hyperionバッハ編曲集 第10弾


hyperionのバッハピアノ編曲集、順調に巻数を重ねてきています。今回はサンサーンス(Camille Saint-Saëns, 1835-1921)によるバッハ編曲全集(全12曲)がメイン。さらに、サンサーンスの弟子であるイシドール・フィリップ(Isidor Philipp, 1863-1958)による編曲も2曲収録されています。
サンサーンスの編曲は、無伴奏ヴァイオリン曲およびカンタータからの抜粋編曲になっています。どの曲も、ごく自然な美しいピアノ曲に仕上がっています。今まで数曲はCDに収録されていることがありましたが、全曲が揃うのは初めてです。ちなみにブゾーニは、弟子のペトリにサンサーンス編曲のバッハを「lovely transcriptions」と評し、弾くようによく薦めたそうです。
フィリップは、フランスのピアニスト・教師であり、バッハのピアノ編曲(ピアノソロ用編曲や2台ピアノ用編曲)も数多く手がけています。日本の楽譜店では「小フーガ ト短調」の楽譜(Durand)が比較的容易に手に入れることができます。このCDには比較的大曲である協奏曲、ヴィヴァルディの『調和の霊感』からバッハがオルガンソロに編曲したものを、さらにフィリップがピアノソロに編曲したものが収録されています。
収録曲は以下の通り。
<バッハ=サンサーンス>
 ・カンタータ 第29番 より「序曲」
 ・カンタータ 第3番 より「アダージョ」
 ・カンタータ 第8番 より「アンダンティーノ」
 ・無伴奏ヴァイオリンパルティータ 第1番 ロ短調 BWV 1002 より「ブーレ」
 ・無伴奏ヴァイオリンソナタ 第2番 イ短調 BWV 1003 より「アンダンテ」
 ・カンタータ 第35番 より「プレスト」
 ・カンタータ 第15番 より「序奏とアリア」
 ・無伴奏ヴァイオリンソナタ 第3番ハ長調 BWV 1005 より「フーガ」
 ・無伴奏ヴァイオリンソナタ 第3番ハ長調 BWV 1005 より「ラルゴ」
 ・カンタータ 第30番 より「レシタティーフとエア」
 ・無伴奏ヴァイオリンパルティータ 第3番 ホ長調 BWV 1006 より「ガヴォット」
 ・カンタータ 第36番 より「アリア」
<バッハ=フィリップ>
 ・協奏曲 イ短調 (ヴィヴァルディによる) BWV 593
 ・協奏曲 ニ短調 (ヴィヴァルディによる) BWV 596
hyperionのページのリンクはこちらで、試聴することもできます。
Piano Transcriptions, Vol. 10 – Saint-Saëns & Philipp
The complete Bach transcriptions by Camille Saint-Saëns
Nadejda Vlaeva (piano)
HMVはこちら
—-(ご参考)Amazonでの入手方法—-

フーガの技法のピアノ演奏CD

昨年末から、フーガの技法 BWV 1080の勉強を始め、まずはコントラプンクトゥス4の練習に取りかかりました。フーガの技法は謎の多い作品で、そのほとんどがピアノソロでも演奏できますが、解釈も演奏家により多種多様。手元にあるピアノ演奏でのCDについて紹介したいと思います。ピアノでフーガの技法を全曲演奏している録音は意外とたくさん出ていますので、HMVやAmazonへのリンクをまとめます。
アンドラーシュ・シフや、アンジェラ・ヒューイットなどにもぜひ挑戦してもらいたいものです。

タチアナ・ニコラーエワ (Tatiana Nikolayeva) [HMV/Amazon]

フーガの技法のピアノ演奏で、ニコラーエワをはずすことはできないでしょう。おそらく最も早い時期(1967年)にピアノで全曲録音を果たしたピアニストです。ただし1967年に録音され70年代に発売されたレコードはCD化されておらず、その四半世紀後1992年に録音されたhyperion盤が現在入手できる録音です。1967年の録音に比べて全体的にテンポが遅めです。どの声部を聴いてもしっとりと歌われており、素晴らしい演奏です。私がフーガの技法を初めて知ったのもニコラーエワの演奏でした。ピアノソロのみ収録、CD2枚組。

エフゲニー・コロリオフ (Evgeni Koroliov) [HMV/Amazon]

1990年の録音、コロリオフのCDデビュー盤がこのCDとのこと。リゲティが無人島の一枚にコロリオフのバッハを選んだというエピソードはあまりにも有名。他の録音と比較してもテンポは全体的に相当速い方で、硬質な音で難解なフーガを明快かつ冷静に描いています。2台ピアノ版も収録、CD2枚組。

コンスタンチン・リフシッツ (Konstantin Lifschitz) [HMV/Amazon]

2009年の録音。他の録音と比較すると、どの曲も速すぎず遅すぎず、といったところでしょうか。2台ピアノ版も収録(多重録音)、さらに出版譜最後に付けられたコラール「我は汝の御座の前に進む BWV 668a」のピアノ演奏も収録されています。CD2枚組。

ニコラーエワ
コロリオフ
リフシッツ

グレゴリー・ソコロフ (Grigory Sokolov) [Amazon]

1982年の録音。全体的にテンポは速め。CD2枚組、パルティータ第2番を併録。

チャールズ・ローゼン (Charles Rosen) [Amazon]

1967年~1969年の録音。ニコラーエワの旧録に並んで古い録音。紹介するCDは2枚組ですが、1枚目はテューレックの弾くバッハ作品集、2枚目がローゼンが弾くフーガの技法です。ピアノソロのみCD1枚に収録。

アリス・アデール (Alice Ader) [HMV/Amazon]

2007年の録音。とてつもなく遅い解釈と、速めの解釈とが入り交じり、他の録音と比較すると同じ曲とは思えないものもあります。ライブ録音、CD2枚組。

ソコロフ
ローゼン
アデール

ピエール=ローラン・エマール (Pierre-Laurent Aimard) [HMV/Amazon]

2007年の録音。全体的にテンポは速め。ピアノソロのみCD1枚に収録。

ラミン・バーラミ (Ramin Bahrami) [HMV/Amazon]

2006年の録音。全体的にテンポは速め。ピアノソロのみCD1枚に収録。

ウラジールミル・フェルツマン (Vladimir Feltsman) [Amazon]

1996年の録音。全体的にテンポは速め。2台ピアノ版も収録、CD2枚組。

エマール
バーラミ
フェルツマン

高橋悠治 (Yuji Takahashi) [HMV/Amazon]

1740年頃に成立したと言われる初期稿(自筆譜)を元に演奏しています。CD1枚に収録。

イーヴォ・イエンゼン (Ivo Janssen) [Amazon]

2006年の録音。イエンゼンはバッハのメジャー曲からマイナー曲まで、全部ピアノで録音しようとしている意欲的なピアニスト。クセのないというか、素直に聴ける解釈には好感が持てます。ピアノソロのみCD1枚に収録。

アントン・バタゴフ (Anton Batagov) [HMV]

1993年の録音。全体を通して驚異的な遅さで、さらにフレーズが途切れるようで途切れないような、怖ろしい演奏です。残念ながら廃盤で、Amazonで見つけることはできませんでした。

高橋悠治
イエンゼン
バタゴフ

ゾルタン・コチシュ (Zoltan Kocsis) [Amazon]

2011年1月19日時点で未聴。

ピオトル・スウォペツキ (Piotr Slopecki) [Amazon]

2011年1月19日時点で未聴。

アンドレ・ヴィエル (Andre Vieru) [Amazon]

2011年1月19日時点で未聴。

コチシュ
スウォペツキ
ヴィエル

<番外編>
グレン・グールド (Glenn Gould) [Amazon]
なお、かのバッハ弾き、グールドは、フーガの技法をよく演奏しましたが、全曲をピアノでは録音していません。オルガンでコントラプンクトゥス1~9(1962年の録音)、ピアノでコントラプンクトゥス1,2,4,14(1981年の録音)、9,11,13(1967年の録音)を録音しています。なおこのCDには、最後に「B-A-C-Hの主題による前奏曲とフーガ BWV898」が収録されています。偽作の疑いが濃い作品ですが、ピアノでの演奏が聴けるのは稀です。

グールド

6つのトリオソナタ・2台ピアノ編曲版CD

バッハが残した、6つのオルガン用トリオソナタ。これら全曲を2台ピアノのための編曲で録音したCDがリリースされました。ほとんどが初録音とのことで、これらの名曲を手軽にCDで聴けるのはとても嬉しいことです。
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編曲者を軽く紹介。第1番を編曲したフェルディナント・ティエリオ(Ferdinand Thieriot, 1838-1919)は、ドイツの作曲家・チェリストで、ブラームスをとりまく音楽サークルの一員だったそうです。ピアノを含むアンサンブル曲、管弦楽曲、室内楽曲、合唱等多くの曲を残しています。バッハのピアノ編曲は、この曲のみのようです。
第2番を編曲したイシドール・フィリップ(Isidor Philipp, 1863-1958)は、フランスのピアニスト、ピアノ教育者。バッハのピアノ編曲も数多く残しています。以前このページでも「バッハの主題によるオクターブ練習曲」というタイトルで記事を書きました。
第3番、第4番、第5番を編曲したヴィクトル・バビン(Victor Babin, 1908-1972)は、モスクワ生まれで、その後ベルリンに渡りシュナーベルに師事しました。バビンはこの「6つのオルガン用トリオソナタ」全てを編曲していて、Boosey & Hawkesから出版されていました。
第6番を編曲したヘルマン・ケラー(Hermann Keller, 1885-1967)は、レーガーに作曲を学び、オルガニストや教育者として活躍し、またバッハ研究者として多くの著作を残しています。オルガン曲の魅力を2台ピアノで伝えようと、いくつかのピアノ編曲を残しています。
収録曲は以下の通りです。
バッハ=ティエリオ/トリオソナタ 第1番 変ホ長調 BWV 525
バッハ=バビン/トリオソナタ 第3番 ニ短調 BWV 527
バッハ=バビン/トリオソナタ 第5番 ハ長調 BWV 529
バッハ=フィリップ/トリオソナタ 第2番 ハ短調 BWV 526
バッハ=バビン/トリオソナタ 第4番 ホ短調 BWV 528
バッハ=ケラー/トリオソナタ 第6番 ト長調 BWV 530
バッハ=ハウ/カンタータ第208番より「羊たちは安らかに草を食み」
HMV Onlineではこちら
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バッハへのオマージュを込めた作品集CD

今回は、バッハへのオマージュを込めた作品が収録されたCD、「Music of Tribute Vol. 5 – J. S. Bach」を紹介します。
このCDには、バッハへのオマージュを込めた作品群と、バッハのオリジナル曲とが交互に収録されています。作曲家は、デュティーユ、オネゲル、ゴドフスキー、プーランク、ヴィラロボス、バルトーク、クルターク、ライリー、ショスタコーヴィッチ。バッハのピアノ編曲とは若干毛色が異なり、バッハの原曲があるわけではなく、このホームページでも今まで紹介してきませんでした。
ここでのバッハへのオマージュとは、バッハの作曲様式に似せて作曲されたものと、バッハの名(B-A-C-H)をテーマにした作品とに大別できるかと思います。これらの作品は、バッハの原曲がある編曲作品に比べて、より一層作曲者の個性が強く現れます。
編曲作品に比べると私もまだあまり知らない分野ですが、今後も面白い発見があったときに取り上げていきたいと思います。
なお、米アマゾンでのこのCDのページでは視聴することができます。
収録曲は以下の通り。
・Bach: Prelude in E minor, BWV 941
・Dutilleux: Hommage a Bach from Au gre des ondes
・Bach: Fugue in C major, BWV 953
・Honegger: Prelude Arioso Fughette sur le nom de Bach
・Bach: Prelude in C major, BWV 939
・Godowsky: Prelude and Fugue (B.A.C.H.) for the left hand alone
・Bach: Little Prelude in F major, BWV 927
・Poulenc: Valse Improvisation sur le nom de BACH
・Bach: Little Prelude in C major, BWV 924
・Villa-Lobos: Bachianas Brasileiras, No. 4
・Bach: Prelude and Fugue in D major, BWV 874 from WTC Book 2
・Bach: Prelude in C minor, BWV 999
・Bartok: Hommage a J.S.B. from Mikrokosmos Vol. 3
・Kurtag: Hommage a J.S.B. from Jatekok Games Vol. 3
・Riley: G Song
・Bach: Little Prelude in D major, BWV 925
・Shostakovitch: Prelude and Fugue No. 24 in D minor
・Bach: Italian Concerto BWV 971
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hyperionバッハ編曲集 第9弾


hyperionのバッハピアノ編曲集、今年春にリリースされた第8弾に続き、今回は半年で第9弾が出るようです。今回はOxford University Pressから出版された「A Bach Book for Harriet Cohen」に収録されたバッハ編曲集と、その他のイギリスの音楽家によるピアノ編曲が収録されています。ピアノストはJonathan Plowright、第6弾のルンメルによる編曲集を録音したピアニストです。
hyperionのページのリンクはこちらで、試聴することもできます。
Piano Transcriptions, Vol. 9 – British Bach Transcriptions
A Bach Book for Harriet Cohen and other British transcriptions
Jonathan Plowright (piano)
HMVはこちら
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Nebel: Bach Transcriptions For Piano

Transcriptions For Piano: Nebel
先月、興味深いCD「Bach Transcriptions For Piano: Nebel」がリリースされました。バッハのピアノ編曲を集めたCDですが、他では聞くことのできない、知られざる編曲がたくさん収録されています。ヘス編曲の主よ、人の望みの喜びよやシロティ編曲の前奏曲 ロ短調以外は馴染みの薄い曲ばかりでしょう。
中でも出色なのはフランツ編曲の、組曲 ハ短調 BWV 997 の全曲。前奏曲、フーガ、サラバンド、ジーグ、ドゥーブルの5曲で構成されています。この組曲はもともとはリュートのための楽曲と分類されており、ピアノソロでの録音は見かけません。そのままピアノで弾くと、どうしても音域が偏っていて美しいピアノ曲に仕上げづらいかと思います。この編曲では、適度に音を増やして音楽を充実させることに成功しており、クラヴィーアのためのパルティータに匹敵する組曲になりうると思います。以下は冒頭の譜例です。オリジナルとっか他編曲の比較は曲目データベースをご参照下さい。
Bach=Franz/ Prelude from Suite c-moll BWV997
また、ツァーベル編曲の無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ト短調 BWV 1001もまた、全曲を通してなかなか良い編曲です。ツァーベルについては今まで知りませんでしたが、現役の音楽家のようで、他にも色々な編曲作品を作っているようです(ツァーベルのホームページをご参照ください)。
このCDでしか聴けない編曲が多数あるということで、バッハ好きにはぜひ聴いていただきたい一枚です。
なお、NAXOSのNMLではこちらで試聴することができます。
<収録曲>
ストラダル/オルガン小曲集より「主イエス・キリスト、われらを顧みたまえ」 BWV 632
ウォーレン/「御身が共にいるならば」 BWV 508
ツァーベル/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ト短調 BWV 1001
シロティ/前奏曲 ロ短調 BWV 855a
クーパー/カンタータ 第4番 BWV 4 より 「イエス・キリスト、神の御子」
ルンメル/「急げ、渦巻く風ども」 BWV 201
タウジッヒ/「われらみな唯一なる神を信ず」 BWV 680
ムリル/カンタータ 第75番 BWV 75 より「神の御わざは ありがたきこと」
フランツ/組曲 ハ短調 BWV 997
ルンメル/カンタータ 第22番 BWV 22 より「汝の善行により我らを浄めたまえ」
ヘス/カンタータ 第147番 BWV 147 より「主よ、人の望みの喜びよ」
HMV:「Bach Transcriptions For Piano: Nebel
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バッハ弾き~ヴラジーミル・フェルツマン

バッハを弾くピアニストとして以前リストアップしましたが、その中で私が個性的で良い演奏だと思っている、ヴラジーミル・フェルツマン(Vladimir Feltsman)について、最近録音が入手しやすくなったので紹介したいと思います。
私がフェルツマンのバッハ録音に初めて触れたのは5~6年前、国内盤のパルティータ全集でしたが、 これがまた素晴らしい演奏で、「この人の弾くバッハを聴きたい」という気にさせられた、私にとって久しぶりのヒットでした。同CDに収録されている2声のインヴェンションもアーティキュレーションが独特でとても楽しく、15曲一気に聴いてしまいたくなる演奏でした。
そんな中、とあるネット通販の店主からフェルツマンの弾くゴルトベルク変奏曲のCDが素晴らしいとの情報をもらいました。 そこで中古市場を探してフェルツマンの弾くバッハの録音(当時はMaster Musicから出ていましたが、廃盤とのことでした)を集中的に 買い集めました。手に入れたのは平均律第1巻・第2巻フーガの技法ゴルトベルク変奏曲協奏曲集(これらのリンクは近年の再販盤です)。 この人の弾くバッハは、何というか、聴いていてワクワクさせられるような独特の解釈でありながら、それは決して奇異なものでなく、 吸い込まれていくような魅力に溢れています。特にゴルトベルク変奏曲や平均律、こんな曲だったっけと随所で思わされます。 聴いてみるとすぐに気づくと思いますが、リピートでの即興の展開がバリエーションに富んでいるのです。 よくメヌエットなどでリピートでは1オクターブ高く弾いたりする演奏家もいますが、フェルツマンは カノンやフーガのある声部がオクターブ高かったり低かったり、巧妙に組み合わせピアノの特性を上手く音楽表現に用いています。 「バッハの音楽をピアノで」という当サイトの考え方からしても、このフェルツマンの演奏は理想的な演奏のひとつだと私は思いました。
その後、国内盤としてイギリス組曲集がリリースされ、さらには近年、廃盤だったMaster Musicからの録音がNimbusから廉価版として再リリースされました。これによって、彼のユニークなバッハ演奏が少しでも多くの音楽愛好家に聴かれることを願ってます。そして、まだ出ていない、フランス組曲や3声のシンフォニア、その他の自由曲なども、ぜひ録音して欲しいものです。

(注:その後、2016〜2017年にフランス組曲3声のシンフォニア・小前奏曲等もリリースされました)


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パルティータ集
イギリス組曲集
平均律集
ゴルトベルク変奏曲
フーガの技法
協奏曲集
フランス組曲

インヴェンションとシンフォニア・小前奏曲

hyperionバッハ編曲集 第8弾

hyperionのバッハピアノ編曲集、去年リリースされた第7弾に続き、第8弾はダルベール(Eugen d’Albert, 1864–1932)で2010年2月20日に発売とのこと。非常に楽しみです。

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hyperionのページのリンクはこちらで、試聴することもできます。
Bach J S: Piano Transcriptions, Vol. 8 – Eugen d’Albert
ダルベールの編曲は、パッサカリアが最も有名で、楽譜も容易に入手できますし数多くのピアニストによる録音がありますが、それ以外の曲となると長い間ほとんど情報が無い状態でした。私が注目したいのは、トッカータとフーガ ヘ長調 BWV540です。この曲のピアノ版について、以前の記事で紹介しましたが、ピアノの音色で弾くことでオルガンとは別の魅力が聴ける名曲だと思っています。それ以外の曲目も、ピアノ編曲として聴ける機会が少ないものが大半で、新たな魅力の発見があるかもしれません。
収録曲は以下の通りです。
Passacaglia in C minor, BWV582
Fantasia and Fugue in C minor, BWV537
Prelude and Fugue in G major, BWV541
Toccata and Fugue in F major, BWV540
Prelude and Fugue in A major, BWV536
Prelude and Fugue in F minor, BWV534
Toccata and Fugue in D minor ‘Dorian’, BWV538
Prelude and Fugue in D major, BWV532
(2010/2/1追記)
HMVでも販売が開始されました。

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カバレフスキー編曲のバッハ・オルガン曲

作曲家として有名なカバレフスキー(Dimtri Kabalevsky,1904~1987)は、バッハのピアノ編曲という分野でも、少ないながらも充実した作品を残しています(作品リスト)。
Preludes, Rondo, Variations, Children's Pieces: 有森博先月、そのカバレフスキー編曲のバッハを収録したCD(もちろんメインはカバレフスキーのオリジナル曲ですが)がリリースされましたので紹介したいと思います。ピアニストは有森博で、以前もCD紹介しましたが、愛好家にはたまらない、比較的珍しい曲目を録音してくれています。
カバレフスキー編曲のバッハの録音としては、この他に以前紹介したExquisite Rarities Of Piano MusicBach Piano Transcriptions – 5などが挙げられますが、8つの小前奏曲とフーガ より 第1番 ハ長調 BWV 553は録音としては初でしょう。BWV553-560の8つの小前奏曲とフーガ集は、バッハのオリジナルではないことが定説ですが、全曲録音して欲しかったものです。
このCDの収録曲は以下の通り。
バッハ=カバレフスキー/8つの小前奏曲とフーガ 第1番 ハ長調 BWV 553
バッハ=カバレフスキー/トッカータとフーガ ニ短調 (ドリア調) BWV 538
・カバレフスキー/4つの前奏曲 Op.5
・カバレフスキー/ロンド イ短調 Op.59
・カバレフスキー/日本民謡による変奏曲 Op.87より
・カバレフスキー/こどものためのピアノ小曲集 Op.27
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2台ピアノ版ゴルトベルク変奏曲

ゴルトベルク変奏曲(ラインベルガー&レーガー編2台ピアノ版)EMIから、面白い録音がリリースされました。
ゴルトベルク変奏曲を、ラインベルガー(Josef Reinberger, 1839-1901)が2台ピアノに編曲し、その後レーガー(Max Reger, 1873-1916)が改訂、さらに今回の演奏にあたって近年の演奏解釈とした演奏です。演奏者はY. TalとA. Groethuysen。このジャケットのリンクはHMVのもので、視聴もできるようなので是非聴いてみて下さい。以前ブゾーニ版のゴルトベルク変奏曲についての記事を書きましたが、それよりもさらに過激な編曲に聞こえることでしょう。
ゴルトベルク変奏曲の原曲は、2段鍵盤を持つチェンバロのために書かれており、ピアノを含め、1段の鍵盤では難しい部分もありますが、この2台ピアノ編ではそういう部分で音楽の交差を上手く表現しています。また、片方がオリジナルのまま演奏し、もう片方が新しい音楽を演奏するという箇所もあり、この変奏はどういう変貌を遂げるのか、という期待を抱かせる音楽展開でもあります。
楽譜は、ラインベルガー編も、そのレーガー改訂版も、共にIMSLPでも掲載されていますので、見比べてみるのも面白いかも知れません。音楽の追加はラインベルガー編にてほぼ全て行われており、レーガーの改訂は細かい表現の指定、強弱、テンポ、アーティキュレーションなどがほとんどだと思われます。レーガーの改訂版は出版譜を持っていますが、見ながらこのCDを聴いてみたところ、大分解釈を変えて演奏しているようで、そこがこのCDの魅力かも知れません。
バッハオリジナルへの冒涜などと思わずに、音楽表現の豊かさの一端を感じてみてはいかがでしょうか。なお、Amazonであれば以下のリンクで買えます。
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