昨年末から、フーガの技法 BWV 1080の勉強を始め、まずはコントラプンクトゥス4の練習に取りかかりました。フーガの技法は謎の多い作品で、そのほとんどがピアノソロでも演奏できますが、解釈も演奏家により多種多様。手元にあるピアノ演奏でのCDについて紹介したいと思います。ピアノでフーガの技法を全曲演奏している録音は意外とたくさん出ていますので、HMVやAmazonへのリンクをまとめます。 アンドラーシュ・シフや、アンジェラ・ヒューイットなどにもぜひ挑戦してもらいたいものです。

タチアナ・ニコラーエワ (Tatiana Nikolayeva) [HMV/Amazon]
フーガの技法のピアノ演奏で、ニコラーエワをはずすことはできないでしょう。おそらく最も早い時期(1967年)にピアノで全曲録音を果たしたピアニストです。ただし1967年に録音され70年代に発売されたレコードはCD化されておらず、その四半世紀後1992年に録音されたhyperion盤が現在入手できる録音です。1967年の録音に比べて全体的にテンポが遅めです。どの声部を聴いてもしっとりと歌われており、素晴らしい演奏です。私がフーガの技法を初めて知ったのもニコラーエワの演奏でした。ピアノソロのみ収録、CD2枚組。

エフゲニー・コロリオフ (Evgeni Koroliov) [HMV/Amazon]
1990年の録音、コロリオフのCDデビュー盤がこのCDとのこと。リゲティが無人島の一枚にコロリオフのバッハを選んだというエピソードはあまりにも有名。他の録音と比較してもテンポは全体的に相当速い方で、硬質な音で難解なフーガを明快かつ冷静に描いています。2台ピアノ版も収録、CD2枚組。

コンスタンチン・リフシッツ (Konstantin Lifschitz) [HMV/Amazon]
2009年の録音。他の録音と比較すると、どの曲も速すぎず遅すぎず、といったところでしょうか。2台ピアノ版も収録(多重録音)、さらに出版譜最後に付けられたコラール「我は汝の御座の前に進む BWV 668a」のピアノ演奏も収録されています。CD2枚組。
ニコラーエワ
コロリオフ
リフシッツ

グレゴリー・ソコロフ (Grigory Sokolov) [Amazon]
1982年の録音。全体的にテンポは速め。CD2枚組、パルティータ第2番を併録。

チャールズ・ローゼン (Charles Rosen) [Amazon]
1967年~1969年の録音。ニコラーエワの旧録に並んで古い録音。紹介するCDは2枚組ですが、1枚目はテューレックの弾くバッハ作品集、2枚目がローゼンが弾くフーガの技法です。ピアノソロのみCD1枚に収録。

アリス・アデール (Alice Ader) [HMV/Amazon]
2007年の録音。とてつもなく遅い解釈と、速めの解釈とが入り交じり、他の録音と比較すると同じ曲とは思えないものもあります。ライブ録音、CD2枚組。
ソコロフ
ローゼン
アデール

ピエール=ローラン・エマール (Pierre-Laurent Aimard) [HMV/Amazon]
2007年の録音。全体的にテンポは速め。ピアノソロのみCD1枚に収録。

ラミン・バーラミ (Ramin Bahrami) [HMV/Amazon]
2006年の録音。全体的にテンポは速め。ピアノソロのみCD1枚に収録。

ウラジールミル・フェルツマン (Vladimir Feltsman) [Amazon]
1996年の録音。全体的にテンポは速め。2台ピアノ版も収録、CD2枚組。
エマール
バーラミ
フェルツマン

高橋悠治 (Yuji Takahashi) [HMV/Amazon]
1740年頃に成立したと言われる初期稿(自筆譜)を元に演奏しています。CD1枚に収録。

イーヴォ・イエンゼン (Ivo Janssen) [Amazon]
2006年の録音。イエンゼンはバッハのメジャー曲からマイナー曲まで、全部ピアノで録音しようとしている意欲的なピアニスト。クセのないというか、素直に聴ける解釈には好感が持てます。ピアノソロのみCD1枚に収録。

アントン・バタゴフ (Anton Batagov) [HMV]
1993年の録音。全体を通して驚異的な遅さで、さらにフレーズが途切れるようで途切れないような、怖ろしい演奏です。残念ながら廃盤で、Amazonで見つけることはできませんでした。
高橋悠治
イエンゼン


ゾルタン・コチシュ (Zoltan Kocsis) [Amazon]
2011年1月19日時点で未聴。

ピオトル・スウォペツキ (Piotr Slopecki) [Amazon]
2011年1月19日時点で未聴。

アンドレ・ヴィエル (Andre Vieru) [Amazon]
2011年1月19日時点で未聴。
コチシュ
スウォペツキ
ヴィエル



<番外編>
グレン・グールド (Glenn Gould) [Amazon]
なお、かのバッハ弾き、グールドは、フーガの技法をよく演奏しましたが、全曲をピアノでは録音していません。オルガンでコントラプンクトゥス1~9(1962年の録音)、ピアノでコントラプンクトゥス1,2,4,14(1981年の録音)、9,11,13(1967年の録音)を録音しています。なおこのCDには、最後に「B-A-C-Hの主題による前奏曲とフーガ BWV898」が収録されています。偽作の疑いが濃い作品ですが、ピアノでの演奏が聴けるのは稀です。
グールド