探せば探すほど、また新たに見つかる度に、バッハのピアノ編曲はまだまだ世の中に数多く眠っていると思わされるのですが、バッハのカンタータや室内楽曲を聴いていて、自分でピアノで弾いてみたいなと思う曲ごとに必ずしもピアノ編曲があるわけではありません。過去の一流音楽家が良い編曲を残してくれていればよいのですが、無いものは自分で作るしかないということで、2006年くらいから編曲にチャレンジしはじめました。
そんな私、音楽を専門的に学んだことがあるわけではない(※2010年以降、作曲の先生に師事し和声法、対位法を基礎から勉強しはじめました)ので、すべて「見よう見まね」でやりはじめました。バッハのピアノ編曲作品の楽譜は多種多量に観察してきたという自負が唯一の支えです。といってもブゾーニやラフマニノフ等の優れた編曲手法などは、見よう見まねでできるものではないでしょうが、「こういう変化をつけると聞き手への効果が高いだろう」という私の主観から抽出したエッセンスを少しずつ盛り込みながら、あとは何十年という経験を積めばだんだん自分のものになっていくのではないか、という長期的かつ楽観的思考で細々と続けています。今まで編曲してきた曲について、今後何回かに分けてそのエピソードと自分なりのこだわりを紹介していきたいと思います。
<編曲作品リスト>
- 2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV 1043 より 第2楽章「ラルゴ・マ・ノン・タント」 (2006.11)
- 音楽のささげもの BWV 1079 トリオソナタ より 第1楽章「ラルゴ」 (2006.12)
- カンタータ 第106番 「神の時こそいと良き時」 BWV 106 より 第1曲「ソナティナ」 (2007.5)
- カンタータ 第182番 「天の王よ、汝を迎えまつらん」 BWV 182 より 第1曲「ソナタ」 (2008.3)
- コラール・ファンタジー「主なる神、我らの側にいまさずして」 BWV 1128 (2008.8)
- カンタータ第196番「主はわれらをみ心にとめたまえり」より「シンフォニア」 (2015.3)
- ゴルトベルク変奏曲の低音8音に基づく14のカノン BWV1087 (2017.12)