Andrea Padova plays Bach

最近は編曲モノばかりを取り上げてましたが、今日はオリジナルのクラヴィーア曲のピアノ演奏を取り上げます。前回の記事F.Busoni nach Bach Piano Worksでも紹介した、パドヴァ(Andrea Padova)のCDです。私が持っているもので、以下3点を紹介します。

彼のバッハの演奏は自由なものですが、音は独立しており比較的聞きやすい演奏で、私の好きな部類です。演奏内容も合格点ですが、それ以外に価値があるのは、どのCDも通常のピアニストが録音しないような、稀少なレパートリーが収録されていることです。「Bach: Complete Fantasias」では、「幻想曲」と名づけられた様々な曲が収録されていますが、BWV904、906、903のような有名曲だけでなく、「二つの主題による幻想曲 BWV917」、「ロンドによる幻想曲 BWV918」など、ピアノでの録音はまず見かけないような曲が入っています。その他にも、比較的有名なBWV921や、とても有名なBWV903にしても、即興的に展開されるアルペジオが新鮮です。
次に、「Bach: Keyboard Suites, Vol.1」では、初期の組曲が収録されています。「第3旋法による前奏曲とパルティータ BWV 833」や「序曲 BWV 820」、「序曲 BWV822」なども、このCDで初めて認識しました。
最後に「Bach: Piano Concertos」ですが、これはピアノ協奏曲集です。ホ長調 BWV 1053、ヘ短調 BWV 1056、ト短調 BWV 1058、とここまでは一般的な曲目ですが、最後に「BWV 1059」が収録されています。バッハ好きの方でも、あまり見かけない番号ではないでしょうか。それもそのはず、ニ短調の協奏曲BWV 1059は、現存するのは冒頭の9小節の断片のみです。ただ、この曲はカンタータ第35番の冒頭のシンフォニア(オルガン協奏曲)と同じ音楽であるため、そこから復元して演奏されることがあるようです。このCDには、パドヴァによってピアノ協奏曲として復元されたBWV 1059の第1楽章が収録されているのです。
いかがでしょうか。普段聴き慣れない、バッハの知られざる佳作を楽しんでみるのも一興かと思います。
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