バッハの音楽の曲目データベース

編曲数: 2曲
■原曲情報
BWV 529 トリオソナタ 第5番 ハ長調 ハ長調

■編曲一覧
BWV 編曲者 曲名 調性 楽譜 音源
BWV 529/2 フェインベルグ トリオソナタ 第5番 ハ長調 より「ラルゴ」イ短調 イ短調
BWV 529 バビン トリオソナタ 第5番 ハ長調 (二台) ハ長調


■曲目・編曲内容解説

この曲は6曲あるトリオソナタの第5曲で、急-緩-急の3楽章構成をとり、ハ長調であるせいか明朗快活な音楽になっています。 右の譜例は第1楽章冒頭部のオルガン譜ですが、溌剌とした曲想が窺い知れると思います。 第2楽章は平行調のイ短調で、通奏低音上に装飾的なメロディが流れる叙情的な曲です。続く第3楽章はハ長調に戻り、快活なフーガを展開します。
もともとトリオソナタとは、2つの旋律楽器と通奏低音の3声部による室内楽的な性格を持つ音楽のことで、 バッハはオルガンのために両手鍵盤の2声とペダルとで音楽を作り上げています。

(Original - 1st. movement)
(Original - 1st. movement)


バッハ=フェインベルグ
ゆるやかに流れる音楽の中で広い音域にわたってちりばめられた装飾音、まさに「幻想曲」といった曲名がふさわしいと思います。 右下の譜例の通り楽譜は半分以上が3段譜になっており、時には手の交差を使いながら立体的な音楽を見事に弾き分けられるように編曲されています。2本の手で矛盾なく弾けるようになっていることだけを見ても驚異的な編曲です。オクターブで弾く通奏低音、高音域の声部、そしてロシア音楽の緩除楽章を思わせるメランコリックなメロディーを2本の手で交互に切れ目なく引き継いで歌うのは容易なことではありませんが、結果、ピアノ特有の美しい響きを獲得します。 荘重なオルガン曲をピアノの音響で表現するということにこだわらず純粋なピアノ曲として、もはや原曲がどのような曲だったかを思い起こす必要すらない、バッハの音楽のピアノ編曲の中でも有数の傑作だと思います。

ロシア国外では比較的知名度の低いフェインベルグですが、その作品の中でもこの曲はアルカディ・ヴォロドス、マリア・グリンベルグ、原田英代(メルジャーノフに師事したのでフェインベルグの孫弟子にあたるはずです)によるものなど複数の録音が残されており、 それも魅力的な曲であるからこそだと思います。 さらに編曲者自身による演奏も残されており、それはフェインベルグの死の数日前の録音とのこと。 音楽の内容、演奏の深遠さにはただただ驚かされるばかりです。
なお、楽譜は1965年にモスクワでMGIから出版されて以来長い間絶版となってましたが、2004年1月にスウェーデンの出版社「KEY n.8 Edition HB」から再出版されました(Kn. 8001 / ISMN M-9006029-1-6)。
(Bach=Feinberg/ Largo from Trio Sonata No.5)
(Bach=Feinberg - Beginning)


(Bach=Feinberg)

作成日:2004/02/15
更新日:2004/08/05

【凡例】
楽譜 ○:出版楽譜を所持、△:複写譜を所持、×:不所持
音源 ○:CD・LPを所持、△:非商用録音(アマチュアを含む)を所持、×:不所持


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