バルトーク(Béla Bartók, 1881-1945)は、多くの自作曲を残した他に、編曲や楽譜の校訂も行っていました。その中で、バッハの平均律クラヴィーア曲集全2巻の校訂版が、EMB(EDITIO MUSICA BUDAPEST)から出版されています。
このバルトーク版平均律曲集、最も特徴的なのは、バッハ・オリジナルの全2巻48曲を教育目的で難易度別に並べ替えてあることでしょう。そして、演奏記号、運指、解釈等が細かく書き込まれた、実用版曲集になっています。また、一部の複雑なフーガは総譜で書かれており、その構造がわかりやすくなっています。曲目順番のオリジナルとの対応は以下の通りです。
<バルトーク校訂版 第1巻>
バルトーク校訂版 | オリジナル | 備 考 |
---|---|---|
No. 1 | 第2巻 第15番 ト長調 BWV 884 | |
No. 2 | 第1巻 第6番 ニ短調 BWV 851 | |
No. 3 | 第1巻 第21番 変ロ長調 BWV 866 | |
No. 4 | 第1巻 第10番 ホ短調 BWV 855 | |
No. 5 | 第2巻 第20番 イ短調 BWV 889 | |
No. 6 | 第1巻 第11番 ヘ長調 BWV 856 | |
No. 7 | 第1巻 第2番 ハ短調 BWV 847 | |
No. 8 | 第1巻 第9番 ホ長調 BWV 854 | |
No. 9 | 第1巻 第13番 嬰ヘ長調 BWV 858 | |
No. 10 | 第2巻 第21番 変ロ長調 BWV 890 | |
No. 11 | 第2巻 第6番 ニ短調 BWV 875 | |
No. 12 | 第2巻 第19番 イ長調 BWV 888 | |
No. 13 | 第2巻 第11番 ヘ長調 BWV 880 | |
No. 14 | 第1巻 第19番 イ長調 BWV 864 | |
No. 15 | 第1巻 第14番 嬰ヘ短調 BWV 859 | |
No. 16 | 第1巻 第18番 嬰ト短調 BWV 863 | |
No. 17 | 第2巻 第2番 ハ短調 BWV 871 | |
No. 18 | 第1巻 第5番 ニ長調 BWV 850 | |
No. 19 | 第1巻 第7番 変ホ長調 BWV 852 | |
No. 20 | 第2巻 第14番 嬰ヘ短調 BWV 883 | |
No. 21 | 第2巻 第7番 変ホ長調 BWV 876 | |
No. 22 | 第1巻 第1番 ハ長調 BWV 846 | |
No. 23 | 第1巻 第17番 変イ長調 BWV 862 | |
No. 24 | 第2巻 第13番 嬰ヘ長調 BWV 882 |
<バルトーク校訂版 第2巻>
バルトーク校訂版 | オリジナル | 備 考 |
---|---|---|
No. 25 | 第1巻 第15番 ト長調 BWV 860 | |
No. 26 | 第2巻 第12番 ヘ短調 BWV 881 | |
No. 27 | 第2巻 第1番 ハ長調 BWV 870 | |
No. 28 | 第2巻 第24番 ロ短調 BWV 893 | |
No. 29 | 第2巻 第10番 ホ短調 BWV 879 | |
No. 30 | 第1巻 第16番 ト短調 BWV 861 | フーガが総譜 |
No. 31 | 第2巻 第5番 ニ長調 BWV 874 | フーガが総譜 |
No. 32 | 第2巻 第18番 嬰ト短調 BWV 887 | |
No. 33 | 第1巻 第24番 ロ短調 BWV 869 | |
No. 34 | 第2巻 第9番 ホ長調 BWV 878 | |
No. 35 | 第2巻 第4番 嬰ハ短調 BWV 873 | |
No. 36 | 第1巻 第23番 ロ長調 BWV 868 | |
No. 37 | 第2巻 第3番 嬰ハ長調 BWV 872 | |
No. 38 | 第1巻 第12番 ヘ短調 BWV 857 | |
No. 39 | 第1巻 第3番 嬰ハ長調 BWV 848 | |
No. 40 | 第2巻 第8番 嬰ニ短調 BWV 877 | |
No. 41 | 第1巻 第22番 変ロ短調 BWV 867 | フーガが総譜 |
No. 42 | 第2巻 第17番 変イ長調 BWV 886 | |
No. 43 | 第1巻 第4番 嬰ハ短調 BWV 849 | フーガが総譜 |
No. 44 | 第1巻 第8番 変ホ短調 BWV 853 | フーガもes(オリジナルはdis) |
No. 45 | 第1巻 第20番 イ短調 BWV 865 | |
No. 46 | 第2巻 第22番 変ロ短調 BWV 891 | |
No. 47 | 第2巻 第16番 ト短調 BWV 885 | |
No. 48 | 第2巻 第23番 ロ長調 BWV 892 |
楽譜はこちらで購入できます。(Sheet Music Plus)
look inside | Well Tempered Clavier – Volume 1 BWV 846-869 Composed by Johann Sebastian Bach (1685-1750). EMB. Classical. Editio Musica Budapest #Z4475. Published by Editio Musica Budapest (HL.50511459). |
look inside | Well Tempered Clavier – Volume 2 BWV 870-893 Composed by Johann Sebastian Bach (1685-1750). EMB. Editio Musica Budapest #Z4476. Published by Editio Musica Budapest (HL.50511460). |
さて、先日購入したA Cathedral for BachというCDに、このバルトーク版平均律を元にした録音が含まれていました(抜粋で4曲ほどですが)ので、紹介したいと思います。
収録曲目は以下の通り。
・ブゾーニ/バッハの主題による幻想曲
・バッハ/平均律第2巻 第21番 変ロ長調 BWV 890 (バルトーク版に基づく)
・バッハ=ブゾーニ/「アダムの罪によりてすべて損なわれぬ」 BWV 637
・バッハ/平均律第2巻 第20番 イ短調 BWV 889 (バルトーク版に基づく)
・バッハ=ブゾーニ/「今ぞ喜べ、愛するキリスト者の仲間たち」 BWV 734
・バッハ/平均律第1巻 第2番 ハ短調 BWV 847 (バルトーク版に基づく)
・バッハ=ブゾーニ/「汝のうちに喜びあり」 BWV 615
・バッハ/平均律第1巻 第24番 ロ短調 BWV 869 (バルトーク版に基づく)
・バッハ=ブゾーニ/「アダムの罪によりすべては失われぬ」 BWV 705
・ブゾーニ/対位法的幻想曲
—-(ご参考)Amazonでの入手方法—-