Webサイトの再構築

大変久しぶりの更新となってしまいました。ここ数年、音楽活動は細々と続けていたものの、このWebサイトについてメンテナンスする時間的余裕を作ることができずにいました。一方で、どこかでなんとかしたいといつも頭の中では気になって考えていました。年内に再開を目標に、まとまった時間が取れたときに思い切って作業をし、旧サイトの古い技術要素を一新、Webサイトを再構築しました。まだリンクが正常に動かないところが残っているかもしれませんが、見つけ次第少しずつ修正していきたいと思います。

また、更新できていなかった数年間の中にも、何度か私にとって音楽的に重要な出来事(演奏会への出演や、編曲作品の完成など)がありましたので、いくつかは日付を遡って投稿することがあることをお許しください。今後とも当サイトをよろしくお願いします。

編曲作品の公開チャネルの追加

編曲作品について、より多くの方に見ていただけるように、公開する先を追加しました。個別の作品についての紹介は、あらためて別の記事にしていきたいと思います。

Piascore楽譜ストア

Piascore 楽譜ストアは、iPadの楽譜表示ソフトのパイオニアであるPiascoreの制作会社が提供する、デジタル楽譜を購入できるサービスです。楽譜をPDFファイルとして販売しています。

販売している作品へのリンク

Sheet Music Plus

主に海外の音楽愛好家向けの販売チャネルとして、Sheet Music Plus、およびSheet Music Directで編曲作品をPDFファイルを販売しています。原則Piascore楽譜ストアで販売している作品と同じものを公開しています。ArrangeMeというプログラムに参加しています。

販売している作品へのリンク

なお、Projects and Publicationsのページにまとめています。

曲目データベースの機能追加(編成での絞り込み)

 少しずつ整理を続けている編曲曲目データベース、登録した編曲の数が1,000曲を超えました。まだまだ整理は終わらないのですが・・・。
 さて、当サイトの曲目データベースは、オリジナル曲観点で編曲の有無・種類を一覧化する「バッハの音楽の曲目データベース」と、編曲曲目観点で一覧化する「バッハの音楽の編曲曲目データベース」があります。ピアノ・ソロ用編曲以外にも2台ピアノ用、連弾用、片手用の編曲の登録も増えてきて、いくつかお問合わせもいただくことがあるため、「バッハの音楽の編曲曲目データベース」については、編曲者名や調性に加え、新たに編成による絞込検索ができるように機能を追加しました。

IMSLPへの一部作品の公開

IMSLPに、作曲家・編曲家としての自分のページを作成し、編曲作品の一部を公開しました。一度創作した作品を時間を置いてから何度か見直し・改訂して、満足行く出来になったと自分で思えた作品からアップロードしていくことにします。
imslp_tanaka.jpg
今のところ以下5曲(リンクは過去に作成した時点の記事)を公開しました。


Twitterはじめてみました

iPhoneを買ってから、世の中で流行っているtwitterを始めてみました。
私のアカウントはtanahiro105です。
http://twitter.com/tanahiro105
まだその魅力、効果、などなどについてあまりよくわかっていないのですが、このblogに書くほどではないような、以下のような日々の思いつきや行動について、つぶやいてみようと思います。
・通勤途中などで聴いていていいなと思った曲
・日々のピアノの練習で気になったこと
・購入したCDや楽譜などのファーストインプレッション
・今日弾いてみた曲
・などなど
気軽にフォロー/メッセージしてもらえればと思います。

The BachPhone

ちょうど一年くらい前、the BachPodという記事を書きました。これはiPod Classic 120GB(現バージョンは160GB)にバッハの全曲が入っているという商品で、これに私の音源コレクションを追加して常に持ち歩いていました。
それが、今年の7月には巷で人気の iPhone 3GS を購入してしまいました。容量は32GBと、iPod Classicの120GBにはおよびませんが、もともとBachPodに入っていた全集分や主要なコレクションは格納できます。ということで、iPod機能はiPhoneに一本化することにしました。
さらにパワーアップしたのは、私が持っている楽譜コレクションのうち、PDFファイルになっているものをiPhoneに入れたことです。もちろんバッハの主要な作品(旧バッハ全集)はすべてあります。これらをGood Readerというアプリを使って閲覧します(サイズが大きいPDFでもストレス無くスムーズに見れます)。下の画面は、今日帰りの通勤電車の中で楽譜を見ながらシャコンヌを聴いているときのiPhoneの画面です。
Sheet music on my iPhone
もちろん全画面表示にすればもっと広くきれいに見れます。音楽を聴きながらでなければ、譜読みもできると思います。今度から、このホームページで紹介する譜例はこのiPhoneの画面キャプチャを使った方が早いかも知れません。
これでいつでもどこでも、バッハの楽譜を見ながらバッハの音楽を聴くということができるようになりました。かくして、私のiPhoneは「BachPhone」となったわけです。(電話としては使ってません)

「熱狂の日」音楽祭(LFJ 2009)

ここ数年、ゴールデンウィークの音楽祭として定着してきた、「熱狂の日」音楽祭(ラ・フォル・ジュルネ)。今年のテーマは「バッハとヨーロッパ」ということで、私もいくつかの公演・イベントを聴きに行きました。チケットは発売直後あっという間に完売してしまうような勢いで、私も発売日の10:00~10:12の間にかろうじて確保できた4公演。もっといろいろな楽器の演奏を聴きたかったのですが、結果的にピアノ関連ばかりになってしまいました。私が回った公演を客観的に見てみると、何と偏った選択をしているかが浮き彫りになってます。何にせよ、忘れないうちに感想を書いておこうと思います。
<4月28日(火)18:00~18:30>
0.イベント(無料公演)

丸ビル1階の「マルキューブ」で、藤武靖子さんのオルガン演奏を聴きました。演奏前に解説があって、わかりやすかったです。なかなか良い幕開けとなりました。曲目は、以下の通り。
・小フーガ ト短調 BWV 578
・コラール「おお人よ、汝の大いなる罪に泣け」 BWV 622
・パッサカリア ハ短調 BWV 582
丸キューブ 2009年4月28日
<5月4日(月)>
1.214@ホールA 17:15~18:00

ピアノが2台、3台が並ぶステージ。5000名も入る大ホールで、運よくS席で聴けたので良かったものの、想像するに遠い席だとほとんど生演奏の臨場感は得られないのではないでしょうか。2台ピアノの演目は児玉麻里さん・桃さんの姉妹、そして3台ピアノは小曽根真さんが第1ピアノに入りました。小曽根さんはジャズ・ピアニストで、期待通り面白い即興を交えた演奏を聴かせてくれました。第2楽章はかなり長めの即興ソロを挿入し、会場からの興味を十分に引いていたと思います。この即興の良さは、あざといジャズアレンジとは違って、「あたかも原曲にありそう」な演奏だということです。
・2台ピアノのための協奏曲 ハ短調 BWV 1060
・2台ピアノのための協奏曲 ハ長調 BWV 1061
・3台ピアノのための協奏曲 ニ短調 BWV 1063
2.277@G409 19:15~20:00
ジャン=フレデリック・ヌーブルジェのピアノソロ演奏会。バッハのピアノ編曲モノのオンパレードで、まさに私が好むプログラム。上記ホールAとはうって変わって、小さめの会議室で音響がほとんど無い場所での演奏。演奏者の意図がダイレクトに伝わってきました。場所のせいか、強い音がやや耳につく感じが否めいのですが、丁寧な演奏だったと思います。曲目は以下の通り。
・ブクステフーデ=プロコフィエフ:前奏曲とフーガ 二短調 BuxWV140
バッハ=ブゾーニ/コラール「いざ来たれ、異教徒の救い主よ」 BWV 659
バッハ=ブゾーニ/コラール「今ぞ喜べ、愛するキリスト者の仲間たちよ」 BWV 734
バッハ=ブラームス/シャコンヌ(左手のための)
バッハ=フェインベルグ/トリオソナタ BWV 529 より「ラルゴ」イ短調
バッハ=ヌーブルジェ/ミサ曲 ロ短調 BWV 232 より「キリエ・エレイソン」
<5月5日(火)>
3.377@G409 19:45~20:30

前日に引き続き、小さい会議室でのピアノソロ演奏会。ピアニストはクレール・デゼール。バッハの「フーガの技法」を最初と最後に配置し、中間にバッハから影響を受けた作品をはさむというプログラム構成で曲目は以下の通りですが、ダッラピッコラとシューマンの演目については、バッハとの関わりがほとんど感じることができませんでした。私の不勉強のせいもあるかと思いますが、共感はできませんでした。
・バッハ/フーガの技法 BWV 1080 より コントラプンクトゥスIII
バッハ=ラフマニノフ/無伴奏ヴァイオリンパルティータ BWV1006 より「前奏曲」
・ダッラピッコラ/アンアリベラの音楽帳
・シューマン/間奏曲 作品4
・バッハ/フーガの技法 BWV 1080 より コントラプンクトゥスIX
4.378@G409 21:15~22:00
引き続き、狭い部屋での3プログラム目。この部屋にピアノ2台が持ち込まれ、華やかなピアノデュオでこの音楽祭の最後を味わいました。ピアニストは、リディア・ビジャークとサンヤ・ビジャークの姉妹。前日に2台ピアノとオーケストラで同じ曲目を聴きましたが、このデュオは息がぴったりで、音量が大きいのにうるさくない、大変すばらしい演奏でした。特にハ長調のBWV1061は感激しました。2台ピアノのプログラムの間には、クルタークによる連弾の編曲が盛り込まれました。生演奏で聴くのはもちろん初めてで、CDでも聴いたことがない曲もあり、その美しい響きに感動しました。この音の使い方は現代音楽家のもので、高音部への音の追加方法など、聴いていて新しい発見がありました。今度取り上げて研究したいと思います。プログラムは以下の通り。
・バッハ/2台ピアノのための協奏曲 ハ長調 BWV 1061 (2台4手)
バッハ=クルターク/「人皆死すべきもの」BWV 643 (連弾)
バッハ=クルターク/「神の時こそいと良き時」BWV 106 (連弾)
バッハ=クルターク/「深き苦しみの淵より、我汝を呼ぶ」BWV 687 (連弾)
・バッハ=クルターク/「おお汚れなき神の小羊」BWV 1085 (連弾)
バッハ=クルターク/「いと高きにいます神にのみ栄光あれ」BWV 711 (連弾)
・バッハ/2台ピアノのための協奏曲 ハ短調 BWV 1060 (2台4手)

上記のような、ピアノだらけの組み合わせ(しかもマニアック)で聴いた人なんて、おそらくいないでしょうね・・・自分でも、もっと多様な楽しみ方をすればよかったと、半分くらいは選択を後悔しています。それでも、Bach with Pianoという私のサイトのタイトル的には抑えるべきところを抑えたと言えますでしょうか。

The BachPod

The digital Bach-Edition with an iPod classic

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小旅行から帰ってきたら、注文していたバッハポッドiconが届いていました。hänsslerから出ていたCD172枚のバッハ全集が、120GBのiPod classicに全部入っています。CDのジャケット、曲目、声楽曲は歌詞まで、全部入ってます。BachPodというネーミングも良いです。
なお嬉しい誤算として、当初は80GBというスペック(ジャケットにも80GBと明記されています)でしたが、9月に全面リニューアルされたiPodにあわせて120GBになっていました。
私は今までもいろいろなデジタル音楽プレーヤーを使ってきましたが、iPodは初めてです。いろいろと出来ることがありそうなので、これからゆっくり楽しんでいきたいと思います。そして、私のコレクションをどんどんこのBachPodに詰め込んでいきたいです。
<ご参考>
HMVでの紹介
バッハ大全集-デジタル・バッハ・エディション(iPod120GB)icon
発売元hänsslerのサイト
http://www.haenssler-classic.de/
本家BachPod Projectのサイト
http://www.bachpod.com/

BCJブランデンブルク全曲演奏会

今日はピアノでバッハを楽しむ観点からは離れて、オリジナルのバッハの話題を。バッハ・コレギウム・ジャパンによるブランデンブルク協奏曲の全曲演奏会に行ってきました。生演奏でブランデンブルク協奏曲の全6曲を聴ける機会はなかなか無いと思います。私も今回が初めてでした。冒頭に鈴木雅明氏が曲の説明と共に今回の「試み」について解説してくれました。
一つ目は、近年復元された「ヴィオロンチェロ・ダ・スパラ」という、ヴァイオリンやヴィオラのように肩に構えるチェロを使用すること。肩に構えるというのも、根拠はモーツアルトの父・レオポルトが何かに書き残した「最近ではチェロを足で抱えて演奏するようになった」という記述から、『ならば少し前までは肩に構えていた』と想像してみたことらしいです。チェロよりも若干音量が弱くなるようで、ヴァイオリンやヴィオラとのアンサンブルのバランスがよくなるとのことです。たとえば第3番でヴァイオリン、ヴィオラ、ヴィオロンチェロ・ダ・スパラがそれぞれ3人ずつ揃って繰り広げる合奏協奏曲でその真価を聴くことができました。
二つ目は、ブランデンブルク第3番のたった1小節・2和音しかない第2楽章についての補完。今まで私はあまり意識したことがなかったのですが、鈴木氏曰く三位一体を意識して、第3番であり3つの楽器がそれぞれ3人受け持ち、3楽章構成にするために、3という数字にこだわったとのことです。そこで3台チェンバロのための協奏曲ハ長調の第2楽章を、ト短調に移して演奏していました。もともとこの3台チェンバロのための協奏曲も原曲は消失した3台ヴァイオリンのための協奏曲であったと言われており、それも楽器編成にマッチしたとのことです。
今回の演奏会ではどの曲も素晴らしかったのですが、私は前半の最終曲である第3番が特に良かったと思いました。第3番の第1楽章は、CDで音だけを聴いているだけではなかなかわからない、各奏者の共同作業、同じ楽器であっても合奏と掛け合いがある様が視覚的にも楽しめました。第2楽章は先に書いたとおり、3台チェンバロのための協奏曲ハ長調 BWV1064 の第2楽章からの転用。私は先入観が強く、ブランデンブルクの一部として聴くことはできませんでしたが、プログラムにない曲を追加で聴けたような新鮮さがありました。第3楽章は1楽章以上に、各奏者がたたみかけるように矢継ぎ早にメロディーを掛け合い、それが興奮させ曲の中に巻き込んでいきました。
楽器編成が全部異なるこのブランデンブルク協奏曲を、一夜にして全曲聴けたというのはとても貴重な体験だと思います。大満足で帰途につきました。私が「ピアノでバッハを楽しむ」ことは、今回の演奏会のように「古楽器によるバッハの響きの復元の試み」とはほぼ対極に位置しますが、バッハを楽しむことには変わりはありません。ブランデンブルク協奏曲にもいくつかのピアノ編曲が残されていますので、今回の演奏会で刺激を受け、自分でもピアノでブランデンブルク協奏曲を弾いて楽しみたいと強く思いました。

新たな初期オルガン作品の写本発見(!?)

このようなニュースが飛び込んできて、大変驚いております。
バッハ初期のオルガン楽譜見つかる」(AFPBB News)
どのような曲なのか、早く聴いてみたいです。そしてピアノでも弾いてみたいです。
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追加情報です。目録番号が付けられ、曲名はこうなるようです。
コラール・ファンタジー「主なる神、我らの側にいまさずして」 BWV 1128
そしてハレ大学のホームページで楽譜の一部が公開されています。