バッハを弾くラローチャ

久しぶりの更新になってしまいました。スペインの長老ピアニスト、アリシア・デ・ラローチャがつい先日、2009年9月25日に亡くなったという訃報にふれました。ラローチャといえば、アルベニスやグラナドス、ファリャ、モンポウなどのスペイン音楽の名手ですが、バッハについても僅かですが素晴らしい録音を残してくれていますので、紹介したいと思います。
私が持っているCDには、以下の曲目が収録されています。オリジナル曲も編曲も、バッハを得意とするピアニストに引けを取らず、とても良い演奏です。

バッハ/イタリア協奏曲ヘ長調 BWV 971
バッハ/フランス組曲第6番ホ長調 BWV 817
バッハ/幻想曲ハ短調 BWV 906
バッハ/イギリス組曲第2番イ短調 BWV 807
バッハ=コーエン/最愛のイエス,われらここにあり BWV 731
バッハ=コーエン/汝の慈愛によりてわれらを死なしめたまえBWV 22
バッハ=ブゾーニ/シャコンヌ BWV 1004
と思ってアマゾンやHMVを検索したところ、現在は若干入手困難になっているようです。以下のアマゾンのリンクは、バッハの録音が収録されている別のCDです。
これ以外にもバッハの録音は残されているのでしょうか?ご存知の方、教えてください。
—-(ご参考)Amazonでの入手方法—-

<2009/12/06追記>
やはり、追悼盤 SHM-CD仕様として再発売されるようです。
ラローチャ・プレイズ・バッハ(イタリア協奏曲、シャコンヌ、他)

Groschopp plays Busoni Transcriptions

先月、ブゾーニのピアノ編曲を集めた4枚組みのCD、「Groschopp plays Busoni Transcriptions」を入手しました。ピアニストはホルガー・グロショップ(Holger Groschopp)。過去に同レーベルからブゾーニ編曲集として1枚ずつリリースしてきたもので、最近になってVol.4まで揃ったためBOX化されたようです。
バッハをはじめモーツアルトやベートーヴェン、リスト等のブゾーニ編が収録されていますが、バッハの編曲モノの中でも有名曲に埋もれた、非常に珍しい曲目(おそらく世界初録音)がありましたのでここで紹介します。
以前blogで取り上げたブゾーニ版バッハ集のCDで書いたように、ブゾーニ版のバッハ平均律集は、バッハの音楽を学ぶための様々な練習用の変奏が掲載されていますが、このCDにはテクニック強化に特化した二つの変奏(練習曲)が収録されていました。まずは平均律第1巻、嬰ハ長調の前奏曲を元にした練習曲。
Bach=Busoni/ Etude [Technical Variants of Prelude No.3]
(Bach=Busoni/ Etude [Technical Variants of Prelude No.3])
もう一つは、平均律第1巻、変ロ長調の前奏曲を元にした練習曲です。
Bach=Busoni/ Etude [Technical Variants of Prelude No.21]
(Bach=Busoni/ Etude [Technical Variants of Prelude No.21])
その他でも、対位法的幻想曲聖アンの前奏曲とフーガでは現在流通しているバージョンとは違った、初稿譜をもとに演奏しているとのことで、興味深い内容です。
以上付録的な要素ばかりを紹介してきましたが、ブゾーニのピアノ編曲を総括的に網羅しているこのBOXは、ピアノ音楽愛好家にとって聴く価値のあるものだと思います。

hyperionバッハ編曲集 第7弾

ピアノ・トランスクリプションズ第7集~レーガー編曲全集 ベッカー(2CD) 前回予告編を書きましたが、マックス・レーガー(Max Reger, 1873-1916) の編曲集、「ピアノ・トランスクリプションズ第7集~レーガー編曲全集」が先週手元に届きました。このジャケットのリンクはHMV Onlineのものですが、Amazonではまだ6/9発売予定になっているようです。ピアニストはマルクス・ベッカー(Markus Becker)。CD2枚組で、それぞれ先頭と末尾に前奏曲(トッカータ)とフーガの大曲を、間にオルガンコラール小品をはさみ、大変充実した内容です。この前奏曲(トッカータ)とフーガのシリーズは、ほとんどブゾーニの編曲と重複していますが、同時代に生きながらその解釈の違いを垣間見ることができます。その違いをざっと挙げると、高音域の使い方、トリルやスケールへの細かい音の詰め込み、音の密集度などでしょうか。どうしてもブゾーニの有名な編曲が先に頭に入っているので、公平に評価できないです。
ブゾーニ編と重ならない曲としては、原曲も大変な難曲である、前奏曲とフーガ ホ短調 BWV548があります。これは他にはリストフェインベルグによる編曲が残されていますが、どちらよりもずっと重厚に仕上がっています。この編曲には数多くの追加された音がありますが、原曲を「オルガンソロによる交響曲」と言わしめたこの曲、オルガニストであったレーガー自身はどのように弾いたのかを伝えているのではないでしょうか。
それにしても、hyperionのシリーズは良い企画をリリースしてくれるものです。次は一体何を出してくれるか、とても楽しみです。
CD2枚の各巻収録曲は以下の通りです。
(CD No.1)
Prelude and Fugue in D major, BWV532
O Mensch, bewein’ dein’ Sunde gross, BWV622
Durch Adams Fall ist ganz verderbt, BWV637
Ach wie nichtig, ach wie fluchtig, BWV644
Nun danket alle Gott, BWV657
Herzlich tut mich verlangen, BWV727
Wenn wir in hochsten Noten sein ‘Vor deinen Thron tret ich’, BWV668
Valet will ich dir geben, BWV736
Es ist das Heil uns kommen her, BWV638
Liebster Jesu, wir sind hier, BWV730
Vom Himmel hoch, da komm ich her, BWV606
Prelude and Fugue in E flat major ‘St Anne’, BWV552
(CD No.2)
Prelude and Fugue in E minor ‘The wedge’, BWV548
Christ lag in Todesbanden, BWV Anh 171
Ich ruf’ zu dir, Herr Jesu Christ, BWV639
An Wasserflussen Babylon, BWV653b
Komm, heiliger Geist Herre Gott, BWV651
Schmucke dich, o liebe Seele, BWV654
Das alte Jahr vergangen ist, BWV614
Toccata and Fugue in D minor, BWV565
—-(ご参考)Amazonでの入手方法—-

菊地裕介氏のCD「変貌するバッハ」

バッハをピアノで、という分野で大変興味深いCDが発売されました。タイトルは「 『B-A-C-H 変貌するバッハ、ピアノ・トランスクリプションズ』 菊地裕介icon」、有名なブゾーニ、ラフマニノフ、ケンプ、ヘス等の編曲に加え、菊地氏自身の編曲も併せて収録されています。
『B-A-C-H 変貌するバッハ、ピアノ・トランスクリプションズ』 菊地裕介
ブゾーニのシャコンヌは、無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番の終曲。本来は、アルマンド、クーラント、サラバンド、ジーグ、そしてシャコンヌと5曲からなる組曲です。
この無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番の全曲(シャコンヌ以外)は、有名な音楽家によるピアノ編曲は未だ無いと思われます(チェンバロでは、レオンハルトが自編を演奏してますが)。菊地氏の編曲は、オリジナルの旋律に自然な対旋律を付け、見事なピアノ曲に仕上げています。アルマンドとクーラントはあたかもこういうクラヴィーア曲があるかのようなおとなしい編曲ですが、サラバンドから、低音や音量幅を拡大し、ブゾーニ編のシャコンヌへの橋渡しを彷彿させます。続くジーグもさらに活発に、高音域を使用しピアニスティックな編曲。CDの解説にも書いてありましたが、アルマンドからシャコンヌに向けて次第に自由度を増した編曲になっています。
このCDには菊地氏編曲の手書き譜のうち、サラバンドが付録で入っていました。この菊地氏の編曲は、全音から出版される予定とのこと。非常に楽しみです。絶対に買います。
収録曲は以下の通りです。
無伴奏ヴァイオリンパルティータ 第3番 ホ長調より(ラフマニノフ編)
主よ、人の望みの喜びよ(ヘス編)
無伴奏ヴァイオリンパルティータ 第2番 ニ短調(菊池編、およびブゾーニ編)
シチリアーノ(ケンプ編)
・音楽の捧げもの より 6声のリチェルカーレ
・B-A-C-Hの主題による幻想曲とフーガ(リスト)
(6/14追記)
全音から出版された楽譜も購入しました。

フルートとピアノ(チェンバロ)のためのソナタ

バッハのフルート・ソナタというと、フルートとチェンバロ・オブリガートによるもの(BWV 1030~1032)と、フルートと通奏低音によるもの(BWV 1033~1035)がそれぞれ3曲ずつあります。
これがまた名曲揃いなわけですが、とりわけ傑作の誉れ高いロ短調のソナタ、BWV 1030をフルートの友人と挑戦することにしました。
現代のフルートとピアノで演奏することになるわけですが、私は実はフルートとチェンバロの組み合わせよりピアノとの組み合わせの方がよりいい響きになる、と感じています。ところが、ヴィオラ・ダ・ガンバのソナタや、ヴァイオリンのソナタではピアノとの組み合わせで録音がいくつかあるのですが、フルートのソナタの方でピアノと組み合わせた録音はあまり見かけません。何故でしょう?

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そんな中、唯一私が知っているピアノとの組み合わせでの録音、これが大変お気に入りなものなのでぜひ紹介したいと思います。hänsslerから出ている「Chamber Music For Flute: Gerard(Fl)icon」(BachPodにも入っています)で、無伴奏フルートパルティータ BWV1013 なども含めた2枚組です。
Amazonでは見つけられませんでしたが、NaxosのNMLで聴くこともできます。
http://ml.naxos.jp/album/CD92.121
なおこのCDの中には、リュート組曲 ハ短調 BWV997のフルートとピアノのための編曲が収録されており、それもまたとても心地よい音楽です。
好みは分かれるかもしれませんが、私は是非ともおすすめしたいCDです。

続きを読む フルートとピアノ(チェンバロ)のためのソナタ

ハイドシェックのパルティータ

今回はバッハのオリジナル作品の録音についてです。
エリック・ハイドシェック(Eric Heidsieck, 1936-)、フランスの大ピアニストですが、私のCD棚にはモーツアルトとフォーレの録音が数枚ある程度で、バッハを弾いている録音があるなど、知りませんでした。
パルティータ第1番、第2番、第3番 ハイドシェック
先月HMVの新着情報でハイドシェックのバッハ録音が再発売されるという情報を知り予約注文しており、今日届いて早速聴いている次第ですが、その素晴らしさに吃驚させられました。強弱やペダルを多用していますが、細かいところまで配慮が行き届いているというか、丁寧に曲の良さを訴えかけてくるというか、なかなか言葉で表せないながら大変気に入ったのは確かです。曲目は、パルティータ全曲と、イタリア協奏曲、フランス風序曲というバッハの出版された代表作をカバー。よく聴いてみると、なにやら随所に音が追加され艶やかな音楽になっています。もしやブゾーニ版(ペトリ編)?と思いきや、それらとも違いました。ハイドシェックのセンスなのでしょうね。
なお、以下のリンクで、HMVで購入できます。
パルティータ第1番、第2番、第3番 ハイドシェック
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パルティータ第4番、第5番、第6番 ハイドシェック
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イタリア協奏曲、フランス風序曲 ハイドシェック
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バッハの二台ピアノ協奏曲作品の録音(ハイドシェック夫妻での演奏)もあるようで、そちらも到着が待ち遠しいです。
2台のピアノのための協奏曲集 ハイドシェック、T.ハイドシェック、グラン・リュエ音楽祭管
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—-(ご参考)Amazonでの入手方法—-

hyperionバッハ編曲集 第7弾(発売予定)

hyperionレーベルが定期的にリリースしてきたバッハ編曲集、次は第7弾で、マックス・レーガー(Max Reger, 1873-1916) の編曲集、発売は2009年6月とのことです。ピアニストはマルクス・ベッカー(Markus Becker)。レーガーの編曲は音が多く重厚なもので、どのような音楽として再現されているか非常に楽しみです。hyperionバッハ編曲集 第4弾・フェインベルグ編と同様に、CD2枚組、1CDプライスだそうです。以下のhyperionサイトへのリンクで、曲の冒頭が試聴できます。やはりテンポは遅め、ロマン派風解釈っぽいです。発売後にまたレビューを書きたいです。
Bach J S: Piano Transcriptions, Vol. 7 – Max Reger

ピアノ・トランスクリプションズ第7集~レーガー編曲全集 ベッカー(2CD)

収録曲は以下の通りです。
Prelude and Fugue in D major, BWV532
O Mensch, bewein’ dein’ Sunde gross, BWV622
Durch Adams Fall ist ganz verderbt, BWV637
Ach wie nichtig, ach wie fluchtig, BWV644
Nun danket alle Gott, BWV657
Herzlich tut mich verlangen, BWV727
Wenn wir in hochsten Noten sein ‘Vor deinen Thron tret ich’, BWV668
Valet will ich dir geben, BWV736
Es ist das Heil uns kommen her, BWV638
Liebster Jesu, wir sind hier, BWV730
Vom Himmel hoch, da komm ich her, BWV606
Prelude and Fugue in E flat major ‘St Anne’, BWV552
Prelude and Fugue in E minor ‘The wedge’, BWV548
Christ lag in Todesbanden, BWV Anh 171
Ich ruf’ zu dir, Herr Jesu Christ, BWV639
An Wasserflussen Babylon, BWV653b
Komm, heiliger Geist Herre Gott, BWV651
Schmucke dich, o liebe Seele, BWV654
Das alte Jahr vergangen ist, BWV614
Toccata and Fugue in D minor, BWV565

シフラの弾くバッハ(初出含む)

超絶技巧で知られるジョルジュ・シフラ(Georges Cziffra, 1921-1994)。スタジオ、ライブともにたくさんの録音が残されていますが、バッハの録音はほとんど無く、編曲もので数曲あるのみです。その中でもブゾーニ編曲の前奏曲とフーガ 二長調 BWV 532はお気に入りだったようで、ライブ録音、スタジオ録音、また映像でも残されています。
ジョルジュ・シフラ/スタジオ録音全集1956-1986(40CD)icon
ところで最近、シフラの没後15年記念企画として
ジョルジュ・シフラ/スタジオ録音全集1956-1986iconというCD40枚組のボックスが発売されましたが、その中に今まで未公開だった曲がいくつか入っていたので、つい買ってしまいました。それがかの有名なトッカータとフーガ ニ短調 BWV 565のプライベート録音で、これがまた面白い編曲。彼のスタジオ録音特有の淡々とした演奏。ブゾーニ編曲と書いてありますが、明らかに多くの音をいじっており、シフラ編曲と言っても良いでしょう。この曲は以前blog記事で書いた通りたくさんの編曲を見てきましたが、他のどれとも異なります。高音や低音に付け加えられた派手な飾り付け、半音階進行の対旋律の追加など、オルガン効果をピアノで出そうという編曲というよりも見世物的な要素が強いと思います。シフラはなぜこの曲の録音を公開しなかったのか、真相はわかりませんが、シフラ編曲版を作る実験段階だったのかも知れません。何にせよ、このような面白い編曲も聴けたので、40枚組を買った意義を十分感じることができました。
—-(ご参考)シフラのバッハ編曲物レパートリーは以下の通りです。
前奏曲とフーガ ニ長調 BWV 532 (1962年Live、1968年、1981年)
コラール『目覚めよ、と呼ぶ声あり』 BWV 645 (1968年)
コラール『汝のうちに喜びあり』BWV 615 (1968年)
コラール『今ぞ喜べ、愛するキリスト者の仲間たち』BWV 734 (1968年)
トッカータとフーガ ニ短調 BWV 565 (1965年, Collection G. Cziffra)
※なお、CDの曲目にも、ディスコグラフィにも、BWV 629とありますが、BWV 734の間違いです。
—-(ご参考)Amazonでの入手方法—-

ブゾーニ版バッハ集のCD 第1弾


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先月、注目すべきCDがリリースされました。「The Bach-Busoni Edition Vol.1 」というCDで、ブゾーニ版のバッハ集(クラヴィーア曲)の曲目が収録されています。演奏者は、サラ・デイヴィス・ビュークナー(Sara Davis Buechner)。このピアニスト、実は第8回チャイコフスキー国際ピアノコンクールに第6位に入賞したピアニストで、その時はDavid Buechnerでした。詳細はこちらのページをご覧ください。
このCDに収録された曲の約半分は、以前紹介したCD、Bach-Busoni Goldberg Variations [D. Buechner] (ConnoisseurSociety,1995) と同じです。この時はブゾーニ版のゴルトベルク変奏曲がメインでしたが、今回はブゾーニ版バッハ集の紹介を軸に構成されています。
さてタイトルにもあるとおり、「ブゾーニ編曲」ではなく「ブゾーニ版(Busoni-Ausgabe)」として敢えて書き分けています。これは、オルガン曲やヴァイオリン曲の編曲ではなく、バッハのクラヴィーア曲をブゾーニがピアノ曲集として編纂したものを指しています。このあたりの説明は具体例がないと若干わかりづらいので、このCDに収録された曲目についていくつか解説しておきたいと思います。
1.平均律クラヴィーア曲集からの3つの編曲
 1) Widmung
 2) Preludio, Fuga e Fuga figurata
 3) Fugue in G major for two pianos
1) のWidmung は、ブゾーニ版バッハ集の冒頭に掲げられた曲で、平均律 第1巻 第1番 ハ長調のフーガの主題とフーガの技法の未完のB-A-C-Hの主題が組み合わされた、1ページ程の短い曲です。この楽譜はまだ見たことがないのですが、以前耳コピで採譜したものがあるので冒頭部分を紹介します。
Busoni/ Widmung
(Busoni/ Widmung)
2) のPreludio, Fuga e Fuga figurata は、平均律 第1巻 第5番 二長調の前奏曲とフーガを組み合わせた曲です。詳しくは曲目データベースの紹介以前紹介したCDの記事をご覧ください。
3) のFugue in G major for two pianos は、平均律 第2巻 第15番 ト長調のフーガ(ブゾーニ版では平均律第1巻と第2巻のト長調フーガは入れ替えられています!)を、曲の構成や響きを学ぶために、2台ピアノ用の練習曲として編曲されたものです。
2.ゴルトベルク変奏曲
 ブゾーニ版のゴルトベルク変奏曲では、原曲通りアリアと30の変奏がすべて収録されていますが、演奏会用には本来この曲が持つ構成・意義を捨象し、演奏効果からのアプローチで3つのグループに分けて、全曲ではなく抜粋で弾くような提案が掲載されています。グループ分けは以下の通りで、グループ3はピアノ曲として演奏会用に大幅に手が加えられています。聞いていると驚きの連続です。最後のアリア反復は低い音域で演奏され、名残惜しむように終わります。
  グループ1: アリア、第1、2、4、5、6、7、8、10、11、13変奏
  グループ2: 第17(または14)、15、19、20、22、23、25変奏
  グループ3: 第26、28変奏、Allegro finale, Quodlibet e Ripresa(第29、30変奏とアリア反復)
3.ピアノ協奏曲 第1番 二短調
 ブゾーニ版のピアノ協奏曲 二短調もまた、当時のチェンバロ協奏曲をピアノで良く響くような改編を多く加えています。たとえば通奏低音パートとしてのピアノパートは排除し、ピアノの音域をフル活用するように低音から高音まで演奏音域を拡大しています。このブゾーニ版ピアノ協奏曲については、別途解説の記事を譜例付きで書きたいと思います。このCDではライブでの録音が収録されており、この曲の熱気が伝わってきます。
ブゾーニ版のバッハ曲集は、バッハの音楽を学ぶための様々な練習用の変奏が掲載されています。それらのいくつかは演奏会用の曲目として耐えうるものも含まれていますが、実際にこうしてCDで聴けるのは極めて稀です。このCDのタイトルにVol. 1 とあることから、Vol. 2 以降も続くことを願っています。
—-(ご参考)Amazonでの入手方法—-

フェインベルグの平均律(再発売予定)

何度も紹介しているフェインベルグですが、先日の記事ですぐ入手困難になると書いた、平均律クラヴィーア曲集のCDがまた再発売される模様です。しかも今度のセットはピカイゼン(Vn.)による無伴奏ヴァイオリンソナタと同パルティータ全曲のCDを含めて、全6枚組。破格の値段設定と言えます。
HMVでの紹介記事はこちら
フェインベルグのバッハは未体験という方、ぜひ一度聴いてみてください。

HMV-平均律クラヴィア曲集全曲 フェインベルグ、無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ全曲 ピカイゼン(6CD)
HMV-平均律クラヴィア曲集全曲 フェインベルグ、無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ全曲 ピカイゼン(6CD)