左手のためのカンツォーナ(BWV588 より)

バッハ片手用編曲の11曲目は、カンツォーナ BWV 588の前半部分を、左手だけで演奏できるように編曲しました。
原曲はバッハのオルガン曲で、四声のフーガになっています。四分の四拍子による前半と、二分の三拍子の後半からなりますが、今回はまずは前半部分に挑戦しました。
今までの編曲に比べて、四声の独立した声部を片手で弾けるように編曲するのは大変難しく、色々と試行錯誤を繰り返しました。
フーガの主題と対主題は原則オリジナルのままにし、自由唱の部分を変形さ・跳躍させて広い音域を弾きわけるようにしています。同じ音がオクターブで重なる部分などはむしろ省略した方がすっきり聞こえるので、七や九の和音を使うところや、低音を響かせたいところ以外はほとんど三声にしてます。
バッハ好きとしては、難しいながらもこのような曲を片手用に編曲してみたかったので、今回の挑戦はとても多くの達成感を得ることが出来ました。
J. S. Bach/ Canzona in d Minor BWV 588, arranged for piano, left hand only by Hiroyuki Tanaka

右手のためのアリオーソ(BWV 992 より)

バッハの片手用編曲シリーズも、10曲目になりました。
今回は、「親愛なる兄の旅立ちに向けたカプリチォ」 BWV 992 より 第1曲アリオーソを、右手だけで演奏できるように編曲しました。原曲はバッハの若い頃の作品で、珍しい表題付き音楽です。
編曲にあたり、上2声は音域を変えずに、バスは場合によって1オクターブ高い位置で奏し、右手だけで弾きやすく変えています。上2声は平行6度・3度が長く続くため、一つの声部のように記譜しています。
J. S. Bach/ Arioso from Capriccio on the departure of his most beloved brother BWV 992, arranged for right hand only by Hiroyuki Tanaka

左手のためのプレリュード ロ短調(BWV855a、Siloti編に基づく)

バッハの片手用編曲シリーズ第9弾は、ジロティ編曲の前奏曲 ロ短調(バッハの原曲はホ短調BWV855a)を左手だけのために編曲しました。メロディーを1オクターブ低くし、バス和音は適宜転回形を用いて、片手で弾きやすいように改変しています。
A. Siloti/ Prelude in B minor after J. S. Bach (BWV 855a), arranged for left hand only by Hiroyuki Tanaka

左手のためのシンフォニア(シンフォニア第5番BWV791)

本年もどうぞよろしくお願い致します。
バッハの片手用編曲シリーズ第8弾は、シンフォニア第5番 変ホ長調 BWV 791を、左手だけのために編曲しました。上2声のメロディーを1オクターブ低くしている他に、バス声部では、原曲では16分音符の上昇音型を三連符にすることで、上2声の長前打音などの装飾を片手でうまく弾くための余裕を持たせています。なお29小節目からの再現部では、原曲と同じ音域に移して変化を与えています。
J. S. Bach/ Sinfonia No. 5 in E flat Major BWV 791, arranged for piano, left hand only by Hiroyuki Tanaka

右手のためのクリスマス・コラール(BWV248より)

バッハの片手用編曲シリーズ第7弾は、クリスマスにちなんだ選曲で、クリスマス・コラールの「高き天より」。原曲はクリスマス・オラトリオ BWV248の第2部終曲コラール「われらは汝に向かいて歌いまつらん」で、右手ソロ用に編曲しました。コラール部分と器楽合奏部分とが交互に現れますが、ルンメル(Walter Rummel)による同曲のピアノ編曲のアイデアを参考にし、器楽合奏部分は高音域を用いてグロッケンシュピールのような効果を表現しようとしています。
J. S. Bach/ Chrale on 'Vom Himmel Hoch' from Christmas-Oratorio BWV 248, arranged for piano solo, right hand only (after W. Rummel's adaptation) by Hiroyuki Tanaka

左手のためのアダージョ(マルチェッロによる協奏曲 BWV974 より)

バッハの片手用編曲シリーズ第6弾は、マルチェッロによる協奏曲 ニ短調 BWV974から、第2楽章を左手だけで弾けるように編曲しました。バッハがアレッサンドロ・マルチェッロのオーボエ協奏曲をチェンバロソロ用に編曲したものですが、特に第2楽章はバッハが細かい装飾音を多く書き込んでおり豊かな音楽になっています。左手だけで弾けるようにするために、メロディーラインは1オクターブ下に移しています。そしてほとんどの旋律は1と2の指だけで弾くことになり、力が入ると上手く歌うことが出来ません。左手のための良い練習曲にもなるのではないでしょうか。
J. S. Bach/ Adagio (2nd mov. from Concerto in d minor after A. Marcello BWV 974) arranged for piano, left hand only by Hiroyuki Tanaka

右手のためのサラバンド(イギリス組曲第6番 BWV811 より)

バッハの片手用編曲シリーズ第5弾は、イギリス組曲 第6番 ニ短調 BWV811から、サラバンドとドゥーブルを右手だけで弾けるように編曲しました。この編曲は、かつて左手のためのサラバンドを作った時に、同じアイデアで片手編曲ができるのではないかと着想し、大まかにはできあがっていたものを今回あらためて手直ししたものです。
曲の前半・後半とで、サラバンドと、音価を細かくしたドゥーブルとを交互に演奏するように編曲しています。
J. S. Bach/ Sarabande and Double from English Suite No. 6 in d minor BWV 811, arranged for right hand only by Hiroyuki Tanaka

左手のためのアリオーソ(BWV1056より)

バッハの片手用編曲シリーズ第3弾は、協奏曲 ヘ短調 BWV1056の第2楽章、アリオーソ(ラルゴ)を左手ソロ用に編曲しました。この曲は甘美なメロディーが魅力的で、ピアノソロ用編曲としてもたくさんの編曲が残されています。左手用編曲にあたり、メロディーラインは1オクターブ下でアルト音域にしました。原曲では、終結部は第3楽章に続くための短調のコーダがありますが、ここはコルトー編曲と同様に省略し変イ長調のまま曲を結んでいます。
J. S. Bach/ Arioso (2nd mov. from Concerto in f minor BWV 1056) arranged for piano, left hand only by Hiroyuki Tanaka

右手のためのラルゴ(BWV1005より)

バッハの片手用編曲シリーズ第2弾は、無伴奏ヴァイオリンソナタ 第3番 ハ長調 BWV1005の3楽章を、右手だけのために編曲しました。原曲そのままでも右手だけで弾けますが、そこから複数の声部を抜き出し、ピアノならではの良さを少しでも出すためにバス声部は1オクターブ下で弾くようにしています。大きめの終止では、少し音を厚く豊かにしています。
J. S. Bach/ Largo (from Sonata for violin solo in C Major BWV1005)
arranged for piano, right hand only by Hiroyuki Tanaka