コラールパルティータ 「キリストよ、汝真昼の光」 BWV 766
Chorale Partita ‘Christ, der du bist der helle Tag’ BWV 766
先日の記事で取り上げた「バッハの主題による幻想曲」の中心となるバッハの原曲、コラールパルティータ「キリストよ、汝真昼の光」 BWV 766が、ストラーダルが手稿譜として残した編曲の中に含まれています。この曲も私が浄書したので、その一部をMIDIファイル付きで紹介します。
曲の構成としては、まずコラールの主題を提示し、その後6つの変奏が繰り広げられ(全部で7つの変奏)、最後に主題が回帰します。原曲のオルガンでも第6変奏までは手鍵盤のみで演奏でき、最後の第7変奏でペダルに主題が現れ5声で力強く締めくくられます。以下の楽譜は、ストラーダル編のコラール主題部です。
■コラール主題
ストラーダルの編曲では、第1~第6変奏の途中までは比較的おとなしく、強弱やペダル記号の追記以外はほとんど原曲と同じです。あたかもクラヴィーア曲のような趣ですが、第6変奏の途中から次第に和音が拡大され、第7変奏で盛り上がりの頂点を築きます。以下の楽譜が第7変奏、一見複雑そうに見えますが、演奏はさほど難しくありません。特にこの第7変奏は強弱の対比も見事で、ピアノで演奏することにより、より華やかさが前面に出ると思います。なおこの第7変奏も、ブゾーニの「バッハの主題による幻想曲」で使われています。
■第7変奏
バッハのオリジナル曲で、ゴルトベルク変奏曲が圧倒的な存在感を示しているとはいえ、モーツアルト等の後世の音楽家と比べてピアノで演奏できる変奏曲の数が少ないのは事実です。こうしてピアノでバッハの変奏技法を楽しむというのも一興だと思います。