カンツォーナ ニ短調 BWV 588

カンツォーナ ニ短調 BWV 588
Canzona d-moll, BWV 588

ストラーダルが手稿譜として残した編曲の中に、この曲が含まれていました。
原曲はバッハの初期のオルガン曲(とされている)で、厳かな雰囲気を持つ対位法的な楽曲です。実は今まで、初期の作品だと勝手に侮っていたのかもしれませんが、この原曲はチェックしておらず知りませんでした。こんな良い曲があったとは。今回ストラーダル編曲の手稿譜を浄書することで、強くこの曲の魅力に惹かれました。まだまだこういう発見がきっとたくさんあると思うだけで、ますますバッハの音楽の研究熱があがるというものです。
曲は大きく2つの部分からなり、どちらも4声のフーガになっています。以下の譜例はそれぞれのテーマですが、テーマに関連があるのは明らかです。第1部は緩やかに展開されるのに対して、第2部は動きが感じられます。
第1部
Bach/ Canzona d-moll BWV 588 - 1st part
第2部
Bach/ Canzona d-moll BWV 588 - 2nd part
ニ短調という調性もあり、曲の雰囲気は最晩年の作品、「フーガの技法」に通ずるものがあると思います。そして対旋律としての半音階との調和が見事です。
さて、これをピアノで弾くとどうなるか。旋律・対旋律ともにピアノの音色で聴くとよりくっきりと聞こえ曲の輪郭が見えてくるので、これがまたとても魅力的です。ストラーダル編の手稿譜を浄書した副産物としてMIDIファイルができましたので、譜例と共に掲載します。機械の演奏ですが音として聞くことでイメージが伝わるかと思います。
第1部midi
Bach/ Canzona d-moll BWV 588 - 1st part
第2部midi
Bach/ Canzona d-moll BWV 588 - 2nd part

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です