カンタータ 第106番 より 第1曲「ソナティナ」

カンタータ 第106番 「神の時こそいと良き時」 BWV 106 より 第1曲「ソナティナ」
‘Sonatina’ from Cantata No.106 “Gottes Zeit ist die allerbeste Zeit” BWV 106

私がピアノソロに編曲した3作目です。この編曲も去年何度か人前で演奏させてもらいました。
このカンタータはバッハの最初期のカンタータの一つで、原曲はヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音の歩みの上で、2本のリコーダーが同じ音形を一致させたりずらしたりしながら静かに奏でられます。メロディーが美しいというよりもリコーダー二重奏の響きが朴訥とした雰囲気を作り出しており、心が洗われる名曲です。
編曲にあたって、ピアノ特有の響きと広い音域を活かしながら、リコーダーデュオの対話がピアノで単調になってしまわないように気をつけました。そして通奏低音部も響きを豊かにする工夫として、2拍目または4拍目をオクターブ下にしました。下の楽譜は冒頭部分です。

そして曲が進むにつれ、少しずつ使う音域を広げていきました。リコーダーの二重奏は、音だけを拾うと全く同じ動きになってしまいますが、奏者ごとにずらして吹いているところの自然の変化を表現するために、オクターブ上や下の音を織り交ぜて変化をつけてみました。

バッハのカンタータは本当に音楽の宝庫だと思います。このカンタータは、実は伯父の葬儀のためにかかれた曲とされており、第1曲は幸せな浄土への旅立ちを描いているようです。このことに限らず、バッハのカンタータには宗教的な理解が必要とされていますが、残念なことに私にはまだその点の教養・感覚を持っておりません。将来的にキリスト教を知ってからバッハのカンタータに立ち戻る機会があれば、きっとまた違った魅力を感じられるのかもしれません。今のところは、絶対音楽として主観的に良いと思った曲を気軽に楽しみたいと思っています。


(2009.4.16追記)
本作品は、Music Bells (ミュージック・ベルズ)で出版していただきました。
(2010.8.23追記)
この曲を自宅で練習している様子をYouTubeに載せました。

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