バッハ弾き~ヴラジーミル・フェルツマン

バッハを弾くピアニストとして以前リストアップしましたが、その中で私が個性的で良い演奏だと思っている、ヴラジーミル・フェルツマン(Vladimir Feltsman)について、最近録音が入手しやすくなったので紹介したいと思います。
私がフェルツマンのバッハ録音に初めて触れたのは5~6年前、国内盤のパルティータ全集でしたが、 これがまた素晴らしい演奏で、「この人の弾くバッハを聴きたい」という気にさせられた、私にとって久しぶりのヒットでした。同CDに収録されている2声のインヴェンションもアーティキュレーションが独特でとても楽しく、15曲一気に聴いてしまいたくなる演奏でした。
そんな中、とあるネット通販の店主からフェルツマンの弾くゴルトベルク変奏曲のCDが素晴らしいとの情報をもらいました。 そこで中古市場を探してフェルツマンの弾くバッハの録音(当時はMaster Musicから出ていましたが、廃盤とのことでした)を集中的に 買い集めました。手に入れたのは平均律第1巻・第2巻フーガの技法ゴルトベルク変奏曲協奏曲集(これらのリンクは近年の再販盤です)。 この人の弾くバッハは、何というか、聴いていてワクワクさせられるような独特の解釈でありながら、それは決して奇異なものでなく、 吸い込まれていくような魅力に溢れています。特にゴルトベルク変奏曲や平均律、こんな曲だったっけと随所で思わされます。 聴いてみるとすぐに気づくと思いますが、リピートでの即興の展開がバリエーションに富んでいるのです。 よくメヌエットなどでリピートでは1オクターブ高く弾いたりする演奏家もいますが、フェルツマンは カノンやフーガのある声部がオクターブ高かったり低かったり、巧妙に組み合わせピアノの特性を上手く音楽表現に用いています。 「バッハの音楽をピアノで」という当サイトの考え方からしても、このフェルツマンの演奏は理想的な演奏のひとつだと私は思いました。
その後、国内盤としてイギリス組曲集がリリースされ、さらには近年、廃盤だったMaster Musicからの録音がNimbusから廉価版として再リリースされました。これによって、彼のユニークなバッハ演奏が少しでも多くの音楽愛好家に聴かれることを願ってます。そして、まだ出ていない、フランス組曲や3声のシンフォニア、その他の自由曲なども、ぜひ録音して欲しいものです。

(注:その後、2016〜2017年にフランス組曲3声のシンフォニア・小前奏曲等もリリースされました)


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パルティータ集
イギリス組曲集
平均律集
ゴルトベルク変奏曲
フーガの技法
協奏曲集
フランス組曲

インヴェンションとシンフォニア・小前奏曲

フーガの技法(連弾版)

先日演奏会で、音楽仲間が弾いたフーガの技法(連弾版)がとても良い編曲だと思ったので(今まで知りませんでした)、早速購入してみました。改めて譜面を見て、やはり良い編曲なので、ぜひともここで紹介したいと思います。
編曲者はヤーノシュ・ツェグレディ(Janos Cegledy, 1937-)、全音ピアノライブラリーの「ピアノ連弾名曲選集(1)」に含まれています。収録曲はフーガの技法の中から、コントランプンクトゥスの第1番と第4番。ツェグレディの編曲では、低音・高音それぞれを効果的に使って音楽を立体的に表現し、対位法的な音の扱いを聞き手にわかり易い形で表現しています。
なおツェグレディについて調べてみると、ピアニスト兼作曲家で、日本レシェティツキ協会を発足させた人のようです。
何にせよ、良い編曲を教えてくれた音楽仲間にも感謝です。
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