ドッペルコンチェルト より 第2楽章「ラルゴ・マ・ノン・タント」

2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV 1043より 第2楽章「ラルゴ・マ・ノン・タント」
‘Largo ma non tanto’ from Concerto for two violins in D Minor BWV 1043

私が初めて自分でピアノ編曲・楽譜化を試みた曲です。昔から2台のヴァイオリンが美しく絡み合うこの第2楽章は大好きでした。2006年の秋に編曲に取り組みはじめ、初冬に完成させました。2007年の各種演奏会では何度か弾かせてもらいました。
さて、どのように編曲したかを簡単に書きとめておこうと思います。当時は楽譜作成ソフトのFinaleもまだうまく使いこなせなかったので、まずはルーズリーフの五線譜に手書きで譜面を作り、それをFinaleに打ち込んでいきました。(今では考えられませんが、一音一音マウスで選択しながら楽譜を書いていました)
原曲は2台ヴァイオリンによる2声の旋律と通奏低音が基本となっています。編曲の基本方針としては、一番高い声部を右手で、通奏低音を左手でそれぞれ演奏し、あとはもう一つの旋律を右手・左手を使い分ける、といった簡単なものです。ただし、どうしても2つのヴァイオリンは同じ音域を演奏するのでメロディを弾き分ける(聴き分ける)のが難しいだけでなく音楽としても面白みに欠けます。そこで、旋律をオクターブ上や下に移動することで、接近した同じ音域での旋律の衝突を少なくし、曲想に変化を与えました。たとえば下の楽譜は冒頭部分ですが、3小節目までが本来の音域ですが、4小節目から1つ目のメロディー(2nd Vn.)をオクターブ下に移し、1st Vn.のメロディーはオクターブ和音に変えています。これはクレッシェンド効果も狙っています。
Bach=Tanaka/ Largo ma non tanto from Concerto for two violins BWV 1043
(Bach=Tanaka/ Largo ma non tanto from Concerto for two violins BWV 1043)
また、ピアノは高音域で輝かしい音色が出せるため、しつこくならないと思う範囲で高音部のオクターブ和音を盛り込みました。たとえば下の楽譜の1・2小節目では2つのヴァイオリンのメロディーを分けるために高音部のオクターブ和音を用い、また3・4小節目では曲の頂点に向かって高音部を多用しています。(私の録音ではここで大きなミスをしてるのです・・・)
Bach=Tanaka/ Largo ma non tanto from Concerto for two violins BWV 1043
そして下の楽譜は、私が最も気に入っている結尾部です。ずっしりした低音の支えの上に高音部の16分音符が流れる中、左手のアルペッジョの頂点で中音部が浮かび上がるようにしました。
Bach=Tanaka/ Largo ma non tanto from Concerto for two violins BWV 1043
素人の習作ながら、自分なりに何度も練り直して作ったので、とても愛着を感じています。数年後にもう少し編曲スキルが向上した後に見直して、より良いピアノ編曲作品として残せればいいなと思っています。


(2009.4.16追記)
本作品は、Music Bells (ミュージック・ベルズ)で出版していただきました。
(2010.9.21追記)
この曲を自宅で練習している様子をYouTubeに載せました。

「ドッペルコンチェルト より 第2楽章「ラルゴ・マ・ノン・タント」」への7件のフィードバック

  1. 本田さん>
    コメントありがとうございます。メールをいただければ個別に対応させていただきます。

  2.  僕も楽譜欲しいです。
    なんかsymphonienみたいでバッハだぁって感じがします。

  3. ご興味持っていただき大変ありがたいです。
    このコメントで書かれても連絡の取りようがないので、管理人の私宛にメールで連絡をいただければ幸いです。
    hiro105@cc.rim.or.jp

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