バッハをピアノで、という分野で大変興味深いCDが発売されました。タイトルは「 『B-A-C-H 変貌するバッハ、ピアノ・トランスクリプションズ』 菊地裕介」、有名なブゾーニ、ラフマニノフ、ケンプ、ヘス等の編曲に加え、菊地氏自身の編曲も併せて収録されています。
ブゾーニのシャコンヌは、無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番の終曲。本来は、アルマンド、クーラント、サラバンド、ジーグ、そしてシャコンヌと5曲からなる組曲です。
この無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番の全曲(シャコンヌ以外)は、有名な音楽家によるピアノ編曲は未だ無いと思われます(チェンバロでは、レオンハルトが自編を演奏してますが)。菊地氏の編曲は、オリジナルの旋律に自然な対旋律を付け、見事なピアノ曲に仕上げています。アルマンドとクーラントはあたかもこういうクラヴィーア曲があるかのようなおとなしい編曲ですが、サラバンドから、低音や音量幅を拡大し、ブゾーニ編のシャコンヌへの橋渡しを彷彿させます。続くジーグもさらに活発に、高音域を使用しピアニスティックな編曲。CDの解説にも書いてありましたが、アルマンドからシャコンヌに向けて次第に自由度を増した編曲になっています。
このCDには菊地氏編曲の手書き譜のうち、サラバンドが付録で入っていました。この菊地氏の編曲は、全音から出版される予定とのこと。非常に楽しみです。絶対に買います。
収録曲は以下の通りです。
・無伴奏ヴァイオリンパルティータ 第3番 ホ長調より(ラフマニノフ編)
・主よ、人の望みの喜びよ(ヘス編)
・無伴奏ヴァイオリンパルティータ 第2番 ニ短調(菊池編、およびブゾーニ編)
・シチリアーノ(ケンプ編)
・音楽の捧げもの より 6声のリチェルカーレ
・B-A-C-Hの主題による幻想曲とフーガ(リスト)
(6/14追記)
全音から出版された楽譜も購入しました。