カンタータ第196番「主はわれらをみ心にとめたまえり」より第1曲「シンフォニア」
‘Sinfonia’ from Cantata No.196 “Der Herr danket an uns” BWV 1196
2015年3月21日、バッハの生誕330年の誕生日(をちょうどいい口実に)、久しぶり(何と5年ぶり!)に両手のための編曲を完成させました。
カンタータ第196番「主はわれらをみ心にとめたまえり」のシンフォニアをピアノソロに編曲しました。今回はピアノ用に適した書法というよりも、複数声部の器楽合奏曲を三声部に凝縮するという試みです。ピアノ高音部の使用も、低音のオクターブ化も避け、ピアノだけでなくチェンバロでの演奏も可能にしています。
(Bach=Tanaka/ Sinfonia from Cantata No.196 BWV 196)
原曲は二つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、通奏低音による合奏ですが、一台の鍵盤楽器で演奏できる三声として、音域が近すぎず遠すぎず、最適な配置になることに注意を払って編曲しました。その際に、音楽が不自然にならない前提で、声部の統合や音域の変更は躊躇せずに実施しています。
実はこの曲、一度はピアノに適した編曲を目指して低音のオクターブ化や音の追加を行い、ある程度の形まで作っていたのですが、推敲途中でシンプルにした方がいいのではないかという思いから少しずつ音をそぎ落としているうちに、三声で書き直した方が良いのではないかと思い直して路線変更しました。原曲の音をできる限りたくさん拾うという努力ではなく、音を省きつつ凝縮していこうという努力。これもなかなか難しいですが挑戦のし甲斐がありました。