この曲は前奏曲とフーガの後に、サラバンド、ジーグ、ドゥーブル(ジーグの変奏)と続く、若干変則的な楽章構成による組曲です。
リュートまたはクラヴィーア用の楽曲とされてますが、資料として見つかっているのはクラヴィーア用と書いてあるそうです。
ひょっとしたらリュート用の原曲があってそのクラヴィーア用編曲が現在知られている形なのかもしれません。
良くイ短調に移調しギターで演奏されたりもします。
全曲を通して非常に美しく、大胆な音の選び方がされ、フーガは半音階主題による大規模なものです。
サラバンドでは情緒的なメロディーが奏でられ、続くジーグは付点リズムによりますが、
最後のドゥーブルではジーグの音楽を16分音符の連続で変奏し華やかに全曲を閉めくくります。
|
(Original)
|
バッハ=ペトリ
上のオリジナル譜をピアノで弾いてみるとわかりますが、原曲がリュート用ということもあり、
ピアノで弾くにはどうしても音域が偏りすぎていたり、音の隙間が多すぎたりと感じてしまいます。
中音域にもう1声旋律が欲しいと思っていたところに、この編曲を見つけて感激しました。
この編曲では対旋律の追加、メロディー音域の変更、和音への音の追加、通奏低音のオクターブ化などによって、
演奏会用アレンジとなっています。
私は、この版で補間された音を全て弾く必要は無い(特に低音のオクターブ)と思っていますが、
加えられた対旋律は積極的に盛り込み、効果的な装飾音を加えることで、クラヴィーアのための
6つのパルティータ集 にも劣らない充実した音楽になると思います。
この楽譜は、Breitkopfから出版されているブゾーニ版バッハ全集の第23巻(EB 4323)に収められています。
|
(Bach=Petri/ Partita c-moll)
|
バッハ=フランツ
上のペトリ編よりも、追加した旋律の数は多くなっていますが、過剰な印象は受けません。
ピアノで弾く場合に、オリジナルだと欠けている部分を補い、バランスを良くした編曲と言えます。
|
(Bach=Franz/ Suite c-moll)
|