バッハのピアノ編曲・音盤紹介
Bach-Busoni Goldberg Variations
Bach-Busoni Goldberg Variations
  • Piano: David Buechner
  • Label: Connoisseur Society(CD 4212)

 デイヴィット・ベックナーは第8回チャイコフスキー国際ピアノコンクールに第6位に入賞したピアニストです。 CDのタイトルにもなっているとおり、このCDのメインはブゾーニ編の ゴルトベルク変奏曲で、世界初録音だそうです。 ブゾーニ編は私も楽譜を持ってますが、低音部を厚くしたり高音部に飾りをつけたりしているだけでなく、 とりわけ28〜30変奏のまさにピアニスティックな展開に驚かされます。 さらにはアリアの反復も、1オクターブ低い位置で、ずっしりとバスを聴かせるアリアで曲を締めくくっています。 バッハは好きだけれどもゴルトベルク変奏曲は長くて退屈、と感じる方にもぜひお勧めの盤です。
 その他に収録されている曲もまた面白いです。通常演奏される機会が少ない、いわゆる 「バッハの音楽をモチーフに作曲されたピアノ曲」です。 このCDで初めて知ったのが、「平均律第1巻第1番」のフーガと「フーガの技法」の未完フーガ最後のB-A-C-H主題を混ぜた 「Widmung(献呈)」です。 楽譜がなかなか手に入らないので耳コピして採譜してみました。 他にも、「平均律第1巻第5番」の前奏曲とフーガを混ぜた 「前奏曲とフーガ、フーガと装飾」も、 その他のピアニストによる音源と比べて非常に素晴らしい演奏で、前奏曲とフーガを同時に弾く箇所では綺麗に弾き分けられています。
 ただ、「バッハの主題による幻想曲」はアムランの演奏(Composer Pianists) が非常にすっきりと弾いているのに対して若干ムラがある演奏で、私は好きになれませんでした。バッハ=ブゾーニのコラール前奏曲も、 特徴のないありふれた、平坦な演奏です。 とはいえ、このCDの全体は野心あふれる選曲と演奏で、トータルに考えても是非手に入れておくべき1枚だと思います。




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