hyperionのバッハピアノ編曲集、今年春にリリースされた第8弾に続き、今回は半年で第9弾が出るようです。今回はOxford University Pressから出版された「A Bach Book for Harriet Cohen」に収録されたバッハ編曲集と、その他のイギリスの音楽家によるピアノ編曲が収録されています。ピアノストはJonathan Plowright、第6弾のルンメルによる編曲集を録音したピアニストです。
hyperionのページのリンクはこちらで、試聴することもできます。
Piano Transcriptions, Vol. 9 – British Bach Transcriptions
A Bach Book for Harriet Cohen and other British transcriptions
Jonathan Plowright (piano)
HMVはこちら
—-(ご参考)Amazonでの入手方法—-
月: 2010年7月
Nebel: Bach Transcriptions For Piano
先月、興味深いCD「Bach Transcriptions For Piano: Nebel」がリリースされました。バッハのピアノ編曲を集めたCDですが、他では聞くことのできない、知られざる編曲がたくさん収録されています。ヘス編曲の主よ、人の望みの喜びよやシロティ編曲の前奏曲 ロ短調以外は馴染みの薄い曲ばかりでしょう。
中でも出色なのはフランツ編曲の、組曲 ハ短調 BWV 997 の全曲。前奏曲、フーガ、サラバンド、ジーグ、ドゥーブルの5曲で構成されています。この組曲はもともとはリュートのための楽曲と分類されており、ピアノソロでの録音は見かけません。そのままピアノで弾くと、どうしても音域が偏っていて美しいピアノ曲に仕上げづらいかと思います。この編曲では、適度に音を増やして音楽を充実させることに成功しており、クラヴィーアのためのパルティータに匹敵する組曲になりうると思います。以下は冒頭の譜例です。オリジナルとっか他編曲の比較は曲目データベースをご参照下さい。
また、ツァーベル編曲の無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ト短調 BWV 1001もまた、全曲を通してなかなか良い編曲です。ツァーベルについては今まで知りませんでしたが、現役の音楽家のようで、他にも色々な編曲作品を作っているようです(ツァーベルのホームページをご参照ください)。
このCDでしか聴けない編曲が多数あるということで、バッハ好きにはぜひ聴いていただきたい一枚です。
なお、NAXOSのNMLではこちらで試聴することができます。
<収録曲>
ストラダル/オルガン小曲集より「主イエス・キリスト、われらを顧みたまえ」 BWV 632
ウォーレン/「御身が共にいるならば」 BWV 508
ツァーベル/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ト短調 BWV 1001
シロティ/前奏曲 ロ短調 BWV 855a
クーパー/カンタータ 第4番 BWV 4 より 「イエス・キリスト、神の御子」
ルンメル/「急げ、渦巻く風ども」 BWV 201
タウジッヒ/「われらみな唯一なる神を信ず」 BWV 680
ムリル/カンタータ 第75番 BWV 75 より「神の御わざは ありがたきこと」
フランツ/組曲 ハ短調 BWV 997
ルンメル/カンタータ 第22番 BWV 22 より「汝の善行により我らを浄めたまえ」
ヘス/カンタータ 第147番 BWV 147 より「主よ、人の望みの喜びよ」
HMV:「Bach Transcriptions For Piano: Nebel」
—-(ご参考)Amazonでの入手方法—-