バッハ=ストラダルのナナサコフCD

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バッハのブランデンブルク協奏曲、ストラダルによるピアノソロ編曲版について、ナナサコフによる録音が12月にリリースされます。(Amazonへの商品リンク
およそ6年前に、ストラダル編曲のブランデンブルク協奏曲集の楽譜校訂と解説執筆のお仕事をさせてもらった流れで(関係者は別ですが)、今回は楽譜提供とこのCDのブックレットの解説文を担当させていただきました。

傑作であるブランデンブルク協奏曲全6曲を中心に据えながら、ヴィヴァルディ等先輩の協奏曲を編曲したオルガン協奏曲、自身の旧作を編曲したチェンバロ協奏曲、つまりバッハの音楽人生と協奏曲との関わりを追った名曲群が、全てピアノ・ソロ用の編曲として収録されています。
ミヒャエル・ナナサコフは、Wikipediaにもある通りMIDI打ち込みと自動ピアノを組み合わせて楽曲演奏を行うヴァーチャルピアニストです。カツァリスやアムランにも難し過ぎると言わしめたこれらの編曲、まさにナナサコフの出番です。
音源化してくれたことに感謝です。収録曲は以下の通り。

[Disk 1]
(1) ブランデンブルク協奏曲 第1番 ヘ長調
(2) ブランデンブルク協奏曲 第2番 ヘ長調
(3) ブランデンブルク協奏曲 第3番 ト長調
(4) ブランデンブルク協奏曲 第4番 ト長調
(5) ブランデンブルク協奏曲 第5番 ニ長調

[Disk 2]
(1) ブランデンブルク協奏曲 第6番 変ロ長調
(2) チェンバロ協奏曲 第1番 ニ短調
(3) チェンバロ協奏曲 第5番 ヘ短調
(4) オルガン協奏曲 第2番 イ短調
(5) オルガン協奏曲 第4番 ハ長調
(6) オルガン協奏曲 第5番 ニ短調

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ブゾーニ関連の2台ピアノ作品CD/DVD

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2016年はブゾーニ生誕150年の年であり、そのアニバーサリー企画のCD(DVD)「Early Twentieth Century: in search of roots... Vol.1: Works For 2 Pianos」がリリースされました。
このCD/DVDのメインは、ブゾーニの対位法的幻想曲・2台ピアノ版と、ブゾーニの弟子だったイタリアの作曲家兼ピアニスト、ターリアピエトラ(Gino Tagliapietra, 1887-1955) 編曲のパッサカリアの2台ピアノ編。
六年前に、2台ピアノ編のパッサカリアという記事でこのターリアピエトラ編のパッサカリアについて書きましたが、当時は録音が無かったものが、CD・DVDとして聴けるようになりました。

他の収録曲も他に録音が少ないものであり、録音だけでなく映像としても収録されているため、貴重なリリースです。

<収録曲>
バッハ=ターリアピエトラ: パッサカリア ハ短調 BWV 582
ブゾーニ:対位法的幻想曲
・ブゾーニ:バッハのコラール「幸なるかな」による即興曲
・モーツアルト=ブゾーニ:自動オルガンのための幻想曲
・モーツァルト=ブゾーニ:協奏的小二重奏曲(ピアノ協奏曲第19番のフィナーレによる)

このブゾーニ・アニバーサリー企画のCD/DVDは、限定500枚(通番つき)とのことで、しばらくすると入手困難になることが予想されます。

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カバレフスキー編曲のトッカータとフーガ「ドリア調」BWV538
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2000年頃にNAXOSから出たCD、J.S.バッハの作品のピアノ用編曲に収録されて以来、この編曲の楽譜がどうやったら手に入るかと色々な方から問い合わせを受けました。私もコピーのコピーとしてしか持っておらず、自信を持って回答できずもどかしい思いをしてきました。
その後もhyperionからもロシア音楽家による編曲集有森氏によるカバレフスキー集、などにも取り上げられ、音楽愛好家の中ではバッハのピアノ編曲の傑作の一つとみなされてきた感があります。
そんなこの編曲、ようやく出版譜を入手することができました。輸入楽譜のカマクラムジカさんのメルマガでさらっと取り上げられていたのを見つけ、取り寄せてもらい購入しました。
今回はじめて知りましたが、Chant du Mondeというパリの出版社から、1994年に出版されていたようです。楽譜の注文は、カマクラムジカのブログ記事を確認してください。

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Kolly-Brandenburg-CD
数々のバッハ関連の録音を世に出してきている、カール=アンドレアス・コリー(Karl-Andreas Kolly, 1965-)の新譜紹介です。いよいよ面白くなってきました。
およそ1年半前に管弦楽組曲のピアノ編曲版CD(全曲)を驚きとともに紹介しましたが、今度は何とブランデンブルク協奏曲の全曲。
第6番はヴェデルニコフ編曲と記載がありますが、それ以外はコリー自身の編曲とのこと。早速聴いてみたところ、素晴らしい!硬いピアノの音色で新しい魅力が聴けます。接近した複数声部の弾き分けも見事です。

しかしながら、第6番以外全て「楽譜が存在しないコリー編」とすることに違和感が・・・
まず第3番と第4番は、ストラダル編を下敷きにしていると思われます。原曲の全部の音を拾うことは不可能なのでどこかで取捨選択する必要がありますが、その取捨選択の方法がストラダルと同じなのである程度特定可能です。ストラダル編で絶対弾けないと思われる箇所を、コリーはうまく割愛しながら再構築していました。おそらくストラダル編と記載するにはそのように改変した箇所が多いため、コリー編としたのでしょう。
(あと、現時点でIMSLPにアップされてあるストラダル編曲のブランデンブルク協奏曲は第3番と第4番だけ、ということも関連するかどうか・・・)
一方で第1番、第2番、第5番はストラダル編とは大きく異なりますが、、、第1番はテューリン編が下敷きでしょう。私も演奏したことがあるのでよくわかります、第1楽章はほぼ同じ。後半一部が高音部記号の適用をしていない部分がある程度の違いです。
第2番はBrailsford編がベースと思われます。そして第5番は、Rockzaemon編と声部の取捨選択が同じことに気づきました。もちろんこれらはそのままではなく、コリーなりにこうした方が良いと考えた(と思われる)ところをいくつか改変して演奏しています。

断定はできませんが、これら第1番から第5番まで、すべてIMSLPに以上のピアノ編が掲載されていることは無関係ではなさそうです。ライナーノーツには『コリーは、正式なピアノ譜など作成しておらず、録音の際は、オーケストラスコアを見ながら演奏したと伝えられている』と書いてありますが、それは脚色しすぎではないでしょうか。「既存のピアノ編曲をベースに、コリーなりの解釈と改良を加えて演奏している」ということなのではないかと想像します。もしそうだとすると、IMSLPに掲載されているとはいえパブリックドメインではないBrailsford編Rockzaemon編は、クリエイティブコモンズの規範に従う必要があるのではないかと懸念します。(もしすでに著作権者と合意済みならその限りではありませんが)

唯一編曲者名が明記された、ヴェデルニコフ編曲の第6番は、おそらく譜面として入手したのではないでしょうか。この曲でも接近した複数の声部がその難しさを押し上げていますが、その弾き分け技術は流石です。
Bach=Vedernikov/Brandenburg Concerto No.6 BWV 1051

若干否定的な内容も書いてしまいましたが、バッハの傑作・ブランデンブルク協奏曲全曲をピアノソロで演奏した音源を残したことは快挙であり、その演奏も素晴らしいものでした。その他、フリギア終止の二和音だけが記譜された第3番の2楽章、イギリス組曲第5番のサラバンド前半が使われていて(ライナーノーツにはコリー作曲と書いてありましたが、、、)、ここにこの曲を配置するのもなかなか良いと思いました。

私がストラダル編の楽譜の解説で書いたように、ストラダルが記譜した全ての音を弾くのではなく演奏者による取捨選択によって良い音楽となることを具現化してくれていると言えるでしょう。

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(2016/8/10追記)
コリー本人にメールでコンタクトを取り、上記について確認してみました。
要約すると、ベースとなった編曲が存在すること、それが私の推測と同じ編曲であること、コリー自身の判断で多くの改変を加えたこと、などが確認できました。
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<収録曲>
ブランデンブルク協奏曲 第1番 ヘ長調 BWV 1046(テューリン編?)
ブランデンブルク協奏曲 第2番 ヘ長調 BWV 1047(Brailsford編?)
ブランデンブルク協奏曲 第3番 ト長調 BWV 1048(ストラダル編?)
ブランデンブルク協奏曲 第4番 ト長調 BWV 1049(ストラダル編?)
ブランデンブルク協奏曲 第5番 二長調 BWV 1050(Rockzaemon編?)
ブランデンブルク協奏曲 第6番 変ロ長調 BWV 1051(ヴェデルニコフ編曲)

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'Sonata' from Cantata No.182 for piano solo

前回更新に引き続き、昔の作品、カンタータ 第182番 「天の王よ、汝を迎えまつらん」 BWV 182 より 第1曲「ソナタ」 を、見直して細かい手直しを加え、楽譜をSheet Music Plusで運営しているSMP Pressにて、PDFで販売することにしました。

'Sonata' from Cantata No.182 "Himmelskönig, sei willkommen" BWV 182

Cover tiny file look inside Sonata from Cantata No.182, for piano solo Composed by Johann Sebastian Bach (1685-1750). Arranged by Hiroyuki Tanaka. For Piano Solo. Baroque Period. Advanced Intermediate. Piano Reduction,Solo Part. 3 pages. Published by Hiroyuki Tanaka (S0.130151).

およそ10年前、まだピアノ編曲を手探りで作っていた頃の作品、音楽のささげもの BWV 1079 トリオソナタ より 第1楽章「ラルゴ」。楽譜をSheet Music Plusで運営しているSMP Pressにて、PDFで販売してもらうことになりました。
楽譜を公開するにあたり、改めて見直ししてみました。当時のインスピレーションを尊重し、編曲方針はそのままにして、弾きやすさや音楽理論的により相応しいと思われる形になるように手直ししました。

Largo from Trio sonata in c minor ~ Musical Offering BWV 1079

Cover tiny file look inside Largo from Trio Sonata in c minor ~ Musical offering BWV1079 For Piano Solo. Baroque Period. Advanced Intermediate. Solo Part. 5 pages.

昨年末より、集中的にバッハのピアノ曲を片手用に編曲する取り組みを進めています。詳細は後にあらためて書きますが、小規模な曲を中心に編曲しており、その中で3月に完成させたやや規模が大きい2つの作品について今回は書きたいと思います。2つとも平均律クラヴィーア曲集 第1巻から、フーガを除く前奏曲です。

1つ目は第8番の変ホ短調で、編曲にあたってはニ短調に移調し、メロディーラインはオクターブ下げています。諸事情によりニ短調に移調しましたが、変ホ短調の版も作ってあります。
J. S. Bach/ Prelude D minor(original is E flat minor) from WTC Book I, arranged for left hand only by Hiroyuki Tanaka.
Bach=Tanaka/Prelude in D minor(original is E flat minor) BWV 853/1 for left hand only

2つ目は、第24番のロ短調です。こちらは、原曲のバスを割愛し、上二声をオクターブ下げてデュエットの形にしました。部分的にバスを補っていますが、基本は上二声だけで崇高な音楽が成立します。
J. S. Bach/ Prelude B minor from WTC Book I, arranged as a duet for left hand only by Hiroyuki Tanaka.
Bach=Tanaka/Prelude in B minor BWV 869/1 for left hand only

両曲ともに平均律第1巻の中では大変人気の高い曲であり、このような編曲は非難されることを覚悟した上で。

ピアニスト・有森博 氏がリリースしてきた一連のCDで、カバレフスキー(Dimtri Kabalevsky,1904~1987)編曲のバッハがすべて揃いました。
arimori-kabalevsky.jpg
写真は氏のCDと、カバレフスキー編曲の楽譜で、オルガン前奏曲とフーガ ハ短調と、8つの小前奏曲とフーガ集。最初に取り上げたのは約6年前の記事、カバレフスキー編曲のバッハ・オルガン曲。もちろんカバレフスキーのピアノ曲の全曲録音がメインテーマかとは思いますが、第2集、第4集、そして2015年にリリースされた第5集には、それぞれバッハのピアノ編曲が数曲ずつ同時収録されてきました。各集の収録曲は以下の通りです。

カバレフスキー 2
8つの小前奏曲とフーガ 第1番 ハ長調 BWV 553
Bach=Kabalevsky/Eight Short Prelude and Fugue No.1 BWV 553
トッカータとフーガ ニ短調 (ドリア調) BWV 538
Bach=Kabalevsky/Toccata and Fugue in D minor BWV 538


カバレフスキー 4
前奏曲とフーガ ハ短調 BWV 549
Bach=Kabalevsky/Prelude and Fugue in C minor BWV 549
8つの小前奏曲とフーガ 第3番 ホ短調 BWV 555
8つの小前奏曲とフーガ 第4番 ヘ長調 BWV 556
8つの小前奏曲とフーガ 第5番 ト長調 BWV 557
8つの小前奏曲とフーガ 第6番 ト短調 BWV 558
8つの小前奏曲とフーガ 第7番 イ短調 BWV 559
8つの小前奏曲とフーガ 第8番 変ロ長調 BWV 560

カバレフスキー 5
8つの小前奏曲とフーガ 第2番 ニ短調 BWV 554
トリオ・ソナタ 第2番 ハ短調 BWV 526
Bach=Kabalevsky/Trio Sonata No.2 BWV 526

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左手用編曲の再燃

12月は、上旬にワンハンド・ピアノフェスタに参加して再び片手用編曲について刺激を受けて、たくさんの左手用編曲に取り組み、その中で以下を仕上げました。

小前奏曲 ハ長調 BWV 924
J. S. Bach/ Little Prelude in C Major, BWV 924 arranged for piano left hand only by Hiroyuki Tanaka
BWV924の小前奏曲は、原曲に忠実な版と、ペダルを使わなくても弾けるように簡略化した簡易版を作りましたが、結果的には簡易版の方が純粋でいい出来のように思います。

イギリス組曲より「二つのサラバンド」
J. S. Bach/ Two Sarabandes from English Suite(No.4 in F Major, No.6 in d Minor),  arranged for piano left hand only by Hiroyuki Tanaka

イギリス組曲からの二つのサラバンドは、四年前の作品(第6番第4番)の練り直しです。今回はドゥーブルは無しで、より音を厳選して、無理な跳躍を避けてペダルなしでも弾けるようにしました。この編曲を通じて、昔と比べて進歩していると実感することができました。

コラール前奏曲「甘き喜びのうちに」
J. S. Bach/ Chorale 'In Dulci Jubilo', BWV 729 arranged for piano left hand only by Hiroyuki Tanaka
J. S. Bach/ Chorale 'In Dulci Jubilo', BWV 729 arranged for piano left hand only by Hiroyuki Tanaka
バッハ若き日のオルガンコラール編曲、「甘き喜びのうちに」は、思いついてから一気に作ったものですが、無理なく広い音域を使っていて、自分でもかなりうまく仕上がったと思います。

小前奏曲とフーガ ホ短調 BWV 533
J. S. Bach/ Prelude and Fugue in e Minor, BWV 533 arranged for piano left hand only by Hiroyuki Tanaka
J. S. Bach/ Prelude and Fugue in e Minor, BWV 533 arranged for piano left hand only by Hiroyuki Tanaka
BWV533の小前奏曲とフーガは、フーガを含めてさほど無理なく編曲出来たということで満足していますが、上記のコラール編曲の方に比べると弾き易さは劣りますし、やはりフーガは初めから片手用に意識して創作されたものでないと難しいということを今回も痛感しました。

まだまだ片手用編曲構想中の曲がたくさんありあります。2016年も積極的にアウトプットしていきたいと思います。

J. S. Bach/ Prelude C sharp major from WTC Book I, arranged as an etude for left hand only by Hiroyuki Tanaka.

バッハ片手用編曲の20曲目は、平均律第1巻の第3番 前奏曲 嬰ハ長調(フーガは除く)を、左手用の練習曲として編曲しました。

J. S. Bach/ Prelude C sharp major from WTC Book I, arranged as an etude for left hand only by Hiroyuki Tanaka.

今回は演奏会用の効果の追求や、あたかも両手で弾いたかのうに聞こえるような編曲ではなく、片手だけでバッハの音使いを感じることができるような編曲に仕上げました。

Organ Fantasia in G major BWV572

幻想曲、または Pièce d'orgue(オルガン曲)と名付けられた幻想曲 ト長調 BWV572 は、急-緩-急の3部に分かれており、バッハの曲ではめずらしく、フランス語による楽語がつけられていることも興味深いところです。
 1. Très vitement
 2. Gravement
 3. Lentement

さてこの曲、特に第1部と第3部のトッカータ調の曲想は、かねてよりピアノでの演奏で新しい魅力が得られる曲として注目していました。第2部はオルガン的な荘重な音楽で、既にバックスによる良い編曲がA Bach Book for Harriet Cohenに収録されていました。一方で華麗な第1部や第3部を含めた、全楽章の編曲としてはヘルシャーやストラダルのものくらいで、良いピアノ用編曲と言うにはやや物足りないものでした。特に冒頭楽章はオリジナルの音だけだと単調な音楽になりがちです。3部分を通すことで、動機的統一もありバランスの良い曲となるだけに、充実したピアノ編曲は作れないものかと自分で編曲することも視野に入れて考えていました。

そんな中、現役の若手ピアニスト、グリャズノフ(Vyacheslav Gryaznov, 1982-)が自分の編曲によるこの 幻想曲 ト長調 BWV572 を弾いている動画を観て、あらためてこの曲をピアノで弾くことによる魅力を感じました。たとえば冒頭楽章ではバスに新しい走句が程よく付け加えられており、とても充実した音楽になっています。
Bach=Gryaznoff/Fantasie in G Major BWV 572
演奏動画はこちらです。

なお、この曲の楽譜は彼の公式ホームページhttp://gryaznoff.com/en/)でダウンロードすることができます。
彼の編曲作品は近年出版されていますが、この曲は何故か出版楽譜には収録されなかったようです。グリャズノフ本人以外にも、より多くの人の目にふれてピアノで演奏されると良いなと強く思います。

ここ15年ほど、演奏会に出演させてもらえる機会には、ほぼ毎回バッハ関係の曲を取り上げています。弾きたい曲はたくさんあって尽きなく、どれを弾こうかなかなか決められません。そこで、ここ数年はアニバーサリーイヤーにあたる音楽家による編曲、という条件を取り入れています。さて2015年は誰がいるかと調べたところ、カミーユ・サンサーンス(Camille Saint-Saëns, 1835-1921)が生誕180年、ということでサンサーンス編曲のバッハに挑戦しました。

サンサーンスは、バッハのピアノ編曲として12曲(BWVでカウントすると13曲)残しています。6曲ずつセットで、第1巻は1862年に、第2巻は1873年にDurandから出版されました。先輩であるリストの編曲(6つのオルガン前奏曲とフーガの編曲は1952年に出版)と比べた大きな違いは、バッハのオリジナルが鍵盤楽器の曲ではない、カンタータや無伴奏ヴァイオリン曲からの編曲であることです。

今回私は、この第2巻の中の2曲目、無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番(※1)の第2楽章「フーガ」の編曲に挑戦しました。
Bach=Saint-Saens/Fugue from Violin Sonata BWV 1005
バッハの作品の中でも最も長いフーガであり、なんと354小節(※2)にわたりヴァイオリンだけで壮大な世界が繰り広げられる傑作です。フーガの主題はコラール「来たれ、聖霊よ、主なる神よ」であり、他のフーガと比べても息の長いテーマに、半音階の対位句が付いて回ります。軽快なエピソードを数回挟みつつ一旦頂点を築いた後、後半は逆行形でテーマが現れ、特に半音階上行により自信に満ちた音楽へと変わっていきます。サンサーンスの編曲は、この偉大なフーガをピアノで自然に弾けるようにしていることが何よりの功績ですが、特に広い音域を使うようにしていたり、裏拍を刻みながら盛り上がる部分などはピアノに適した表現となっていると思います。

今回もう一つの挑戦は、無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番の第1楽章であるアダージョを編曲し、「前奏曲とフーガ」の形で演奏することでした。このアダージョは属調で終わり、さらにフーガも属音から始まることからも、それぞれ単独で演奏するよりもペアで演奏することが望ましいと言えるでしょう。さてこのアダージョは、実はバッハ自身によるチェンバロ用編曲が残されています。番号は BWV 968 が付けられているもので、バッハ自身によりト長調に移調されています。これは他のバッハ自身の編曲を色々見比べてみても、音の加え方などが手が込んでいます。バッハは自作の無伴奏弦楽器曲を鍵盤楽器でもよく弾いていたことを証明する良い例です。今回サンサーンス編のフーガとペアで演奏するにあたり、バッハ編曲のアダージョをハ長調に戻し、数ヶ所ピアノ向けに修正しました。またピアノの楽器特性に合わせて、両楽章ともに一般的なヴァイオリンでの演奏よりも速いテンポで演奏しました。
J.S. Bach=Saint-Saëns=Tanaka: Prelude and fugue from Sonata for violin solo No.3 in C Major BWV 1005

(※1) 当時は無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータの区別をしていなかったようで、原題は「Fugue de la 5 e Sonate de Violon」となっていましたが、ここでは現代の番号体系に合わせています。

(※2) 同じような描写と判断したのか、サンサーンスの編曲では原曲の106小節目から135小節目の30小節を思い切って省いています。

スタンチッチのバッハ編曲

スヴェティスラフ・スタンチッチ(Svetislav Stančić, 1895-1970)、クロアチアのピアニスト、作曲家、そして音楽教育者です。去年、黒岩悠氏のCD「Inspire To/From J.S.Bach」で初めて知った音楽家でした。興味深いバッハのピアノ編曲を残していたため、その後この音楽家について調べ、楽譜を探していました。

英語圏の情報を探してもなかなか見つけられず、YouTubeで見つけたスタンチッチを弾くピアニストにメールで頼み込み、楽譜をコピーしてもらいました。感謝です。
スタンチッチは、1920年から1922年にかけて、ブゾーニの元で作曲を学びました。そのワークショップの中で1922年に創られた編曲が、今回紹介する『カンタータによる4つの前奏曲』(Vier Kantaten - Vorspiele)で、ブゾーニに捧げられたようです(an Feruccio Busoni, Berlin 1922. と書いてありました)。収録曲は以下の4曲、それぞれカンタータの冒頭楽章をピアノ・ソロ用に編曲しています。さすがブゾーニの弟子、分厚い音で豊かな響きを出すことに成功しています。また、この4曲を続けて演奏すると、緩-急-緩-急、長-短-短-長、バランスの良い4楽章の楽曲として演奏可能です。以下、譜例とともに紹介します。

1. Prelude from Cantata BWV 106 "Actus tragicus"
Bach=Stancic/Prelude from Cantata BWV 106 'Actus tragicus'

2. Prelude from Cantata BWV 18 "Sinphonia"
Bach=Stancic/Prelude from Cantata BWV 18 'Gleich wie der Regen und Schnee vom Himmel fällt'

3. Prelude from Cantata BWV 12 "Weinen, Klegen, Sorgen, Sagen"
Bach=Stancic/Prelude from Cantata BWV 12 'Weinen, Klegen, Sorgen, Sagen'

4. Prelude from Cantata BWV 31 "Am ersten Osterfesttage"
Bach=Stancic/Prelude from Cantata BWV 31 'Am ersten Osterfesttage'

録音は、前述した黒岩氏のCD(1曲目)の他、いくつかはYouTubeで聴くことができます。

こちらはKadri-Ann Sumera による3曲目の演奏。YouTubeには2曲目の演奏もアップされています。

こちらは全曲を通した、スタンチッチの弟子であるRanko Filjak の録音。

手の込んだ素晴らしい編曲であるため、もっと世に広まってもらいたいものです。

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ブゾーニ編曲の「聖アン」初版

ブゾーニ(Ferruccio Busoni, 1866-1924)編曲の、オルガン前奏曲とフーガ、変ホ長調 BWV552。通称は「聖アン」。そのフーガは私が最も好きなフーガであり、今まで何度か挑戦し弾いたことがあります。バッハのピアノ編曲の中では比較的有名な部類に入りますが、世の中に出回っている楽譜は改訂されたものであり、ほとんど知られていない初版があります。存在は知りつつも、なかなか入手できずにいたこの初版、ようやく入手しました。
Bach-Busoni BWV 552 (first edition, 1889)

さてこの初版は1889年にRahter社から出版されました。改訂版は、細かい点でいくつか改良されているのですが、その際に大きくカットされてしまった部分があります。それが、前奏曲とフーガの間に任意で挿入されるカデンツァ。前奏曲の最後の和音を偽終止とするOssiaが付き、11小節にわたるカデンツァが二種類用意されています。

この初版をカデンツァ付きで演奏した録音は、私が知る限り二つあります。
まずは、hyperionのバッハ編曲集CDの第1弾、ニコライ・デミジェンコの演奏。こちらでは一つ目のカデンツァを演奏しています。
Bach=Busoni/ Cadenza I of Prelude and Fugue in E flat Major, BWV 552

昔この演奏を聴いた時には、楽譜が存在することは知らずに、奏者のアドリブで弾いていると思い込んでいました。前奏曲の中でも度々登場するジグザグ音形をオクターブ重音、トレモロで演奏させるカデンツァです。

もう一つは、以前にも紹介した ホルガー・グロショップのブゾーニ編曲作品集 に含まれたもの。こちらは二つ目のカデンツァを演奏しており、このCDのライナーノートを見て、この初版の存在とカデンツァが二つ存在することを知りました。こちらは、一つ目と同じ音形を単音で弾きつつ模倣的書法で重ねていく形で頂点を築いています。
Bach=Busoni/ Cadenza II of Prelude and Fugue in E flat Major, BWV 552

初版と改訂版の一番大きな違いはこのカデンツァの有無ですが、それ以外にも細かい違いがいくつかあります。まずは前奏曲の冒頭、初版では下降音形をトレモロにしていますが、改訂版では3オクターブで弾かせます。前奏曲の終結部では、改訂版ではトリルをより長く聞かせる編曲上の工夫を加えています。全般的に初版には第三のペダル(ソステヌート・ペダル)の明確な指示があるのに対して、改訂版にはその指示は見られません。最後にコーダは、初版では高音域でのトレモロなのに対し、改訂版では中音域でかつアラルガンドを表現するために1小節追加しています。多くは改良されたと見做せますが、カデンツァやソステヌート・ペダルの指示が初版にしかない部分などには疑問も残ります。何にせよ、貴重な資料となりました。

来年2016年はブゾーニの生誕150年となります。いい機会なので、この初版を使ってカデンツァも含め、再度演奏してみたいと考えています。

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ピアニストの Paul Barton 氏から、私の編曲「左手のためのプレリュード ロ短調(BWV855a、Siloti編に基づく)」を弾いて録画したよ、という嬉しい連絡が来ました。
しかもIMSLPにある私の楽譜を偶然見つけて、私と同じ発想で生後5ヶ月の娘さんを抱っこしながらの演奏。IMSLPで公開しておいて良かったとあらためて実感した出来事でした。


(Quoted from Paul Barton's description)
I found this left hand arrangement by chance in the IMSLP Music Library and thought it would be nice to play to my daughter Emilie (5 months old). I made this video today and in adding the link to the sheet music Goggled the arranger Hiroyuki Tanaka and was happy to discover he too has a video playing this piece to his baby.

カンタータ第196番「主はわれらをみ心にとめたまえり」より第1曲「シンフォニア」
'Sinfonia' from Cantata No.196 "Der Herr danket an uns" BWV 1196

2015年3月21日、バッハの生誕330年の誕生日(をちょうどいい口実に)、久しぶり(何と5年ぶり!)に両手のための編曲を完成させました。
カンタータ第196番「主はわれらをみ心にとめたまえり」のシンフォニアをピアノソロに編曲しました。今回はピアノ用に適した書法というよりも、複数声部の器楽合奏曲を三声部に凝縮するという試みです。ピアノ高音部の使用も、低音のオクターブ化も避け、ピアノだけでなくチェンバロでの演奏も可能にしています。

Bach=Tanaka/ Sinfonia from Cantata No.196 BWV 196
(Bach=Tanaka/ Sinfonia from Cantata No.196 BWV 196)

原曲は二つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、通奏低音による合奏ですが、一台の鍵盤楽器で演奏できる三声として、音域が近すぎず遠すぎず、最適な配置になることに注意を払って編曲しました。その際に、音楽が不自然にならない前提で、声部の統合や音域の変更は躊躇せずに実施しています。

実はこの曲、一度はピアノに適した編曲を目指して低音のオクターブ化や音の追加を行い、ある程度の形まで作っていたのですが、推敲途中でシンプルにした方がいいのではないかという思いから少しずつ音をそぎ落としているうちに、三声で書き直した方が良いのではないかと思い直して路線変更しました。原曲の音をできる限りたくさん拾うという努力ではなく、音を省きつつ凝縮していこうという努力。これもなかなか難しいですが挑戦のし甲斐がありました。

Walter Rummel - J. S. Bach Adaptations

今回は ワルター・ルンメル(Walter Rummel, 1887-1953)によるバッハのピアノ編曲の紹介です。
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以前から楽譜や音源が揃っていたにもかかわらず、結構な量の編曲があり未整理のままになっていました。今回数点のルンメル編の古い楽譜を入手したので、改めて整理してみました。
ルンメルはドイツ出身の作曲家兼ピアニスト。1922年から1938年にかけて、J & W Chester社から全25曲ものバッハのピアノ編曲を出版しました。「Adaptations」という言葉を選んで表記しています。ルンメル編曲の特徴は、カンタータなどの声楽曲(またはその序曲などの器楽曲)からの編曲がほとんどであることで、瞑想的な曲から愛らしい曲、激しい曲まで非常にバラエティに富んでいます。そしてデュナーミクやアゴーギクの指示も多く、とても自由な編曲です。いくつか例を挙げてみましょう。

Bach=Rummel/ Sinfonia from Cantata BWV 12
これはカンタータ第12番「泣き、嘆き、憂い、おののき」の第1曲、シンフォニア。譜面面からは一見してバッハの曲とは見えないのではないでしょうか。幻想的な雰囲気の曲になっています。


Bach=Rummel/ Aria 'Zu Tanze, zu Sprunge' from Cantata BWV 201
これは世俗カンタータ「フェーブスとパンの争い」から、パンの踊り「踊れ、跳ねよ」の編曲。打って変わって、軽快で愛らしい踊りの音楽です。


Bach=Rummel/ Aria 'Esurientes implevit bonis' from Magnificat BWV 243
この曲はマニフィカトからのアリア「エスリエンテス」。高い音域が好んで使われ、牧歌的かつ神々しい音楽が流れます。


Bach=Rummel/ Orchestral Overture from Cantata BWV 146
そして最後に紹介するこの曲はカンタータ 第146番 より「われらは多くの患難を経て」。のちにクラヴィーア協奏曲 ニ短調 BWV 1056の1楽章に転用される音楽ですが、壮大で劇的な内容になっています。上の譜例だけではわからないですが、この後ピア二スティックな書法がふんだんに使われています。

さて楽譜は、当時1曲ごとのピースになっていたものをまとめてIMSLPで入手することができますが、現在入手可能な出版譜としては2008年にChester Music社から12曲を抜粋し収録されたものがあります(上写真で赤色表紙のもの)。収録曲は以下の通りです。

カンタータ「いとも尊きレーオポルト殿下よ」 より「御名が太陽のように、星のように輝かんことを」
カンタータ 第22番 より「汝の善行により我らを浄めたまえ」
カンタータ 第26番 より「ああ、いかに儚き、ああ、いかに空しき、人の人生よ」
最愛のイエス、われらここにあり
天にいます我らの父よ
カンタータ 第99番 より「神のみわざはよきかな」
カンタータ 第126番 より「打ち倒せよ」
マニフィカト ニ長調 より「飢えている者を良いもので飽かせ(エスリエンテス)」
クリスマスオラトリオ より コラール「われらは汝に向かいて歌いまつらん」
カンタータ 第78番 より 二重唱アリア「われらは急ぐ,弱けれど弛みなき足どりもて」
カンタータ 第92番 より アリア「荒き風吹き来たるは」
カンタータ 第146番 より「われらは多くの患難を経て」


hyperion_rummel.jpg
音源としては、hyperionから出ているバッハ・ピアノ編曲シリーズの第6弾、 Bach Piano Transcriptions Vol. 6 に全曲収録されています。容易に入手することができるので是非聴いてみてください。様々なタイプの曲があるので、きっと好みの曲が見つかることでしょう。


Bach Illuminationes

illuminationes.jpg
バッハのピアノ編曲として注目の新譜CD『Bach Illuminationes』の紹介です。ピアニストはアンゲリカ・ネーベル(Angelika Nebel)、以前も「Bach Metamorphosis」や「Bach Transcriptions for Piano」といったバッハのピアノ編曲について意欲的な内容のCDをリリースしており、このサイトでも紹介してきました。今回も、有名どころの編曲はリスト編とペトリ編くらい、他はこのCDでしか聴くことが出来ない編曲ばかりが収録されています。HMVのキャッチコピーで「バッハ編曲ファン狂喜、聴きたかった曲が理想的ドイツ・ピアニズムで再現」 とありますが、まさにその通りです。ライナーノーツにも触れられてましたが、バッハは生涯ドイツ国外に出ることがなかった作曲家だったことに対して、編曲者はオーストリア、ハンガリー、イギリス、ロシア、ブラジル、と国際的な多様性を意図したプログラミング。なお今回も編曲者に名を並べている、ブラジル出身の若い音楽家プラド(Wagner Stefani d'Aragona Malheiro Prado, 1982-)はネーベルの弟子です。プラド編は前回のCD「Bach Metamorphosis」に収録されていた「6声のリチェルカーレ」が素晴らしかったのですが、今回のCDにある有名な 管弦楽組曲第3番の『アリア』も負けじと、音が厚く豊かな響きを持ったとても良い編曲です。なおこのアリアの編曲は10年以上前から別のピアニストの録音『Bach for Christmas』で知っていました。1999年に作られた編曲で、ブラジルでは有名な編曲なのかもしれません。


収録曲は以下のとおりです。
1. 前奏曲とフーガ ハ長調 BWV 545(リスト編)
2. ヴァイオリン・ソナタ BWV 1017より『シチリアーノ』(クールストロム編)
3. 管弦楽組曲第3番 BWV 1068より『アリア』(プラド編)
4. 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 BWV 1004より『ジーグ』(ツァーベル編)
5. 目覚めよと呼ぶ声あり BWV 645(シュタルク編)
6. 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番 BWV 1006より『ロンド風ガヴォット』(パウエル編)
7. 深き淵よりわれは呼ぶ BWV 745(サーント編)
8. パストラーレ BWV 590(ウィッテカー編)
9. 主イエス・キリスト、われ汝を呼ぶ BWV 639(ネーベル編)
10. 汝イエスよ、今天より降りたもうや BWV 650(ネーベル編)
11. 小前奏曲とフーガ 第6番ト短調 BWV 558(カバレフスキー編)
12. 甘き喜びのうちに BWV 729(マードック編)
13. トッカータ ハ長調 より 『アダージョ』 BWV 564(ネーベル編)
14. 羊は安らかに草を食む BWV 208(ペトリ編)
15. いざ来たれ、異教徒の救い主よ BWV 62(プラド編)

バッハ片手用編曲の19曲目です。パッサカリア ハ短調 BWV 582(ただしフーガは除く)を、左手だけで演奏できるように編曲しました。低音域から高音域まで、またPPからFFまで広く使い、演奏会用途を意識した編曲です。

J. S. Bach/ Passacaglia in c minor, BWV 582 (except fugue) transcribed for piano left hand only by Hiroyuki Tanaka

原曲は有名なオルガン曲、手鍵盤+足鍵盤の曲を片手だけにするのはなかなか大変ですが、足鍵盤はほとんどがテーマを演奏していて、かつ二分音符+四分音符の同じリズムのため、片手で弾くための工夫が比較的しやすかったです。大変なのは手鍵盤+足鍵盤がそれぞれ大きく動くような変奏部分や、五〜六声まで厚くなる終結部などで、どう編曲するか音の構成を何度も考え直しました。フーガ部分はさらに複雑で、編曲を断念せざるを得ませんでしたが、フーガに入る前までの20の変奏は全て編曲しました。

今年は色々と大変で、創作はあまりたくさん残せなかったのですが、その中でも何とか規模が大きい1曲を完成できて良かったです。

管弦楽組曲のピアノ編曲版CD(全曲)

kolly_overture.jpg
カール=アンドレアス・コリー(Karl-Andreas Kolly, 1965-)の新譜、「管弦楽組曲 ピアノ編曲版」を紹介します。
バッハが4曲のこした管弦楽組曲(序曲) BWV 1066~BWV 1069 を、なんとコリー本人がピアノソロに編曲して録音したものです。
コリーは今までもバッハの代表的なクラヴィーア曲はもちろんのこと、ピアノ編曲も含め多くのCDを録音してきました。
バッハのスペシャリストによる自編自演集ということで、それだけで大きく期待してしまいます。

管弦楽組曲のピアノ編曲としては、何と言っても「G線上のアリア」として有名な第3番のエアの編曲が突出して多いですが、4つの管弦楽組曲の全曲編としてはレーガーの連弾用編曲くらいでしょうか。
第1番~第3番に限定すると、ラフ編ストラダル編マルトゥッチ編などがそれぞれ全楽章編曲されています。第4番の全楽章はピアノソロ編曲としては初めてだと思います。楽譜の出版をぜひとも期待したいところです。

ちなみに、既存の編曲を見比べながらコリー編を聴いてみると、特に各曲冒頭の序曲はラフ編に編曲の骨格がそっくりなことに気づきました。ラフ編をベースにして、トリルの入れ方やバスのオクターブ増強などにより効果的に出来る部分について、少し手を加えているのではないかと推測します。

HMVでの商品リンク
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<収録曲>
管弦楽組曲 第1番 ハ長調 BWV 1066
管弦楽組曲 第2番 ロ短調 BWV 1067
管弦楽組曲 第3番 ニ長調 BWV 1068
管弦楽組曲 第4番 ニ長調 BWV 1069


----(ご参考)Amazonでの入手方法----

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プロフィール

田中 博幸 (Hiroyuki Tanaka
hiro105@cc.rim.or.jp
音楽、バッハ、ピアノが好きなサラリーマン。バッハのピアノ編曲に関する楽譜/音源を収集、研究している。フーガやカノンなどの対位法的楽曲を好む。ピアノの他、和声と対位法を勉強中。片手のためのピアノ編曲を創作。「左手のアーカイブ」プロジェクトで編曲家として活動。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
IMSLPに公開した作品は、クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 3.0 非移植 ライセンスに基づく。

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