左手のためのパッサカリア(BWV 582より)

バッハ片手用編曲の19曲目です。パッサカリア ハ短調 BWV 582(ただしフーガは除く)を、左手だけで演奏できるように編曲しました。低音域から高音域まで、またPPからFFまで広く使い、演奏会用途を意識した編曲です。
J. S. Bach/ Passacaglia in c minor, BWV 582 (except fugue) transcribed for piano left hand only by Hiroyuki Tanaka
原曲は有名なオルガン曲、手鍵盤+足鍵盤の曲を片手だけにするのはなかなか大変ですが、足鍵盤はほとんどがテーマを演奏していて、かつ二分音符+四分音符の同じリズムのため、片手で弾くための工夫が比較的しやすかったです。大変なのは手鍵盤+足鍵盤がそれぞれ大きく動くような変奏部分や、五〜六声まで厚くなる終結部などで、どう編曲するか音の構成を何度も考え直しました。フーガ部分はさらに複雑で、編曲を断念せざるを得ませんでしたが、フーガに入る前までの20の変奏は全て編曲しました。
今年は色々と大変で、創作はあまりたくさん残せなかったのですが、その中でも何とか規模が大きい1曲を完成できて良かったです。

管弦楽組曲のピアノ編曲版CD(全曲)

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カール=アンドレアス・コリー(Karl-Andreas Kolly, 1965-)の新譜、「管弦楽組曲 ピアノ編曲版」を紹介します。
バッハが4曲のこした管弦楽組曲(序曲) BWV 1066~BWV 1069 を、なんとコリー本人がピアノソロに編曲して録音したものです。
コリーは今までもバッハの代表的なクラヴィーア曲はもちろんのこと、ピアノ編曲も含め多くのCDを録音してきました。
バッハのスペシャリストによる自編自演集ということで、それだけで大きく期待してしまいます。
管弦楽組曲のピアノ編曲としては、何と言っても「G線上のアリア」として有名な第3番のエアの編曲が突出して多いですが、4つの管弦楽組曲の全曲編としてはレーガーの連弾用編曲くらいでしょうか。
第1番~第3番に限定すると、ラフ編ストラダル編マルトゥッチ編などがそれぞれ全楽章編曲されています。第4番の全楽章はピアノソロ編曲としては初めてだと思います。楽譜の出版をぜひとも期待したいところです。
ちなみに、既存の編曲を見比べながらコリー編を聴いてみると、特に各曲冒頭の序曲はラフ編に編曲の骨格がそっくりなことに気づきました。ラフ編をベースにして、トリルの入れ方やバスのオクターブ増強などにより効果的に出来る部分について、少し手を加えているのではないかと推測します。
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<収録曲>
管弦楽組曲 第1番 ハ長調 BWV 1066
管弦楽組曲 第2番 ロ短調 BWV 1067
管弦楽組曲 第3番 ニ長調 BWV 1068
管弦楽組曲 第4番 ニ長調 BWV 1069
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