EMIから、面白い録音がリリースされました。
ゴルトベルク変奏曲を、ラインベルガー(Josef Reinberger, 1839-1901)が2台ピアノに編曲し、その後レーガー(Max Reger, 1873-1916)が改訂、さらに今回の演奏にあたって近年の演奏解釈とした演奏です。演奏者はY. TalとA. Groethuysen。このジャケットのリンクはHMVのもので、視聴もできるようなので是非聴いてみて下さい。以前ブゾーニ版のゴルトベルク変奏曲についての記事を書きましたが、それよりもさらに過激な編曲に聞こえることでしょう。
ゴルトベルク変奏曲の原曲は、2段鍵盤を持つチェンバロのために書かれており、ピアノを含め、1段の鍵盤では難しい部分もありますが、この2台ピアノ編ではそういう部分で音楽の交差を上手く表現しています。また、片方がオリジナルのまま演奏し、もう片方が新しい音楽を演奏するという箇所もあり、この変奏はどういう変貌を遂げるのか、という期待を抱かせる音楽展開でもあります。
楽譜は、ラインベルガー編も、そのレーガー改訂版も、共にIMSLPでも掲載されていますので、見比べてみるのも面白いかも知れません。音楽の追加はラインベルガー編にてほぼ全て行われており、レーガーの改訂は細かい表現の指定、強弱、テンポ、アーティキュレーションなどがほとんどだと思われます。レーガーの改訂版は出版譜を持っていますが、見ながらこのCDを聴いてみたところ、大分解釈を変えて演奏しているようで、そこがこのCDの魅力かも知れません。
バッハオリジナルへの冒涜などと思わずに、音楽表現の豊かさの一端を感じてみてはいかがでしょうか。なお、Amazonであれば以下のリンクで買えます。
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