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レオンハルト編曲の楽譜

leonhaldt_transcription.jpg

レオンハルトがチェンバロ用に編曲したバッハ無伴奏弦楽器組曲等の楽譜がついにベーレンライターから出版されました。ところどころ自筆譜も掲載されています。もちろんピアノでも演奏可能で、豪華な技巧系ピアノ編曲を好まない層にとっても、良いレパートリーになるはずです。

レオンハルトが、単旋律に隠れたポリフォニーをどう感じ取って楽譜に固定化したのか。バッハを勉強したい音楽愛好家にとっては絶対「買い」の楽譜だと思います。

<収録曲>
ソナタ ニ短調(無伴奏ヴァイオリンソナタ 第1番)
パルティータ ホ短調(無伴奏ヴァイオリンパルティータ 第1番)
パルティータ ト短調(無伴奏ヴァイオリンパルティータ 第2番)
ソナタ ト長調(無伴奏ヴァイオリンソナタ 第3番)
パルティータ イ長調(無伴奏ヴァイオリンパルティータ 第3番)
組曲 変ホ長調(無伴奏チェロ組曲 第4番)
組曲 ハ短調(無伴奏チェロ組曲 第5番)
組曲 ニ長調(無伴奏チェロ組曲 第6番)
アルマンド イ短調(無伴奏フルートパルティータ イ短調より)
サラバンド ハ短調(リュート組曲 ハ短調より)

アカデミアのリンクはこちら
https://www.academia-music.com/shopdetail/000000176928/

以前はLP、CDも流通していましたが、Amazonでは高く売られているようです。Amazonでもストリーミング・デジタルミュージックとしては直ぐ入手できます。

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2017年は、カノン形式を勉強してきました。演奏会で演奏させてもらった曲は、バッハの代表作品の一つと言える《ゴルトベルク変奏曲》BWV988の冒頭「アリア」と、1974年に発見された《ゴルトベルク変奏曲の低音8音に基づく14のカノン》BWV1087の2曲でした。
後者の14のカノンは、一旦は左手用編曲として思い立って取り組み、ブログに掲載しましたが、その後カノンの可能性に魅せられて両手用の編曲をつくり、演奏会で自分でも演奏させてもらいました。

以下は演奏会のプログラムノートに掲載した解説です。
14のカノン BWV1087は、《ゴルトベルク変奏曲》BWV988の初版のバッハ私蔵本、最終ページに書き込まれていたもので、「アリア」の最初の8音を元にした14種類のカノンです。この8音による基本主題は、基本形のほか反行形・逆行形・反行形の逆行形という4つの様相を持っており、それぞれが定旋律でありつつ、対位主題を生み出す動機にもなっています。
canon_themes.jpg

さて演奏にあたっては、原曲では楽器指定もなくカノン譜の解読が必要で、いくつかの解決譜も出版されているものの、一つ一つは短い無限カノンということもあり演奏される機会はあまり多くありません。そこで私の編曲では、カノン構成要素2つで主題提示した後、10のカノン変奏を展開し、最後にカノン構成要素2つに回帰するという構成で変奏曲にまとめ、ピアノで演奏し鑑賞に堪える楽曲を目指しました。
なお、オリヴィエ・アラン、クリストフ・ヴォルフ、及びマルセル・ビッチュ諸氏の解決譜を参考にさせてもらいました。

<主題提示>
 ゴルトベルク変奏曲「アリア」の冒頭基礎低音8音
 基本カノン: 反行形+反行形の逆行形 (Original:#2)
 基本カノン: 基本形+反行形 (Original:#3)
<変奏>
 第1変奏: 主題と対位主題1それぞれの基本形・反行形による四声二重カノン (Original:#5)
 第2変奏: 対位主題2の基本形・反行形による三声カノン (Original:#6)
 第3変奏: 対位主題3の基本形・反行形による三声カノン (Original:#7)
 第4変奏: アルト声部主題と対位主題4の基本形・反行形による三声カノン (Original:#8)
 第5変奏: 対位主題5の16分音符間隔によるオクターブカノン (Original:#9)
 第6変奏: 掛留による対位主題6の基本形・反行形による三声カノン (Original:#10)
 第7変奏: 二つの対位主題7、8の基本形・反行形による五声カノン (Original:#11)
 第8変奏: 拡大された基本主題と二つの対位主題9、10の基本形・反行形による五声カノン (Original:#12)
 第9変奏: 二つの対位主題11、12それぞれの基本形・反行形による六声三重カノン (Original:#13)
 第10変奏: 対位主題13の拡大形・縮小形による四声カノン (Original:#14)
<コーダ>
 基本カノン: 反行形+基本形 (Original:#4)
 基本カノン: 基本形+逆行形 (Original:#1)

カノンの勉強はまだまだ道半ば、来年も継続するつもりです。

Nebel: Opus Magnum 1

bach_nebel_opus.jpg
過去に2〜3年に1枚のペースでバッハピアノ編曲のCDをリリースしてきた、Angelika Nebelの最新作、『Opus Magnum 1』の紹介です。
(2010年:Bach-Transkriptionen、2013年:Bach Metamorphosis、2015年:Bach Illuminationes

ライナーノーツに書かれた解説によると、今回のCDは予定された2枚のうち1枚目とのこと、全24曲・長短全24調による多様なピアノ編曲をネーベルなりの方法でまとめたそうで、その半分が収録されています。そのまとめ方は、原曲の編成、曲調、編曲家の出身国など様々な属性について多様化を目指しているようです。続編も楽しみです。収録曲は以下の通り。

1. ハ長調 管弦楽組曲 第1番 ハ長調 BWV1066 より 「序曲」 (シュミット編)
2. ハ短調 ただ愛する神の摂理にまかす者 BWV647 (フェインベルグ編)
3. 嬰ハ長調 ジョヴァンニのアリア『あなたの心を私にくれるなら』 BWV518 (ネーベル編)
4. 嬰ト短調 カンタータ第40番 より コラール『イエスよ、あなたの四肢である私たちと』 (ネーベル編)
5. 嬰ヘ短調 マニフィカト BWV243 より 『主は権力あるものを地位からおろし』 (プラド編)
6. ト長調 最愛のイエス、われらここにあり BWV731 (コーエン編)
7. ヘ短調 前奏曲とフーガ ヘ短調 BWV534 (ダルベール編)
8. 変ロ長調 われ汝に別れを告げん BWV735 (フェインベルグ編)
9. イ長調 管弦楽組曲 第3番 ニ長調 BWV1068 より「ガヴォット」 (フレーディング編)
10. 嬰ハ短調 チェンバロ協奏曲 第2番 ホ長調 BWV1053 より「シチリアーノ」 (フィッシャー編)
11. ヘ長調 カンタータ第36番『喜びて舞いあがれ』 BWV36より「アリア」 (バウアー編)
12. 変ロ短調 カンタータ第127番『主イエス・キリスト、真の人にして神』 BWV127~アリア『魂は主の御手のうちに』 (バウアー編)

音源はHMV、Amazonそれぞれ以下で入手可能です。
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Canon realization in the form of variations on bass-ostinato (from Bach's 14 Canons on the first 8 fundamental notes of the Aria from Goldberg Variations, BWV 1087), compiled and transcribed for piano left hand only by Hiroyuki Tanaka.
左手のための、変奏曲形式によるカノンの展開(バッハ:ゴルトベルク変奏曲のバス8音に基づく14のカノン BWV1087)編作:田中博幸
bwv1087_left.jpg
片手用のバッハ編曲、理論先行型でありつつ演奏・鑑賞にも耐えうる作品が書けました。

BWV1087の14のカノンを、4つのカノン構成要素と10の応用カノンとみなして、カノン構成要素2つで主題提示、10のカノン変奏、カノン構成要素2つに回帰するという構成。10のカノン変奏では、すべてバスは繰り返し、繰り返し時に各対位主題の反行形、逆行形、拡大形、縮小形などを使いました。
同一バス上の変奏とするために、反行形では途中から繰り返し後の途中までという形でまとめ、片手演奏用に音形音域を変更したものも忠実に反行させています。上の譜例で、右上の第10変奏などは、前半は1/2縮小形として、後半は等倍・2倍拡大形をそれぞれバス主題(4倍拡大形)に組み合わせています。

カノンは、本来は複数声部の重なりと掛け合いがあってこそ味わえる魅力がありますが、残念ながら片手用編曲としては離れた音域の複数声部を重ねることは難しいです。一方でバッハが用意した対位主題の反行形、逆行形、拡大形、縮小形などを、バス主題上の変奏曲の形で並べることで新しい魅力が引き出せました。


左手のための組曲 ホ短調 BWV996

Suite in e minor, BWV 996, transcribed for the left hand only by Hiroyuki Tanaka. Happy belated J. S. Bach's birthday.
bwv996_left.jpg

プレリュード、アルマンド、クーラント、サラバンド、ブーレ、ジーグ、舞曲全てを左手用に編曲しました。
以前プレリュードの前半を小前奏曲として作っていましたが、後半のフガートもうまく編曲できたため、全曲の編曲に挑戦してみることにしました。
結果、ジーグ以外はかなりうまくいったと思います。ジーグについてはやや弾きづらく、改善の余地があります。
また、全体的に音域が低い方に偏っているため、イ短調にして少し音域を上げても良いかもしれません。

tagliapietra_582_etc.jpg
今まで何度か取り上げてきた、ターリアピエトラ(Gino Tagliapietra, 1887-1955) 編曲のパッサカリア (昨年秋の記事「ブゾーニ関連の2台ピアノ作品CD/DVD」や、六年前の記事「2台ピアノ編のパッサカリア」)について、ついに出版譜で入手することができました。
Ricordiから1955年に出版されたものです。あらためて、譜例とともに紹介したいと思います。

Bach=Tagliapietra/ Passacaglia in C minor BWV 582 (free transcription for two pianos)
↑冒頭はこのように3オクターブで演奏されます。

Bach=Tagliapietra/ Passacaglia in C minor BWV 582 (free transcription for two pianos)
↑旋律の端々をオクターブ化し、かつオクターブ上・下への移動によって広い音域を使って壮大さを表現するとともに、弾きやすさも確保しています。もし全てオクターブになっていたら弾きづらくかつ鈍重になっていたことでしょう。

Bach=Tagliapietra/ Passacaglia in C minor BWV 582 (free transcription for two pianos)
↑ここに挙げたような書法も随所にみられます。音の追加により和声も増強されています。

Bach=Tagliapietra/ Passacaglia in C minor BWV 582 (free transcription for two pianos)
↑極めつけはフーガの後半、この不協和音のトレモロに、オルガンペダル部もまたトレモロで重ね、その後への盛り上がりを表現しています。

タイトルに「自由な編曲」とある通り、三度や六度の和音増強の他、広い音域を駆使して二人の奏者にうまく割り振っており、ブゾーニ的な重厚なパッサカリアを期待する方にはすぐれた編曲と映ることでしょう。
音源はHMV、Amazonそれぞれ以下で入手可能です。
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シーモア・バーンスタイン(Seymour Bernstein, 1927-)編曲の楽譜が2冊届きました。カンタータ第106番からの前奏曲「神の時こそいと良き時」と、カンタータ第147番からのコラール「主よ人の望みの喜びよ」
特に前者については、今年日本でも公開された、シーモア氏についての映画『シーモアさんと、大人のための人生入門』 (原題: Seymour: An Introduction) の中で演奏されたこともあって、多くの音楽愛好家に注目を浴びた曲でした。
bernstein_prelude1.jpg
元はフリスキン編曲のものですが、既に絶版かつ、著作権も出版権も切れていないため、楽譜の入手が極めて難しくなっていました。私のもとにも多くの楽譜捜索のお問い合わせをいただきました。
シーモア氏のもとにも、楽譜はどうやったら入手できるか世界中から問い合わせが来ていたようで、自身の編曲を書くことに決めたとのこと。そしてその本人の解釈・編曲が施された楽譜が、Manduca社から出版されました。
フリスキン編との違いは、多くは詳細な指示(デュナーミク、ペダリング、装飾音)の書き込みと、低音の演奏が合理的になるような修正がいくつか見受けられます。
こうして良曲が入手し易くなることは大変喜ばしいことですし、今後は楽譜捜索の問い合わせへの回答にも明確に応えることができるのも良かったです。

バッハ=ストラダルのナナサコフCD

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バッハのブランデンブルク協奏曲、ストラダルによるピアノソロ編曲版について、ナナサコフによる録音が12月にリリースされます。(Amazonへの商品リンク
およそ6年前に、ストラダル編曲のブランデンブルク協奏曲集の楽譜校訂と解説執筆のお仕事をさせてもらった流れで(関係者は別ですが)、今回は楽譜提供とこのCDのブックレットの解説文を担当させていただきました。

傑作であるブランデンブルク協奏曲全6曲を中心に据えながら、ヴィヴァルディ等先輩の協奏曲を編曲したオルガン協奏曲、自身の旧作を編曲したチェンバロ協奏曲、つまりバッハの音楽人生と協奏曲との関わりを追った名曲群が、全てピアノ・ソロ用の編曲として収録されています。
ミヒャエル・ナナサコフは、Wikipediaにもある通りMIDI打ち込みと自動ピアノを組み合わせて楽曲演奏を行うヴァーチャルピアニストです。カツァリスやアムランにも難し過ぎると言わしめたこれらの編曲、まさにナナサコフの出番です。
音源化してくれたことに感謝です。収録曲は以下の通り。

[Disk 1]
(1) ブランデンブルク協奏曲 第1番 ヘ長調
(2) ブランデンブルク協奏曲 第2番 ヘ長調
(3) ブランデンブルク協奏曲 第3番 ト長調
(4) ブランデンブルク協奏曲 第4番 ト長調
(5) ブランデンブルク協奏曲 第5番 ニ長調

[Disk 2]
(1) ブランデンブルク協奏曲 第6番 変ロ長調
(2) チェンバロ協奏曲 第1番 ニ短調
(3) チェンバロ協奏曲 第5番 ヘ短調
(4) オルガン協奏曲 第2番 イ短調
(5) オルガン協奏曲 第4番 ハ長調
(6) オルガン協奏曲 第5番 ニ短調

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ブゾーニ関連の2台ピアノ作品CD/DVD

busoni-2pianos.jpg
2016年はブゾーニ生誕150年の年であり、そのアニバーサリー企画のCD(DVD)「Early Twentieth Century: in search of roots... Vol.1: Works For 2 Pianos」がリリースされました。
このCD/DVDのメインは、ブゾーニの対位法的幻想曲・2台ピアノ版と、ブゾーニの弟子だったイタリアの作曲家兼ピアニスト、ターリアピエトラ(Gino Tagliapietra, 1887-1955) 編曲のパッサカリアの2台ピアノ編。
六年前に、2台ピアノ編のパッサカリアという記事でこのターリアピエトラ編のパッサカリアについて書きましたが、当時は録音が無かったものが、CD・DVDとして聴けるようになりました。

他の収録曲も他に録音が少ないものであり、録音だけでなく映像としても収録されているため、貴重なリリースです。

<収録曲>
バッハ=ターリアピエトラ: パッサカリア ハ短調 BWV 582
ブゾーニ:対位法的幻想曲
・ブゾーニ:バッハのコラール「幸なるかな」による即興曲
・モーツアルト=ブゾーニ:自動オルガンのための幻想曲
・モーツァルト=ブゾーニ:協奏的小二重奏曲(ピアノ協奏曲第19番のフィナーレによる)

このブゾーニ・アニバーサリー企画のCD/DVDは、限定500枚(通番つき)とのことで、しばらくすると入手困難になることが予想されます。

HMVでの商品リンク

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カバレフスキー編曲のトッカータとフーガ「ドリア調」BWV538
bach_kabalevsky_538.jpg
2000年頃にNAXOSから出たCD、J.S.バッハの作品のピアノ用編曲に収録されて以来、この編曲の楽譜がどうやったら手に入るかと色々な方から問い合わせを受けました。私もコピーのコピーとしてしか持っておらず、自信を持って回答できずもどかしい思いをしてきました。
その後もhyperionからもロシア音楽家による編曲集有森氏によるカバレフスキー集、などにも取り上げられ、音楽愛好家の中ではバッハのピアノ編曲の傑作の一つとみなされてきた感があります。
そんなこの編曲、ようやく出版譜を入手することができました。輸入楽譜のカマクラムジカさんのメルマガでさらっと取り上げられていたのを見つけ、取り寄せてもらい購入しました。
今回はじめて知りましたが、Chant du Mondeというパリの出版社から、1994年に出版されていたようです。楽譜の注文は、カマクラムジカのブログ記事を確認してください。

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プロフィール

田中 博幸 (Hiroyuki Tanaka
hiro105@cc.rim.or.jp
音楽、バッハ、ピアノが好きなサラリーマン。バッハのピアノ編曲に関する楽譜/音源を収集、研究している。フーガやカノンなどの対位法的楽曲を好む。ピアノの他、和声と対位法を勉強中。片手のためのピアノ編曲を創作。「左手のアーカイブ」プロジェクトで編曲家として活動。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
IMSLPに公開した作品は、クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 3.0 非移植 ライセンスに基づく。

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