ジョン・ルイスの平均律第1巻のジャズ編曲盤

今回は、ジョン・ルイス率いるカルテットやトリオなどのアンサンブルで演奏する、平均律クラヴィーア曲集 第1巻 の全曲をジャズ編曲したCDを紹介します。
バッハのジャズ編曲としてメジャーなのは、ジャック・ルーシエの「Play Bach」シリーズなどがありますが、このジョン・ルイスの録音のユニークなところは、抜粋ではなく平均律第1巻の前奏曲とフーガを全曲編曲して演奏しているところです。前奏曲はピアノ・ソロで、フーガはアンサンブルで演奏するスタイルで、バッハのほぼ原曲どおり始まり、ジャズ風に展開され、また原曲に回帰するような編曲です。
もちろん全曲が一気に編曲されたわけではなく、5年もかけて少しずつ作られては録音されてきたようです。昨年末に韓国のレーベルから4枚組みにまとめて発売されたものを私は購入しました。上のリンクはその4枚組のものです。バラでも売っている(Vol. 4だけ見当たらず)ようで、以下Amazonのリンクを用意しておきます。
ピアノ編曲の中でもジャズ編曲というのは一つの分野になるほどたくさんありますが、残念ながら私のバッハ編曲研究の中ではまだ十分に語れるほど情報が集められていません。将来的にはここでたくさん紹介できるように、少しずつ情報を集めていこうと思います。
—-(関連音源)Amazonでの入手方法—-

(4枚組)(Vol. 1)(Vol. 2)(Vol. 3)

右手のためのシチリアーノ(フルートソナタ BWV1031より)

バッハ片手用編曲の16曲目は、フルート・ソナタ BWV 1031 の第2楽章、シチリアーノを、右手だけで演奏できるように編曲しました。この曲も非常に有名で、多くのピアノ編曲が存在します。片手用としても、ヴィットゲンシュタインによる左手用の編曲がありますが、私は敢えて右手用に編曲しました。
片手に編曲するにあたり、シチリアーノの付点リズムを崩さないように注意を払い、メロディー最優先としました。低音は親指を使ってシンコペーション気味に記譜していますが、そこは強調したい点ではなく、手の大きさから同時に演奏できない部分をずらして弾くくらいの感覚です。また、和声感を支える分散和音は主張しすぎず流れるように演奏してもらいたいために、音符を小さくしました。
J. S. Bach/ Siciliano from Flute Sonata BWV 1031, arranged for piano right hand only by Hiroyuki Tanaka.
2013/6/22に、第10回こだわり〜ミニ演奏会で演奏しました。
右手だけで演奏できるレパートリーは左手だけのものに比べて極端に少ないですが、周囲にも必要とする方が何人かいらしゃいます。少しずつ増やしていきたいと思います。