2 in F major, BWV1047: II. Andante
RALPH VAUGHAN WILLIAMS (1872-1958)
- Chorale Prelude 'Ach, bleib bei uns, Herr Jesu Christ' BWV649
WILLIAM GILLIES WHITTAKER (1876-1944)
- Chorale Prelude 'Wir glauben all' in einem Gott, Vater' BWV740
WILLIAM WALTON (1902-1983)
- Chorale Prelude 'Herzlich tut mich verlangen' BWV727

A Bach Book for Harriet Cohenlook insideA Bach Book for Harriet Cohen(Transcriptions for pianoforte from the works of J. S. Bach). By Johann Sebastian Bach (1685-1750). Arranged by David Owen Norris. For Solo piano. Piano. Pieces & Studies. 40 pages. Published by Oxford University Press (OU.9780193392229)

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バッハ片手用編曲の17曲目は、オルガン曲の前奏曲とフーガ ト短調 BWV 535 より 前奏曲 を、左手だけで演奏できるように編曲しました。以前編曲した左手のためのトッカータとフーガ ニ短調 BWV 565と同様に演奏効果を意識した、演奏会向け編曲です。こちらの方がやや弾きやすく編曲できたと思います。まずは冒頭部です。Gの保続音はソステヌートペダルを使う指示をしています。

J. S. Bach/ Prelude from Prelude and Fugue in G minor BWV 535, arranged for left hand only by Hiroyuki Tanaka.

レシタティーヴォの部分と半音階で分散和音が下降する部分は、片手だと演奏が難しいですが、弾けないことはなく左手のための良い練習になるのではないでしょうか。そして終結部は、片手であっても重厚な響きを再現することができました。

J. S. Bach/ Prelude from Prelude and Fugue in G minor BWV 535, arranged for left hand only by Hiroyuki Tanaka.

近い将来、どこかの演奏会で実際に演奏してみたいと考えてます。

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プロフィール

田中 博幸 (Hiroyuki Tanaka
hiro105@cc.rim.or.jp
音楽、バッハ、ピアノが好きなサラリーマン。バッハのピアノ編曲に関する楽譜/音源を収集、研究している。フーガやカノンなどの対位法的楽曲を好む。ピアノの他、和声と対位法を勉強中。片手のためのピアノ編曲を創作。「左手のアーカイブ」プロジェクトで編曲家として活動。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
IMSLPに公開した作品は、クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 3.0 非移植 ライセンスに基づく。

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