黒田編:左手のためのサラバンド(BWV 1012 より)

去る 2013/9/16、ワンハンド・ピアノフェスタ!に参加してきました。片手のためのピアノ音楽を扱ったピアノの集まりで、発表会、公開レッスン、懇親会などが行われました。
私は編曲家として主催者側の立場でもあったのですが、台風がちょうど日本を縦断するという生憎の悪天候、無事に開催できるかどうか前日からずっと気を揉んでいました。残念ながら交通機関の問題で参加できなかった方もいらしたのですが、駆けつけてくださった方々とは新しい出会いもあり、大変刺激的な一日を過ごすことが出来ました。
今回は新しい出会いの一つ、黒田貴史さんとその編曲作品の紹介をします。
ピアノとギターを嗜む黒田さんは、今年右手を怪我されたことをきっかけに左手のためのピアノ曲に出会ったそうです。左手曲とギター曲の共通点を見出し、四月にご自身で左手用に編曲した、バッハのサラバンド(無伴奏チェロ組曲第6番より)を演奏されました。さらにこの曲を題材に、左手のピアニストによる公開レッスンにも臨まれました。心を打つ素晴らしい編曲であり、手書きの譜面だったため、お願いをし私の方で浄書させてもらいました。以下はその冒頭部分です。
J. S. Bach/ Sarabande from Cello Suite No. 6 BWV 1012 , arranged for left hand only by Takashi Kuroda.
無伴奏チェロ組曲の楽譜は、オリジナルのままでも多くの部分が左手だけで演奏できますが、左手だけで演奏しやすいように音価をばらしたり、響きを補うための音の追加が適度に施されています。なお演奏にあたり、音域の広い和音は分散させて弾くことになりますが、最高音などはあわてずにゆったりと弾くことでよりよく響くと、左手のピアニストからアドバイスがありました。
ご本人からも公開の許可をいただいてますので、弾いてみたい方がいらっしゃればご連絡ください。