ドーヴァーから、ブゾーニのバッハ編曲集楽譜の第二弾が出版されました。編者は、過去の記事:ブゾーニ版バッハ集のCD 第1弾のピアニスト、サラ・デイヴィス・ビュークナー(Sara Davis Buechner)。収録曲は以下の通りです。
・ゴルトベルク変奏曲 BWV 988
・半音階的幻想曲とフーガ BWV 903
・対位法的幻想曲(BWV 1080に基づく)
・ピアノ協奏曲 ニ短調 BWV 1052
この楽譜には、ブゾーニ版バッハ全集の冒頭に掲載されていたものの、今まで初版以来転載されることのなかった「献呈(Widmung)」が付録でついています。以前このページでも何度かWantedとして書いてきたもので、自分で耳コピ譜を起こしたくらいです。今回長年探していた楽譜を見ることができて、とても嬉しいです。さてこの曲、平均律第1巻の第1番のフーガの主題と、フーガの技法(の未完の3重フーガの3つ目、B-A-C-H)の主題を組み合わせた、1ページの手書き譜でした。
10年ほど前に耳コピ採譜した楽譜がこちら。
今回ドーヴァー版に掲載された手書き譜がこちら。
ゴルトベルク変奏曲やピアノ協奏曲 ニ短調については、Breitkopf版のリプリントのようです。過去に何度かCDの紹介を書いているので、その記事をご参照下さい。
過去の記事:ブゾーニ版バッハ集のCD 第1弾(2008/10/5)
過去の記事:ブゾーニ編のピアノ協奏曲 二短調 BWV 1052(2009/3/26)
半音階的幻想曲とフーガのブゾーニ編は、特に幻想曲において多くの改変が加えられています。オリジナルのアルペジオ表記部分、およびレシタティーヴォ部分は低音和音が増強され重厚な響きになっています。フーガも部分的にバスのテーマ時にオクターブを重ねるところがあります。10年以上前に私が挑戦したことがあり映像が残っているので紹介します。(今聞き直してみるとだいぶ音が間違っていたりするのですが聞き流して下さい)
対位法的幻想曲は、細かい記載は無かったのですが、1912年の最終稿です。
その他にも、 An Experiment in New Organic Music Notation として、半音階的幻想曲を独自の記譜法 Klavier Noten Schrift で掲載されています。
以上、収録内容を取り上げました。ドーヴァー版として廉価で入手しやすくなったことは歓迎されるべきことですね。