片手のための2つのコラール

バッハのオルガン小曲集から、2つのコラールを片手だけで演奏できるように編曲しました。左手だけのためにと記しましたが、右手だけでも演奏可能です。

1曲目:「いざ来れ、異邦人の救い主よ」 BWV 599
2曲目:「古き年は過ぎ去り」 BWV 614

Piascore楽譜ストア:https://store.piascore.com/scores/232656

Sheet Music Plus:

Product Cover look inside Two Chorales for the left hand Composed by Johann Sebastian Bach (1685-1750). Arranged by Hiroyuki Tanaka. Baroque, Classical. Score. 3 pages. Hiroyuki Tanaka #912481. Published by Hiroyuki Tanaka (A0.1324283).

片手のための「甘き喜びのうちに」

クリスマスのコラール「甘き喜びのうちに」BWV729について、2015年に左手用に編曲し、左手のピアニストに演奏していただいたことがありましたが、あらためて細かい手直しを入れて、楽譜販売サイトで公開しました。左手だけで演奏することを想定して編曲しましたが、右手だけでも演奏できました。左手用の編曲と比較し、右手用の編曲は選択肢が少ないので、右手だけで演奏できる曲を探している方にもぜひ弾いていただきたいです。参考演奏として私が右手だけで演奏した動画をYouTubeにアップしました。

Bach=Tanaka/ In Dulci Jubilo BWV 729 for one hand only

Piascore楽譜ストア:https://store.piascore.com/scores/237311

Sheet Music Plus:

Product Cover look inside “In Dulci Jubilo” BWV 729 for One Hand Composed by Johann Sebastian Bach (1685-1750). Arranged by Hiroyuki Tanaka. Baroque, Christmas, Classical. Score. 4 pages. Hiroyuki Tanaka #931560. Published by Hiroyuki Tanaka (A0.1346777).

左手のためのトッカータとフーガ(BWV565)出版

ちょうど11年前に、演奏会用の左手用編曲として左手のためのトッカータとフーガ ニ短調(BWV 565)を創作した記事を書きました。今年の秋に演奏機会があり、改めて手直しを加え、楽譜ストアで公開することにしました。編曲曲目データベースを見ても、トッカータとフーガ ニ短調 BWV 565にはたくさんの編曲が存在しますが、その中に私の片手編曲も末席に加えられたかなと思います。参考演奏としてトッカータ部分のみYouTubeにアップしました。編曲としてはフーガまで通して作っていますので、腕に自信がある方に是非演奏してもらいたいです。

参考演奏(トッカータのみ):

Piascore楽譜ストア:https://store.piascore.com/scores/229606

Sheet Music Plus:

Product Cover look inside Toccata and Fugue in d minor for the left hand, BWV 565 Composed by Johann Sebastian Bach (1685-1750). Arranged by Hiroyuki Tanaka. Baroque, Classical. Score. 14 pages. Hiroyuki Tanaka #902964. Published by Hiroyuki Tanaka (A0.1314225).

バッハ「左手のための前奏曲集 vol.1」(田中編)

2011年から続けている左手のためのバッハ・ピアノ編曲の中から、オルガン曲を中心とした前奏曲とフーガからの編曲を、出版社のMuse Pressで曲集として出版してもらいました。
バッハ「左手のための前奏曲集 vol.1」です。古いものでは2013年に編曲した左手のためのオルガン前奏曲(BWV535より)に遡りますが、今回曲集にまとめるにあたり、「左手のためのバッハ・編曲プロジェクトチーム」(左手のピアニストとして活動する智内威雄氏、山中哲人氏、及び田中)による企画に乗せてもらう形で、以下のような編曲方針に統一して全曲を手直ししました。

(楽譜の緒言より抜粋)
バッハ自身による左手のためのオリジナル作品や編曲が存在しない以上、「バッハによる左手ピアノの音楽」は想像の域にあることは言うまでもありません。そこで、原曲に対して音数を敢えて減らすからこそ表現できるハーモニーやフレーズの魅力、リズムの連続性などを発見しながら、原曲の価値を損ねることがないように編曲すること。この一点を方針としてプロジェクトチームと共有し、世に問う価値があると判断した編曲のみを曲集に採用しました。
編曲にあたっては「左手による演奏」に無理が生じないように配慮したことはもちろんですが、他方でなるべくバッハ本来の響きを損なわないようにするために、ピアノ特有のダイナミズムに依存することのない編曲を心がけました。そうすることで、片手奏法の面からバッハ作品の解釈幅を広げる可能性を模索しました。

こうして出来上がった曲集は、左手のための新たなバッハ・レパートリーとして完成度の高いものになったと自負しています。今回Vol.1として出版してもらったため、Vol.2以降も出せるように引き続き編曲を続けていこうと思います。

バッハ「左手のための前奏曲集 vol.1」
<収録曲>
前奏曲 ト短調 BWV535/1
前奏曲 イ長調 BWV536/1
前奏曲 ヘ短調 BWV534/1
前奏曲 変ホ短調 BWV853/1
前奏曲 ハ長調 BWV531/1
前奏曲とフーガ ホ短調 BWV533

¥2,500
税込|菊倍|24頁
https://muse-press.com/item/mp03301/

K. Kojima played Bach=Tanaka BWV535/1

左手で演奏活動されている児嶋顕一郎さんが、リヴォルノ・ピアノ・コンペティション 2019 (Livorno Piano Competition 2019)にて、私の編曲 左手のためのオルガン前奏曲(BWV535より)を演奏されました。YouTubeに公開されているため、紹介させていただきます。
Johann Sebastian Bach : Prelude for Olgan in G-minor BWV535/1
(Transcribed for the left hand alone by Hiroyuki Tanaka)
Livorno Piano Competition 2019
https://youtu.be/psHBMF-Umh8

ゴルトベルク変奏曲の低音8音に基づく14のカノン BWV1087 (田中編)

2017年は、カノン形式を勉強してきました。演奏会で演奏させてもらった曲は、バッハの代表作品の一つと言える《ゴルトベルク変奏曲》BWV988の冒頭「アリア」と、1974年に発見された《ゴルトベルク変奏曲の低音8音に基づく14のカノン》BWV1087の2曲でした。
後者の14のカノンは、一旦は左手用編曲として思い立って取り組み、ブログに掲載しましたが、その後カノンの可能性に魅せられて両手用の編曲をつくり、演奏会で自分でも演奏させてもらいました。

以下は演奏会のプログラムノートに掲載した解説です。
14のカノン BWV1087は、《ゴルトベルク変奏曲》BWV988の初版のバッハ私蔵本、最終ページに書き込まれていたもので、「アリア」の最初の8音を元にした14種類のカノンです。この8音による基本主題は、基本形のほか反行形・逆行形・反行形の逆行形という4つの様相を持っており、それぞれが定旋律でありつつ、対位主題を生み出す動機にもなっています。
canon_themes.jpg
さて演奏にあたっては、原曲では楽器指定もなくカノン譜の解読が必要で、いくつかの解決譜も出版されているものの、一つ一つは短い無限カノンということもあり演奏される機会はあまり多くありません。そこで私の編曲では、カノン構成要素2つで主題提示した後、10のカノン変奏を展開し、最後にカノン構成要素2つに回帰するという構成で変奏曲にまとめ、ピアノで演奏し鑑賞に堪える楽曲を目指しました。
なお、オリヴィエ・アラン、クリストフ・ヴォルフ、及びマルセル・ビッチュ諸氏の解決譜を参考にさせてもらいました。
<主題提示>
ゴルトベルク変奏曲「アリア」の冒頭基礎低音8音
基本カノン: 反行形+反行形の逆行形 (Original:#2)
 基本カノン: 基本形+反行形 (Original:#3)
<変奏>
第1変奏: 主題と対位主題1それぞれの基本形・反行形による四声二重カノン (Original:#5)
第2変奏: 対位主題2の基本形・反行形による三声カノン (Original:#6)
第3変奏: 対位主題3の基本形・反行形による三声カノン (Original:#7)
第4変奏: アルト声部主題と対位主題4の基本形・反行形による三声カノン (Original:#8)
第5変奏: 対位主題5の16分音符間隔によるオクターブカノン (Original:#9)
第6変奏: 掛留による対位主題6の基本形・反行形による三声カノン (Original:#10)
第7変奏: 二つの対位主題7、8の基本形・反行形による五声カノン (Original:#11)
第8変奏: 拡大された基本主題と二つの対位主題9、10の基本形・反行形による五声カノン (Original:#12)
第9変奏: 二つの対位主題11、12それぞれの基本形・反行形による六声三重カノン (Original:#13)
第10変奏: 対位主題13の拡大形・縮小形による四声カノン (Original:#14)
<コーダ>
基本カノン: 反行形+基本形 (Original:#4)
基本カノン: 基本形+逆行形 (Original:#1)
カノンの勉強はまだまだ道半ば、来年も継続するつもりです。

変奏曲形式によるカノンの展開 BWV1087

Canon realization in the form of variations on bass-ostinato (from Bach’s 14 Canons on the first 8 fundamental notes of the Aria from Goldberg Variations, BWV 1087), compiled and transcribed for piano left hand only by Hiroyuki Tanaka.
左手のための、変奏曲形式によるカノンの展開(バッハ:ゴルトベルク変奏曲のバス8音に基づく14のカノン BWV1087)編作:田中博幸
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片手用のバッハ編曲、理論先行型でありつつ演奏・鑑賞にも耐えうる作品が書けました。
BWV1087の14のカノンを、4つのカノン構成要素と10の応用カノンとみなして、カノン構成要素2つで主題提示、10のカノン変奏、カノン構成要素2つに回帰するという構成。10のカノン変奏では、すべてバスは繰り返し、繰り返し時に各対位主題の反行形、逆行形、拡大形、縮小形などを使いました。
同一バス上の変奏とするために、反行形では途中から繰り返し後の途中までという形でまとめ、片手演奏用に音形音域を変更したものも忠実に反行させています。上の譜例で、右上の第10変奏などは、前半は1/2縮小形として、後半は等倍・2倍拡大形をそれぞれバス主題(4倍拡大形)に組み合わせています。
カノンは、本来は複数声部の重なりと掛け合いがあってこそ味わえる魅力がありますが、残念ながら片手用編曲としては離れた音域の複数声部を重ねることは難しいです。一方でバッハが用意した対位主題の反行形、逆行形、拡大形、縮小形などを、バス主題上の変奏曲の形で並べることで新しい魅力が引き出せました。

左手のための組曲 ホ短調 BWV996

Suite in e minor, BWV 996, transcribed for the left hand only by Hiroyuki Tanaka. Happy belated J. S. Bach’s birthday.
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プレリュード、アルマンド、クーラント、サラバンド、ブーレ、ジーグ、舞曲全てを左手用に編曲しました。
以前プレリュードの前半を小前奏曲として作っていましたが、後半のフガートもうまく編曲できたため、全曲の編曲に挑戦してみることにしました。
結果、ジーグ以外はかなりうまくいったと思います。ジーグについてはやや弾きづらく、改善の余地があります。
また、全体的に音域が低い方に偏っているため、イ短調にして少し音域を上げても良いかもしれません。

‘Sonata’ from Cantata No.182 for piano solo

前回更新に引き続き、昔の作品、カンタータ 第182番 「天の王よ、汝を迎えまつらん」 BWV 182 より 第1曲「ソナタ」 を、見直して細かい手直しを加え、楽譜をSheet Music Plusで運営しているSMP Pressにて、PDFで販売することにしました。
‘Sonata’ from Cantata No.182 “Himmelskönig, sei willkommen” BWV 182

Cover tiny file
look inside
Sonata from Cantata No.182, for piano solo
Composed by Johann Sebastian Bach (1685-1750). Arranged by Hiroyuki Tanaka. For Piano Solo. Baroque Period. Advanced Intermediate. Piano Reduction,Solo Part. 3 pages. Published by Hiroyuki Tanaka (S0.130151).

平均律第1巻からの2つの左手編曲(変ホ短調、ロ短調)

昨年末より、集中的にバッハのピアノ曲を片手用に編曲する取り組みを進めています。詳細は後にあらためて書きますが、小規模な曲を中心に編曲しており、その中で3月に完成させたやや規模が大きい2つの作品について今回は書きたいと思います。2つとも平均律クラヴィーア曲集 第1巻から、フーガを除く前奏曲です。
1つ目は第8番の変ホ短調で、編曲にあたってはニ短調に移調し、メロディーラインはオクターブ下げています。諸事情によりニ短調に移調しましたが、変ホ短調の版も作ってあります。
J. S. Bach/ Prelude D minor(original is E flat minor) from WTC Book I, arranged for left hand only by Hiroyuki Tanaka.
Bach=Tanaka/Prelude in D minor(original is E flat minor) BWV 853/1 for left hand only
2つ目は、第24番のロ短調です。こちらは、原曲のバスを割愛し、上二声をオクターブ下げてデュエットの形にしました。部分的にバスを補っていますが、基本は上二声だけで崇高な音楽が成立します。
J. S. Bach/ Prelude B minor from WTC Book I, arranged as a duet for left hand only by Hiroyuki Tanaka.
Bach=Tanaka/Prelude in B minor BWV 869/1 for left hand only
両曲ともに平均律第1巻の中では大変人気の高い曲であり、このような編曲は非難されることを覚悟した上で。