2011年から続けている左手のためのバッハ・ピアノ編曲の中から、オルガン曲を中心とした前奏曲とフーガからの編曲を、出版社のMuse Pressで曲集として出版してもらいました。
バッハ「左手のための前奏曲集 vol.1」です。古いものでは2013年に編曲した左手のためのオルガン前奏曲(BWV535より)に遡りますが、今回曲集にまとめるにあたり、「左手のためのバッハ・編曲プロジェクトチーム」(左手のピアニストとして活動する智内威雄氏、山中哲人氏、及び田中)による企画に乗せてもらう形で、以下のような編曲方針に統一して全曲を手直ししました。
(楽譜の緒言より抜粋)
バッハ自身による左手のためのオリジナル作品や編曲が存在しない以上、「バッハによる左手ピアノの音楽」は想像の域にあることは言うまでもありません。そこで、原曲に対して音数を敢えて減らすからこそ表現できるハーモニーやフレーズの魅力、リズムの連続性などを発見しながら、原曲の価値を損ねることがないように編曲すること。この一点を方針としてプロジェクトチームと共有し、世に問う価値があると判断した編曲のみを曲集に採用しました。
編曲にあたっては「左手による演奏」に無理が生じないように配慮したことはもちろんですが、他方でなるべくバッハ本来の響きを損なわないようにするために、ピアノ特有のダイナミズムに依存することのない編曲を心がけました。そうすることで、片手奏法の面からバッハ作品の解釈幅を広げる可能性を模索しました。
こうして出来上がった曲集は、左手のための新たなバッハ・レパートリーとして完成度の高いものになったと自負しています。今回Vol.1として出版してもらったため、Vol.2以降も出せるように引き続き編曲を続けていこうと思います。
<収録曲>
前奏曲 ト短調 BWV535/1
前奏曲 イ長調 BWV536/1
前奏曲 ヘ短調 BWV534/1
前奏曲 変ホ短調 BWV853/1
前奏曲 ハ長調 BWV531/1
前奏曲とフーガ ホ短調 BWV533
¥2,500
税込|菊倍|24頁
https://muse-press.com/item/mp03301/